心筋梗塞を引き起こす冬の3大リスク

2022年12月11日(日)放送 【第535回】
心筋梗塞を引き起こす冬の3大リスク

サマリーSummary

ゲスト:島崎和歌子
ドクター:帝京大学医学部附属病院 循環器内科教授 医学博士 上妻謙
突然胸を締め付けられるような強い痛みや圧迫感に襲われ、最悪死に至ってしまう病「心筋梗塞」。年間の死亡者数は3万人以上といわれ、例年12~1月に患者数が最も多くなるのだとか。そこで今回は、心筋梗塞を引き起こす冬の3大リスクと対策法について専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~この時期急増!心筋梗塞~「冬の3大リスク」徹底対策

突然胸を締め付けられるような強い痛みや圧迫感に襲われ、最悪死に至ってしまう病「心筋梗塞」。年間の死亡者数は3万人以上といわれ、例年12~1月に患者数が最も多くなるのだとか。そこで今回は、心筋梗塞を引き起こす冬の3大リスクと対策法について専門医に教えてもらいました。

心筋梗塞の基礎知識

<心筋梗塞とは?>
心筋梗塞とは、心臓の筋肉に酸素が行き届かなくなり、心臓の筋肉が壊死してしまう病気。発症すると冷や汗・吐き気を伴う強い胸の痛み・圧迫感などの症状が出るのだとか。心筋梗塞を一度発症すると、死亡率は30%にものぼるといわれているそうです。

<心筋梗塞の主な原因は?>
心筋梗塞を発症する主な原因は、心臓の筋肉に酸素などを送っている冠動脈の動脈硬化。動脈硬化を起こしている血管が傷つくと血栓ができてしまい、血管を詰まらせます。すると、心臓の筋肉に酸素が行き届かなくなり、壊死を起こしてしまうそうです。

冬の3大リスク(1)10℃以上の温度差がある場所への移動

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<心筋梗塞を引き起こす「ヒートショック」に要注意>
ヒートショックとは、急激な温度変化によって身体にダメージを受けてしまう事をいいます。例えば、暖かい屋外から寒い外へ移動すると、血管が急激に収縮して血圧が急上昇。血圧の急上昇により心臓にある冠動脈の血管壁に傷がつくと血栓ができます。すると、血管が詰まり心筋梗塞につながってしまうのだとか。ヒートショックは、特に10℃以上の温度差がある時に起こりやすいといわれているそうです。

<10℃以上の温度差が生まれやすい!家の中の危険スポット>
(1)トイレ
トイレは、特に寒い日でなくてもリビングとの温度差が生まれやすい場所。さらに、いきむ事でも血圧が急上昇するため、心筋梗塞の危険度が倍増してしまうそうです。

(2)脱衣所・浴室
先生によると、脱衣所と浴室には危険ポイントが3つあるとの事。1つ目は、脱衣所の冷気を素肌に浴びてしまう事。2つ目は、浴室の床に触れる事。3つ目は、冷えた身体のまま湯船に入ってしまう事。血圧は、脱衣場の寒さによって上がり、浴室の寒さや床の冷たさによりさらに上昇。そこで、熱い湯船に浸かってしまうと血管が開き急降下します。すると、脳へと送られる血液が突然減るため、意識を失い溺死の原因になってしまうそうです。

(3)寝室
寝室で危ないのが、布団の中との温度差。特に朝は1日の中でも一番冷えているので、布団で温まっていた身体との温度差がより高まってしまうのだとか。実際、心筋梗塞の時間別の発生数では午前6時~10時までの間が最も多いというデータもあるそうです。

(4)キッチン
キッチンは、換気のため冷えやすいのに加えて調理をすると室温が上がるため、温度の変化が激しい場所だそうです。

(5)廊下
廊下は、夜間や早朝に温度が下がりやすいので要注意だそうです。

<ドクターオススメ!ヒートショック対策法>
脱衣所・トイレ・キッチンなどは、小型の暖房機を設置して温度差を防ぐのがオススメ。浴室ではシャワーなどで床を温めてから入ると、温度差を少なく出来るとの事。さらに、シャワーを浴びる時や湯船に入る際などは心臓から離れている手足から少しずつ温めて、急激な温度変化を避ける事が大切だそうです。そして、起床時や廊下に出る際は上着を羽織るなどして身体が冷えないように気をつけましょう。

冬の3大リスク(2)多くなりがちな塩分

<塩分と心筋梗塞の関係>
塩分を多く摂ると血液中の塩分濃度が上がります。すると、それを薄めるために血管内に水分が取り込まれ血液の量が増加するのだとか。例えば、塩分を8gほど摂取すると、血液は約1Lも増加するといわれています。血液が増加して血管壁への圧力が高まると血管が傷つきやすくなるため、心筋梗塞の危険が高まってしまうそうです。

<冬に塩分が多くなりがちな理由>
先生によると、同じ塩分量でも食べ物の温度によって塩味の感じ方は大きく異なるそうです。実際に、2℃の時と比べて47℃では、塩味の感じ方が約1/4に低下するというデータもあるのだとか。冬に食べたくなる鍋やラーメンなどは熱い物が多いため、どうしても塩分摂取量が増えてしまいがちです。そのため、鍋料理などは塩分で味を濃くするのではなく具材から出るダシで味を調整したり、鍋の汁やスープは飲みすぎないようにしたりして塩分の摂取を控えるようにしましょう。

冬の3大リスク(3)夏だけではない冬脱水

<脱水と心筋梗塞の関係>
水分は、尿から排出される以外に、呼吸や皮膚からも1日1L程度失われるといわれています。先生によると、冬場は乾燥が進むため皮膚から水分が失われやすいのだとか。水分が失われる事で血液の成分が濃くなると、血栓ができやすくなるため、水分摂取を怠ると心筋梗塞の危険が高まってしまうそうです。特に眠っている間は水分が補給できないので、夜眠る前に水を1杯飲むなど、水分摂取を心がけましょう。

インフルエンザで心筋梗塞のリスクがアップ!?

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

先生によると、インフルエンザにかかると、身体が炎症を起こして血栓ができやすくなる特徴があるとの事。また、新型コロナウイルス発症後は心筋梗塞・脳梗塞の発症率が高いといわれているため、同じく注意が必要だそうです。

若いからと侮ると危険!血管がけいれんする狭心症

<狭心症とは?>
狭心症とは、心臓を取り巻く冠動脈が狭くなり、心臓に酸素が足りなくなって胸の痛みや圧迫感などを引き起こす病気。一般的に冬に発症しやすい傾向があるそうです。

<40~50代がなりやすい「冠れん縮性狭心症」>
冠れん縮性狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈がけいれんしてしまう病気。けいれんにより血管が狭くなって血流が悪くなり、胸に痛みや圧迫感といった症状が現れます。多くは一時的ですが、けいれんが続いてしまうと心臓への血流が不足して心筋梗塞につながる可能性もあるそうです。また、冠れん縮性狭心症を一度発症すると、常に薬での治療が必要となり一生付き合っていかなければならないそうです。

<40~50代に多い理由は?>
先生曰く、冠れん縮性狭心症は血管の機能が落ち始めた頃に起こりやすいのが特徴。40代以降は、脂質異常・高血糖・高血圧などの生活習慣病が起こり始める年代で、血管の内皮細胞が衰えはじめる頃。私たちの身体は内皮細胞から一酸化窒素(NO)を出す事で血管を広げ、血液の流れを確保しています。内皮細胞が衰えると、血液中の一酸化窒素(NO)が少なくなり血管の広がりが悪くなるため、冠れん縮性狭心症が起きやすくなってしまうそうです。

<冠れん縮性狭心症は月曜日に発症しやすい!?>
冠れん縮性狭心症はストレスと関係があるそうで、仕事が始まる月曜の朝や明け方に起こりやすいといわれているそうです。

<狭心症や心筋梗塞の発症を予防するには?>
・EPAをこまめに摂る
イワシ・サバ・アジなどの青魚に多く含まれるEPAには、血管内皮細胞を守る働きがあるため、動脈硬化を予防し血管をしなやかにしてくれる効果が期待できるそうです。

・禁煙
先生によると、喫煙は血管内皮細胞の機能を著しく低下させる事がわかっているのだとか。そのため、禁煙する事がとても大切だそうです。

(2022年12月11日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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