専門医に学ぶ正しい血糖管理

2022年10月2日(日)放送 【第525回】
専門医に学ぶ正しい血糖管理

サマリーSummary

ゲスト:高島礼子
ドクター:小内医院院長 糖尿病内科 小内裕
糖尿病を患っている人の数は、日本人のおよそ10人に1人。予備軍を合わせると1500万人にも上ります。誰にでも起こりうる可能性があり、そのまま放置していると血管が傷つき、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症につながる可能性もあるのだとか。そこで今回は、血糖値上昇を招く落とし穴や正しい血糖管理の方法を専門医に教えてもらいました。

糖尿病の基礎知識

<糖尿病とは?>
糖尿病とは、血糖値を調節するインスリンの働きが何らかの原因で低下。血液中の糖分が増えて血糖値が慢性的に高い状態の事だそうです。

<糖尿病のタイプ>
・1型糖尿病
生活習慣に関係なく、免疫細胞がすい臓のインスリンを出す細胞を壊す事で発症。糖尿病全体のおよそ4%を占めるといわれています。

・2型糖尿病
過食などの生活習慣や遺伝的な問題が原因で、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が高くなる状態。糖尿病を患っている人の約96%が2型糖尿病にあたるそうです。

<糖尿病の診断基準は?>
糖尿病かどうかは、空腹時血糖値(空腹状態で検査する血糖値)とHbA1c(1〜2か月の平均血糖値)で診断されます。診断基準は、空腹時血糖値は126mg/dL以上、HbA1cは6.5%以上だそうです。

<糖尿病は遺伝する?>
先生によると、日本人はインスリンを出す力が弱いので親が糖尿病の場合、その子どもが糖尿病になりやすい傾向があるのだとか。さらに、食事の量が多い、味付けが濃いなど家族で食生活が似てしまう事も原因の1つだそうです。

血糖値上昇を招く落とし穴①大食い

米や麺類など炭水化物の摂りすぎは、血糖値の上昇を招いてしまうそうです。通常、食後2〜3時間以内にはインスリンが働き血糖値を正常な値に戻します。しかし、炭水化物が多いと高血糖の状態が長く続きインスリンの効きが悪くなってしまうそうです。

<先生の治療法>
食べすぎてしまう患者さんには、炭水化物の量を減らして副菜を増やし、タンパク質中心の食事を勧めているそうです。

血糖値上昇を招く落とし穴②早食い

食べるスピードが早いと消化・吸収も早くなり、血糖値の急上昇を招いてしまうそうです。

<先生の治療法>
早食いの患者さんには、1回1回の食事をよく噛んでゆっくり食べる事で、血糖値の上昇を緩やかにしていくそうです。

血糖値上昇を招く落とし穴③朝食抜き

先生によると、朝食を抜くと身体が足りないエネルギーを一気に吸収するため、昼食時の血糖値が大きく上昇してしまうそうです。また、インスリンを分泌するすい臓には、夕食から翌日の一食目までの時間が長くなると、その分泌を“忘れる”という現象が見られるのだとか。そのため、朝食を抜くとインスリンを分泌する機能が回復するまで時間がかかり血糖値が上昇しやすくなってしまうそうです。

血糖値上昇を招く落とし穴④間食

間食をすると血糖値が上昇します。その状態で次の食事を摂ると、間食した分も上乗せされて高血糖になってしまうそうです。

<先生の治療法>
間食がやめられない患者さんには、間食をしたらその後の食事では炭水化物を控えるようにアドバイス。ストレスを溜める事なく、少しずつ間食の量を減らして血糖値を調節しているそうです。

<果物に秘められた驚きのパワー>
果物の果糖は、スナック菓子などに含まれるブドウ糖とは違い、腸管での吸収が遅く代謝も早いためスナック菓子よりも血糖値が上がりにくいそうです。さらに、食物繊維にはインスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンを調節する作用があり、糖尿病や血糖値が高い人への食事療法に用いられる事もあるのだとか。ただし、果物の中には血糖値を上げてしまうものもあるので、糖尿病の方は医師に相談して食べるようにしてください。また、果汁100%ジュースなどは血糖値が上がるため要注意だそうです。

※10月2日の放送の際、上記説明の中で一か所「果糖よりもブドウ糖の方が健康的」と逆の意味のテロップ表記をしてしまいました。お詫びいたします。
ご指摘下さった視聴者の皆様、ありがとうございました。

糖尿病の改善に欠かせない「運動」

糖尿病の治療では「運動」も重要だそうです。ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、ブドウ糖を細胞の中に取り込み、血糖値を下げるインスリンの効果を高めてくれるのだとか。また、ある調査によると毎日歩く事で血糖値を調節するだけでなく、糖尿病の発症を予防する効果も期待できるそうです。先生曰く、ポイントは「楽しく続ける事」。ウォーキングなどは家族や友人を誘って一緒に行うのがオススメだそうです。

<ドクター考案!「いすいーっす体操」>
先生が糖尿病の方や血糖値が高めの方にオススメしているのが、「いすいーっす体操」。椅子に座った状態で、腕を振ったり足を伸ばしたりして運動を行います。転倒の恐れがないので誰でも行う事ができ、筋肉量を増やして糖分を消費し血糖の状態を良くする効果が期待できるそうです。

ドクターオススメ!簡単置き換え低糖質メニュー

先生がシェフや栄養士の方と開発した誰でも簡単に作れる低糖質メニューをご紹介します。

<豆腐をキノコに置き換え!「麻婆キノコ」>
血糖値を上がりにくくする食物繊維が豊富で、具沢山&満腹感もアリ!血糖値が気になる方にオススメです。
≪材料(1人前)≫
・マイタケ  25g
・シメジ   25g
・エノキ   25g
・豚ひき肉  25g
・生姜    3g
・ニンニク  3g
・炒め油   適量
・長ネギ   15g
・豆板醤   1.5g
・醤油    6g・・・◎
・酒     5g・・・◎
・砂糖    3g・・・◎
・ケチャップ 5g・・・◎
・鶏ガラスープの素 1.9g・・◎
・水        50g・・◎
・水溶き片栗粉   適量
・ごま油      1.3g
・青ネギ      3.4g

≪作り方≫
①ニンニクと生姜はみじん切り、長ネギは粗みじんに切る。えのきは長さを半分に、しめじはほぐしておく
②フライパンに炒め油とニンニク・生姜・豆板醤を入れ、弱火で香りが出るように炒める
③ひき肉を加えたら強めの中火に切り替えて、ひき肉がカラカラになるまで良く炒める
④さらにキノコを加えてぷりっとするまで炒めたら合わせ調味料(◎のもの)を加えて煮立たせ、最後に長ネギを加える
⑤水溶き片栗粉でとろみをつけたら、ごま油をたらし、ざっと混ぜて皿に盛る。青ネギを散らして完成。

<デミグラスソースをキノコに置き換え!「ハンバーグのキノコあんかけ」>
定番のデミグラスソースよりも低カロリーで炭水化物や脂質も少なくヘルシー。タネに加えたレンコンは、シャキシャキの食感が加わり噛む回数が増え、早食いを防止するとともに血糖値の上昇を防ぐ効果が期待できるそうです。
≪材料(1人前)≫
豚ひき肉        75g・・・☆
レンコン(すりおろし) 50g・・・☆
玉ネギ(みじん切り)  25g・・・☆
片栗粉         4.5g・・・☆
塩           0.6g・・・☆
コショウ        0.3g・・・☆
シメジ         20g
エリンギ        17.5g
エノキタケ       12.5g
めんつゆ(2倍濃厚)   12.5g・・※
料理酒         4g・・・・※
水           30g・・・※
片栗粉         1g
焼き用油        7.5g

≪作り方≫
①☆の材料を良く混ぜ合わせ成形する
②フライパンに焼き用油を熱して①を並べ、表面に香ばしい焼き色がつくまで焼いたら裏返す。蓋をし、弱火で7~8分蒸し焼きにして皿に盛る
③エノキは3等分長さに切る。シメジは小房にわける。エリンギは縦半分にしてから長さを3等分にし、短冊に切る
④②のフライパンに、③のキノコを入れ、しんなりするまで炒める
⑤※を入れ、煮立ってきたら水溶き片栗粉を少しずつ入れてトロミをつけ、ハンバーグにかけて完成!

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