“沈黙の臓器”...実際の患者が語る慢性腎臓病の真実

2022年5月29日(日)放送 【第508回】
“沈黙の臓器”...実際の患者が語る慢性腎臓病の真実

サマリーSummary

ゲスト:天野ひろゆき
ドクター:筑波大学 医学医療系 腎臓内科学 教授 医学博士 山縣邦弘
日本人の成人の7人に1人が「慢性腎臓病」を患っているといわれています。腎臓は“沈黙の臓器”といわれており、腎機能が低下しても自覚症状はほとんどないのだとか。さらに、腎臓の機能は一度失うと元に戻らないといわれており、放置して症状が進行すると人工透析を一生続けなくてはならないといわれています。そこで今回は、慢性腎臓病について徹底リサーチ。早期発見のポイントや腎機能を維持する方法を専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「慢性腎臓病の真実

日本人の成人の7人に1人が「慢性腎臓病」を患っているといわれています。腎臓は“沈黙の臓器”といわれており、腎機能が低下しても自覚症状はほとんどないのだとか。さらに、腎臓の機能は一度失うと元に戻らないといわれており、放置して症状が進行すると人工透析を一生続けなくてはならないといわれています。そこで今回は、慢性腎臓病について徹底リサーチ。早期発見のポイントや腎機能を維持する方法を専門医に教えてもらいました。

腎臓の基礎知識

<腎臓はどこにある?>
腎臓は腰のあたりに2個あり、握りこぶしほどの大きさでソラマメのような形をしているそうです。

<腎臓の働きは?>
腎臓には「糸球体」と呼ばれる組織があり、血液をろ過するフィルターのような働きをしています。そこに血液が流れると、栄養分は血液内に残り老廃物や水分などは通過して尿が作られます。つまり、血液をろ過する事で身体の中をきれいに保っているそうです。

「慢性腎臓病」と主な原因

<慢性腎臓病とは?>
慢性腎臓病(CKD)とは、何かしらの腎障害や腎機能の低下が3か月続いた状態。血液検査の項目にある「eGFR」の数値によって診断されます。気づかずに放置して症状が進行してしまうと、人工透析が必要な「末期腎不全」という状態になったり、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まったりなど、命に関わる危険もあるのだとか。また、近年の研究で認知症の約10%が慢性腎臓病に起因することが分かっています。慢性腎臓病は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、定期的に検診を受ける事が大切だそうです。

<慢性腎臓病の主な原因>
慢性腎臓病の主な原因は、糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満・高尿酸血症・加齢・喫煙など。先生によると、血糖値や血圧が高い状態が続くと、腎臓の糸球体にダメージが加わり慢性腎臓病の原因となってしまうのだとか。人工透析の原因となる腎臓の病で最も多いのが糖尿病性腎症(糖尿病)、次に多いのが腎硬化症(高血圧)だそうです。

「慢性腎臓病」早期発見のポイント

慢性腎臓病になると、下記のような症状が現れるそうです。

<(1)尿の異変>
・尿が泡立つ(たんぱく質)
腎臓のフィルターの働きが低下すると、本来は外に出てこないたんぱく質などの栄養分が漏れ出してしまい尿が泡立つそうです。一般的に泡はきめ細かくて消えにくいそうですが、漏れ出す量が少ないと泡立たなかったり、泡がすぐ消えたりする場合もあるそうです。

・血尿
腎臓のフィルターの働きが低下すると、本来は外に出てこない赤血球が漏れ出します。すると、漏れた赤血球が尿に混じり血尿につながるそうです。

<(2)むくみ>
たんぱく質が漏れ出して、血液中のたんぱく質の濃度が下がると、血管の中にある水分が血管の外に漏れてしまうのだとか。結果、むくみの症状につながるそうです。

~尿酸値の上昇(痛風)にも注意!~
腎臓の機能が落ちてくると、血液中の尿酸濃度が上がりやすくなってしまうそうです。

腎機能の低下をゆるやかに!最新研究 慢性腎臓病の予防法

慢性腎臓病を防ぐには、腎機能をいかに低下させないかが最も重要だそうです。その方法を明らかにした、慢性腎臓病のための大規模研究「FROM-J」についてご紹介します。

<「FROM-J」について>
筑波大学の山縣邦弘先生が主導した「FROM-J」では、日本栄養士会と連携し、大きな病院などに在籍している管理栄養士をかかりつけ医に派遣。かかりつけ医の先生に診てもらっている慢性腎臓病の患者さんを対象に、慢性腎臓病の改善に有効な栄養指導を3年半行なったそうです。2008年の研究開始から10年間のデータでは、栄養指導を行なったグループは、通常の診療を行なったグループに比べて、腎機能の指標である「eGFR」低下率の悪化スピードが緩やかな事が判明。さらに、慢性腎臓病になると起きやすくなる心血管病の発症率も明らかに低い事がわかったそうです。

<管理栄養士が行なった栄養指導とは?>
BMI管理・血圧管理・血糖管理など、慢性腎臓病の改善に向けて優先度が高い順に並んだチェックリストをもとに、患者さんそれぞれの優先すべき一番上の項目に絞って栄養指導を行なったそうです。3か月後に検査を行い数値が改善されていたら、問題がどこに移ったかを確認して新たな指導をしていく、というサイクルを繰り返すのだとか。具体的な指導内容は「先に野菜を食べる」「ご飯の量を半分にする」など患者さんによってさまざま。3年半の指導期間が終わった後も患者さんに生活習慣が身につき、10年後の成果に結びついたそうです。(※チェックリストはFROM-Jホームページ管理栄養士向け資料よりダウンロードできます)

~定期的な運動も大切~
先生によると、食事の他にも大切なのが「定期的な運動」。運動を行う事で、たんぱく尿や高血圧などの改善につながる事がわかってきたそうです。

(2022年5月29日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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