ベトコンラーメンは台湾、スガキヤに続く名古屋・愛知の第三のご当地ラーメン~大竹敏之のシン・名古屋めし
名古屋のちょっと郊外に分布 ニンニクたっぷりのスタミナ系ラーメン

ベトコンラーメンは愛知県北部や岐阜南部を中心とした郊外エリアで主に広まっているご当地麺。「名古屋(のちょっと外側)めし」というのがふさわしい料理です。
一番の特徴は何と言ってもニンニク。粒のまま油でじっくり炒め煮し、これが一杯につき5~6個もトッピングされています。口に運ぶとほくほくと柔らかで、じんわり甘みとうまみが。唐辛子のピリ辛さもその味わいを引き立てます。インパクトがある一方で、スープは醤油ベースの鶏ガラダシという中華由来のシンプルなもののため、すっきりしていて飽きが来ません。
発祥とされるのが1969(昭和44)年に愛知県一宮市で創業した中華料理店「新京」。開店から間もなく、多忙で食欲不振になってしまった店主、稲垣稔さん(故人)のために、スタッフが唐辛子とニンニクをたっぷり入れたラーメンを作ってくれたことからメニュー化されたと伝えられます。満州生まれだった店主が現地で食べた中華料理の素朴さと、スタミナがつくパンチある味つけを合わせ持ったこのラーメンはたちまち人気メニューとなりました。
印象に残る名前は「食べるとベストコンディションになるから」という意味とされます。もともと別の由来があったのですが、テレビの取材を受けた店主がとっさに先の理由を思いつき、スタミナ系の味つけともマッチすることからこれが公式となりました。
また食べたくなる中毒性で胃袋つかむ

「他の名古屋めしとも共通する魅力は、中毒性だと思います」とその魅力を語るのは新京中川店など4店舗を運営する内田淳一さん。「しばらく食べていないと、看板を見たり、名前を聞いただけで味がよみがえってまた食べたくなる。うちの店でも、毎週決まった曜日に朝一番で来てくれる常連さんがいらっしゃいます」
名古屋および周辺エリアで浸透しているご当地ラーメンは、古き良きラーメンをベースに記憶に残るインパクトを加えたものが目立ちます。台湾ラーメンしかり、好来系しかり、そしてベトコンラーメンしかり。食べた時の印象は強烈でも、ベースに親しみやすさがあるからこそ、長く、広く愛されているのでしょう。
新京は、一宮市にあった本店は残念ながら数年前に閉店してしまいましたが、のれん分けの店が愛知県を中心に10店舗以上あり、味を引き継ぎ守っています。筆者があちこち足を運んだ限りでは、ラーメンの味自体にブレはなく、一方でニンニクの柔らかさにはやや店ごとの個性が感じられます。また、スープやトッピングでメニューのバリエーションを広げている店もあり、その店ならではのベトコンラーメンも楽しめます。台湾ラーメン、スガキヤラーメンに続く、名古屋・愛知の第三のご当地ラーメン。ほとんどの店が郊外にあるため今なお知る人ぞ知る存在ですが、他の名古屋めし同様、二度三度と食べたらクセになるはずです。
※記事内容は配信時点の情報です
#名古屋めしデララバ
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