「俺が決める」戦力外の川上憲伸に届いた谷繁元信からの運命の電話
CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。2月25日の放送では、中日ドラゴンズから戦力外通告を受けた後の川上さんに谷繁元信さんから届いた1本の電話と、そこから始まった復帰への道のりについて伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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谷繁さんは2014年からプレイングマネージャーとして2年間、選手と監督を兼任。2016年は監督専任でドラゴンズを率いました。
谷繁さん自らが抜けて監督になったことで、要求に応えられないピッチャーやキャッチャーに対する歯がゆさや悔しさもあったのではないかと宮部が尋ねると、川上さんは「ありましたね」と当時を振り返ります。
川上さんは2013年にドラゴンズから戦力外通告を受けます。野球をやめようと考え、あるプロゴルファーと打ちっぱなし場で毎日10時間、1週間の集中トレーニングを計画しました。
冗談半分でしたが、プロを目指すような気持ちもあったといいます。
その初日、ゴルフボールを500球ほど用意し、4~5球打った時のこと。谷繁さんから電話がかかってきたのです。
谷繁からの1本の電話
川上「もしもしシゲさん、どうもです」
谷繁「おう、ケン。何してん」
川上「いや、まあ今ちょっと…ゴルフの練習です」
谷繁「そんなええよ、お前。ゴルフなんて」
こんなやりとりの後、谷繁さんは「そういえばさ。最後の方、お前いい球投げてたって噂聞いたんだけど」と切り出しました。
川上さんが「肩の怪我も治って、いい球っていうか気持ちよくは投げられていたんですけど、クビになったので。わざわざ連絡ありがとうございます」と答えると、谷繁さんは「そんなのどうでもいいよ。投げられるんだったら一緒にやろうよ、また」と言ってくれたのです。
「やろうよ」からの再入団
「一緒にやろう」と言われても、川上さんは自分から「もう1回ドラゴンズに入ります」とは言えない立場です。すると谷繁さんは「俺が決める」と言い切りました。
「どういうことですか」と尋ねる川上さんに、驚きの答えが返ってきます。
谷繁「あさって正式に決まるんだけど、俺、監督になるんだ」
川上「えっ?嘘でしょシゲさん」
谷繁「なんで嘘つくんだよ、俺が。そういうことなんだ。やろうよ」
川上さんはすぐにゴルフをやめ、自主トレで身体を鍛え始めました。
谷繁さんの言葉通り、2日後にはプレイングマネージャー就任の記者会見が行なわれます。その後しばらく経ってから、川上さんのドラゴンズ再入団も正式に発表されました。
谷繁が託した開幕マウンド
沖縄での春季キャンプで、川上さんはブルペンで力強い投球を見せます。この時、谷繁さんから「お前、今までで一番いいんじゃないの」と声をかけてもらったそうです。
さらに、明治大学の大先輩でドラゴンズOBでもある杉下茂さんが、臨時コーチとしてキャンプに帯同していました。2週間ほど経った頃、川上さんにこう語りかけたのです。
「お前、どのピッチャーよりもいいストレートを投げてるよ。開幕投手じゃないの?」
川上さんは「何を言ってるんですか、とんでもないです」と恐縮していたといいます。
キャンプを通じて好投を続け、いよいよオープン戦が近づいてきた頃。当時のナゴヤドームで、谷繁さんが川上さんを監督室に呼びました。
「お前、今年頼むよ。スタートね」
運命を変えた1本の電話から始まり、開幕先発にまで至った川上さんの復帰劇でした。
(minto)
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