夜中の手のしびれは放置するな!「手根管症候群」とは?
木曜日の『CBCラジオ #プラス!』では、スマートクリニック代表で整形外科医の福田誠先生が、健康に役立つ情報を紹介しています。6月11日の放送で取り上げたのは、手のしびれの原因として多い「手根管症候群」。症状の特徴や発症しやすい人、放置するリスク、治療法について詳しく取り上げます。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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手根管症候群は、手首にある「手根管」と呼ばれるトンネル状の空間で、正中神経が圧迫されることで発症する病気です。実は珍しい病気ではなく、「意外と症状が出る人は多い」と福田先生。
正中神経は手の感覚や指の動きを担う重要な神経で、圧迫されると手のしびれや痛みが現れます。特に症状が出やすいのは、親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分です。
宮部「小指や薬指全体ではないんですね」
福田先生は手には正中神経、尺骨神経、橈骨神経という3つの主要な神経が存在すると説明。それぞれが担当する領域が異なるため、しびれが出る場所によって原因となる神経も変わってくるそうです。
例えば、小指のしびれは尺骨神経の障害が関係している可能性があります。一方で手根管症候群の場合は、正中神経が圧迫されるため、「手のひら側がしびれ、小指や手の甲には症状が出にくい」という特徴があります。
しびれの場所は診断の大きな手がかりになるため、自分の症状がどこに現れているかを確認することも重要ということです。
夜中のしびれが特徴
手根管症候群の代表的な症状として挙げられるのが、夜間や明け方に強くなるしびれや痛みです。 福田先生によると、患者からは「夜になるとしびれが強くなって眠れない」「しびれや痛みで目が覚める」といった相談が数多く寄せられるとのこと。
その理由として、睡眠中は手首を長時間同じ姿勢で固定した状態になりやすいことが挙げられます。
さらに、日中の疲労によって手首周辺の組織がむくみ、神経への圧迫が強まるため、症状が悪化しやすくなると説明しました。
実際には、夜中に目が覚めて手を振ったりぶらぶら動かしたりすると、一時的に症状が和らぐこともあるそうです。しかし、これは神経への圧迫が改善したわけではなく、根本的な解決にはなりません。
昼間は比較的症状が軽いため見過ごされがちですが、「夜だけつらい」というケースは手根管症候群の典型的なパターンのひとつだといいます。
特に起こりやすい人
手根管症候群は誰にでも起こる可能性がありますが、特に発症しやすい人もいます。
福田先生がまず挙げたのは、更年期世代の女性です。更年期にはホルモンバランスの変化によって体がむくみやすくなり、神経を圧迫しやすくなると考えられています。
また、妊娠中や出産後の女性も同様に体内環境の変化によって発症リスクが高まるそうです。
持病との関連では糖尿病が挙げられました。糖尿病では神経や周囲の組織に変化が起こりやすく、神経障害のリスクも高まるため注意が必要です。
さらに、腎不全で透析治療を受けている人は特に発症しやすいといいます。透析では除去しきれないアミロイドという物質が体内に蓄積し、手首周辺に沈着することで神経を圧迫する場合があるためです。
そのほかにも、手を頻繁に使う仕事や作業を続けることで手首に炎症が起こり、発症につながるケースも少なくないといいます。
放置すると
しびれだけであれば「少し様子を見よう」と考える人は少なくありません。しかし福田先生は、症状を放置することへの注意を呼びかけました。
初期は軽い違和感程度でも、神経への圧迫が続くと徐々に症状が進行します。
福田「ボタンがかけにくい、お箸が持ちにくい、ペットボトルの蓋が開けにくいといった症状が出てきます」
これは正中神経が支配する親指の付け根の筋肉である「母指球筋」が弱ってくるためです。
さらに悪化すると親指の付け根のふくらみが失われ、「猿手」と呼ばれる状態になることもあります。
治療方法
治療ではまず、手首を休ませることや夜間のサポーター固定、炎症を抑える薬の使用といった保存療法が行なわれます。症状が強い場合には、正中神経周囲に注射を打つ、腫れや炎症を抑える治療も選択されます。
それでも改善しない場合や、筋肉の萎縮が進んでいる場合には手術が検討されるとのこと。
手術では神経を圧迫している手根管の一部を切開してスペースを広げ、神経への負担を軽減します。福田先生によると、比較的負担の少ない日帰り手術として行なわれることも多いそうです。
また、手のしびれから脳梗塞などを心配する人も多いものの、手根管症候群は症状が手首より先に限られ、しびれる範囲にも特徴があります。
ただし、しびれの原因はさまざまで自己判断は危険です。
「最近手がしびれる」「夜中に目が覚めるほど痛い」「細かな作業がやりづらくなった」と感じる人は、早めに医療機関へ相談してみてはいかがでしょうか。
(ランチョンマット先輩)
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