東大寺では大仏とセットで見たい!国宝・金銅八角燈籠

毎週木曜日の『ドラ魂キング』では、CBCの佐藤楠大アナウンサーが仏像に関するトピックを紹介します。7月17日の放送で紹介したのは、東大寺の金銅八角燈籠です。4月19日から6月15日まで奈良国立博物館で開催されていた『超 国宝-祈りのかがやき-』展で佐藤が観たというこの燈籠、どんな価値を持つものなのでしょうか?
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く仏像と燈籠はセット
佐藤「国宝だけどみんなスルーしがち。多くの人が見たことあるんですけど、ピンと来ないものを話します」
東大寺の金銅八角燈籠は国宝です。
燈籠(灯籠)とは、神社や寺の参道沿いにある街灯のような物ですが、仏教寺院で言う灯籠は、それだけでなく仏への祈りの象徴、仏の知恵を表す光、邪気を払う光として扱われれるそうです。
佐藤「お寺の境内や仏さんの前には必ず灯籠が置かれているんです。歴史のある仏像、寺院があるということは、それに合わせて歴史のある灯篭もあるわけなんです」
仏像に釣り合う大きさ
金剛力士像がある南大門をくぐり、長い参道を通り、中門の右側から大仏殿前庭へ。そこから正面の大仏殿へ3分の2ぐらい行くと、ちょうど大仏殿の正面にあるのが「金銅八角燈籠」。
佐藤「大仏殿の前に何か柵で囲われているものがあったな?それが国宝なんです」
大仏だけが目的で入った方は、しっかり見た記憶がないかもしれません。
金銅八角燈籠は非常に大きく、一般的な灯籠の3倍ほどの4.6メートル。東大寺の大仏自体が非常に大きいので、それに捧げる灯りでこの大きさになったと考えられるそうです。
また、灯篭の光には「仏様の知恵」という意味もあるので、どれだけ照らせるかも重要なんだとか。
演奏しながら降りて来る
灯籠は一番上から宝珠という珠、その下に傘、その下に火を入れるところがあり、支柱で名前の通り全部八角形になっているそうです。
『超 国宝』展では、灯籠の火を囲う部分は8枚の羽目板で形作られていて、分解した一面を見ることができたとか。
羽目板は縦1メートル、横50センチほどのサイズ。8枚の内4枚には音声菩薩(おんじょうぼさつ)というものが彫られているそうです。
この名前の通り、楽器を演奏しながら天からやってくる菩薩。それぞれ、雅楽で使う竹の管を束ねた笙、縦笛、横笛、シンバルのようなものを持った四体。
佐藤「まだ薄く金箔が残っている部分があるんですよ。当時、東大寺は国家の一大事業だったわけで、この灯籠がどれだけの存在感だったかを板一枚で感じることができました」
ロマンを感じる灯篭
佐藤「仏像と一緒にずっと、東大寺の大仏殿の前で、奈良が移り変わっていく様子を1,300年以上見守ってきた。そう考えるとこの灯籠にはすごくロマンがあると思います」
東大寺の大仏は、平安時代と戦国時代の火災で、創建当時の物は台座の一部しか残っていないそうですが、この灯籠は火災を免れて、立っている場所も姿も当時のままだとか。
佐藤「東大寺に行く方には、大仏もじっくり見て欲しいんですが、大仏殿に入る前にある4.6メートルの灯籠をぜひチェックしていただくと、仏像共々幅広く楽しめるかと思います」
東大寺に行く際には、大仏とセットで金銅八角燈籠も見学しましょう。
(尾関)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。