「男らしい名前が嫌」21歳息子が改名希望。裁判所は認めてくれる?

身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリ法律相談室」のコーナー。5月28日放送では、リスナーAさんから「21歳の息子が改名を希望している」という相談が寄せられました。その理由は「男らしい名前が気に入らない」というもの。こうした理由で改名は認められるのでしょうか?オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、改名が認められるための条件や流れについて解説しました。
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「県外に住む21歳の息子が、自分の名前を変えたいと言ってきました。『男らしい名前が気に入らない。もう少し軽い名前にしたい』とのこと。私は本人が変えたいなら仕方がないと思いましたが、そんな理由で改名はできるのでしょうか」(Aさん)
原弁護士によると、名前の改名自体は法的に可能ですが、家庭裁判所の許可が必要とのことです。
15歳未満の場合は親権者が代理で手続きを行ない、15歳以上であれば本人が手続きできます。
ただし、書類を揃えただけでは改名は認められません。名前を何度も変えると社会的な混乱のもとになるため、書類だけでなく、裁判所が納得できる理由をしっかり記載する必要があるそうです。
どんな理由なら改名できる?
改名が認められやすいのは、名前によって日常生活に支障が出るようなケースです。
難解な読み方の名前やキラキラネーム、過去に問題となった「悪魔」のような一般的に誤解を受けやすい名前も、改名が認められやすいといいます。
また、芸能人のように通称名の方が広く知られている場合も、改名が通りやすいそうです。
Aさんの息子さんの理由での改名は難しそうですが、原弁護士は「この背景に、たとえば性同一性障害で名前が受け入れられないなどの理由があれば通る」と解説します。つまり、より深い事情があれば改名が認められる可能性はあるということです。
申請が却下されたらどうする?
もし改名申請が却下された場合は、2週間以内に不服を申し立てる「抗告」という手続きができます。また回数制限があるわけではないので、再度申請することも可能とのことです。
「ちょっともう少し広く通称を広めて、使った期間を伸ばしてもう一度申し立てるとか、そういう形で実績を積み上げることが必要です」と原弁護士はアドバイスします。却下された場合は、どういう理由で却下されたかを確認することが大切だといいます。
借金逃れなどで名前を変えようとする人もいる可能性があるため、そうした悪用を防ぐための審査は非常に重要です。
Aさんの息子さんには「もう少し具体的な理由が欲しいですね」と原弁護士。単に名前の印象を変えたいという理由では、改名のハードルは高そうです。
改名は本人のアイデンティティに関わる重要な問題ですが、社会的な影響も考慮する必要があることがわかりました。
(minto)
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