オランダ総選挙とNY市長選から見えてくる今後の政治
 
					いま世界的に政治が大きく変わろうとしています。そのキーワードは、単独の党で過半数が取れないという「多党化」と、極端な主張が支持を集める「ポピュリズム」。10月29日放送『CBCラジオ #プラス!』ではCBC論説室の石塚元章特別解説委員が、日本の今後の参考にもなるといういま注目すべき2つの選挙、オランダの総選挙とニューヨーク市長選を取り上げました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くオランダで起きた極右の台頭
オランダの総選挙は29日に投開票されましたが、オランダに限らず最近のヨーロッパ全般にひとつの傾向として表れているのが、右派の台頭であり、大衆に迎合した政策の主張。
ヨーロッパは多くの国境が地続きで、難民や移民が多く入ってくることによって「自分たちの生活を脅かしている」と感じた人々がそのような党に票を入れています。
オランダは前回の選挙が2023年11月に行なわれていて、極右の自由党が第1党になったものの過半数には届かず、どの党と組むのかがポイントとなりました。
本来なら第1党であるウィルダー自由党党首を首相にして連立を組むのが自然ですが、ウィルダー氏があまりにも過激な発言をするため、右寄りの他党は組むのをためらう状況。
そのため、「ウィルダー氏が首相にならないなら組んでも良い」という意見が他の党から出ていろいろと協議した結果、なんと8か月もかかってようやく4党による連立政権が樹立されました。
首相はどの党の党首でもなく、他のところから連れてきた官僚だったというのが、調整に苦労した結果のように感じられますが、これもたった11か月経って瓦解してしまいました。
日本も似たような状況に?
今回は前評判で自由党が第1党を維持するものの、前回よりは票を落とすといわれていました。
その後、日本時間の29日夜時点では極右が勢いを失い、中道や左派が連立を主導する可能性が出てきていると報じられています。
日本でも最近似たようなことが起こり、第1党の自民党は公明党と合わせても過半数を取れず、公明党が連立を離脱したため、さらに単独では過半数に遠く及びません。
そんな中で日本維新の会との連立も話が出るなど流動的な状況となっています。
しかし後に、野党がひとつにまとまって政権交代ということはあるのかないのか、注目されます。
ポピュリズムが台頭?
一方、ニューヨーク市長選挙は来月4日に行なわれますが、こちらはまた別の方へ向かっています。
特に注目される候補が2人いますが、1番人気は民主党のマムダニ候補で、急進左派といわれている人物。
家賃の値上げ凍結、バスの無料化、最低賃金は5年で倍に増やすといった政策を掲げ、財源は金持ちや企業から取る税金という、まさにポピュリズム。
2番手は前ニューヨーク州知事のクオモ氏で、本当は民主党公認の候補になりたかったのですが、マムダニ氏に予備選挙で敗れています。
ここで共和党のトランプ大統領は本来なら3番手以降にいる共和党の候補を応援するところですが、真逆の政策を唱えるマムダニ氏を絶対に勝たせたくないため、共和党でもないクオモ氏を応援しようとしているのだとか。
前回の大統領選挙では民主党は負けましたが、今後民主党はどの方向に向かうのかという点でも注目されます。
(岡本)
 
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