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保守系の知事が12年ぶりに誕生、沖縄県が迎えた政治の新たなステージに思う

保守系の知事が12年ぶりに誕生、沖縄県が迎えた政治の新たなステージに思う
沖縄県庁:筆者撮影

沖縄県知事選は、保守系新人の完勝だった。沖縄が大好きで、離島も含めて60回以上訪れている筆者なりに、沖縄の人たちの選択と選挙結果の分析をしたいと思いながら、その複雑さに戸惑っている。ただ、戦後の沖縄県政が新たなステージを迎えたことだけはたしかだろう。

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過去最多の42万票

3期目を目指した現職知事の玉城デニーさんは“誰”に敗れ、当選した新人の古謝玄太さんは“誰”に勝ったのだろうか。2026年(令和8年)9月13日に投開票が行われた沖縄県知事選には6人が立候補し、事実上は玉城さんと古謝さんの“一騎打ち”という図式だった。結果は、自民党などが推薦した保守系新人の古謝さんが、過去最多の42万票を超す支持を集めて圧勝した。ただ、玉城さんと古謝さん、候補者の本人同士が“がっぷり四つ”に組んだ選挙だったとは思えない気がする。

これまでの争点は基地問題

イメージ画像:「沖縄の上空を飛行するオスプレイ」(写真ACより)

前回までの知事選は、経済や教育などの課題も争点として取り上げられながらも、やはり基地問題が中心だった。2014年(平成26年)に、故・翁長雄志さんが知事に初当選した時は、その後「オール沖縄」となる勢力が原動力となった。その正式名称は「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」、まさに基地問題が選挙戦で“1丁目1番地”の争点だった。

経済活性化が新たな争点

しかし、米軍普天間飛行場の移設合意から30年という歳月の中で行われた今回の知事選は、その図式が大きく変わっていた。共同通信社による出口調査によると、投票先を選ぶ際に何を最も重視したかという質問に「基地問題」と答えた人は、20.9%に留まった。かつてない低さである。最も多かったのは「経済の活性化」で2倍以上の49.5%。ほぼ半数が、経済問題を念頭に知事を選んだことになる。

玉城さんは“誰”に負けたのか

玉城さんは、選挙前から厳しい戦いになる素地はあった。今年2月に行われた衆議院議員選挙では沖縄県内4つの選挙区すべてで自民党候補が勝利した。支持母体の「オール沖縄」の勢いは明らかに落ちていた。2期8年の玉城県政の間に、普天間飛行場の移設先である名護市辺野古の埋め立て計画をめぐる国との裁判は、ことごとく敗れた。工事は着々と進んだ。選挙戦の最中で「3期目に当選したら、工事をストップするためにどんな策を取るのか」とインタビューで問われた玉城さんの答は従来とほぼ同じで、新たな打開策を具体的に提示できなかった印象だ。過去の県民投票や国政選挙で、度々示されてきた「埋め立て反対」という民意にもかかわらず、埋め立て工事は進む。玉城さんが対峙したのは、沖縄県民のそんな“諦め”だったのかもしれない。

古謝さんは“誰”に勝ったのか

古謝さんは、自民党だけではなく、日本維新の会に加えて国民民主党などの野党からも推薦を受けての選挙戦だった。出馬を予定していた自民党の元衆議院議員が直前に立候補を取りやめて、支援に回ったことも大きかった。古謝さんは那覇市の出身で、高校までを沖縄で過ごした。総務省出身で国とのパイプもある。故郷の那覇市で副市長も務めた。国としっかりコミュニケーションを取っての経済振興を進めるという訴えは、物価高も相まって、県民の胸に響いたのだろう。古謝さんが対峙した相手は、基地問題を中心に回ってきた従来の“沖縄県政”だったのかもしれない。

高市総理が早くも会談

12年ぶりとなる保守リーダーによる沖縄県政、今後への動きは急ピッチで進みそうだ。当選から2日後の9月15日、高市早苗総理が、新知事となる古謝さんと早々に会談した。そのスピーディーさに驚く。政府と与党は、新年度の沖縄振興予算を増額する方向で動き出したという。知事が交代した途端の露骨さに驚く。中国による“台湾問題”を受けての南西諸島への防衛強化、この推進についても、今後その迅速さと規模に驚かされることになるのだろうか。

基地問題への思いは不変

国際通り(那覇市):筆者撮影

しかし、保守系の県政が誕生するからと言って、基地問題に対する沖縄の人たちの思いは、決して変わっていないはずである。経済問題という“優先順位”が変わっただけであり、普天間飛行場の返還に伴う辺野古移設への反対は、根底に存在し続けているだろう。日本にある米軍関連施設の7割が沖縄県に集中し続けている現実を、政府も、そして日本に暮らす私たちひとりひとりがあらためて考える、今回の沖縄県知事選も、そのきっかけにしなければならない。

これまでの知事もウチナーンチュ(沖縄の人)ならば、新しい知事もまたウチナーンチュである。沖縄の人たちの複雑な胸中を理解して、今後の県政を進めてほしい。遠く離れた名古屋の地にいながら、そんな願いが胸に去来している。
 

【東西南北論説風(721)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

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