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「脳梗塞」と「熱中症」見分けるポイント…夏の脳梗塞 正しい見極め方

「脳梗塞」と「熱中症」見分けるポイント…夏の脳梗塞 正しい見極め方
CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、埼玉医科大学国際医療センター 脳神経内科・脳卒中内科 教授 医学博士 須田智先生です。

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今回のテーマは「〜その思い込みが運命の分かれ道〜経験者から学ぶ!夏の脳梗塞」

夏に気をつけたい身体のトラブルといえば「熱中症」ですが、実はこの時期「脳梗塞」にも注意が必要なんです。脳梗塞とは、脳の血管が詰まり失語症や半身麻痺、最悪の場合死の危険もある怖い病気。その初期症状が熱中症に代表されるめまい・ふらつきなどと似ているため、脳梗塞に気づかず治療が遅れてしまう事があるのだとか。そこで今回は、脳梗塞の正しい見極め方を専門医に教えてもらいました。

脳梗塞は夏に起こりやすい?

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

先生によると、脳梗塞は通年性で発症数に差がないと言われているとの事。ただ、夏と冬ではその主な原因が違うと考えられているそうです。

<冬に多い脳梗塞「心原性脳塞栓症」>
冬は血圧が上がりやすく、血圧が上がると心臓に負担がかかりやすくなります。そして、心臓に負担がかかると不整脈が起こりやすくなるのだとか。冬に多いのが、この不整脈が原因で心臓にできた血栓が脳の血管に詰まって発症する「心原性脳塞栓症」だそうです。

<夏に多い脳梗塞「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」>
夏は、脱水気味になる事で細い血管の血液の流れが悪くなり「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」になりやすいそうです。

脳梗塞と熱中症を見分けるポイント

熱中症に見られるめまい・ふらつきなどの症状は、脳梗塞の症状でもあるそうです。

<見分けるポイントは「片側に出る症状」>
脳梗塞は、手・脚・顔などの片側にしびれや麻痺が出る特徴があるそうです。そのため、めまい・ふらつきなど熱中症に似た症状に加え、腕や脚など片側にしびれや麻痺がある場合は脳梗塞を疑いましょう。

思い込みが命取り「症状が軽いから休まない」はNG

身体の片側にしびれや麻痺が出るという脳梗塞ですが、その症状が弱い時もあるそうです。

<夏に増える脳梗塞「ラクナ梗塞」>
ラクナ梗塞は、脳の比較的細い血管が詰まる事で発症する直径15mm以下の比較的小さな脳梗塞の事。脱水が引き金になり夏に増えると言われています。初期症状が軽いため見極めが難しく、発症した箇所によっては処置が遅れると半身麻痺などの後遺症が残る事もあるのだとか。そのため、早い処置が必要とされているそうです。

夏の脳梗塞を見極める!覚えておきたい「FAST」

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

脳梗塞を早期発見するポイントをご紹介します。

<脳梗塞チェック「FAST」>
(1)F(FACE)=顔
鏡を見て「イー」と言います。この時口角が左右対称に上がっていない場合は要注意だそうです。
(2)A(ARM)=腕
目を閉じて手のひらを上にし、両腕を上げて10秒数えます。片方の手が下がったり、内側に傾いたりする場合は要注意だそうです。
(3)S(SPEECH)=ろれつ
「パタカ」と3回連続で言えるか確認してください。

<家族が普段の様子を把握している事が大切>
脳梗塞チェックで大切なのは、家族がお互いに普段の様子を把握しておく事だそうです。本人が気づかない小さな変化に家族が気づいて早期発見につながったケースもあるのだとか。熱中症の症状に加えてF(FACE)、A(ARM)、S(SPEECH)のチェックポイントが1つでも当てはまったら、至急病院を受診してください。

思い込みが運命を左右するFASTの「T」

「FAST」の“T”は「TIME(時間)」。脳梗塞の治療で最も大切なのは、発症から治療までの時間だそうです。

<正常性バイアスについて>
正常性バイアスとは「自分には命に関わるような事が起きない」と思い込む心理の事。先生によると、身体に異変を感じても正常性バイアスがかかって、少し休めば症状が改善すると思ってしまう事は結構あるそうです。

<悩んだ時は#7119に相談を>
脳梗塞経験者のお話では、ご家族が#7119に電話をかけてくれた事で、正常性バイアスが取り除かれ、早期に治療を受ける事ができたそうです。#7119(救急安心センター事業)は、救急車を呼ぶべきかどうかなど悩んだ時に専門家からアドバイスを受けられる電話相談窓口(※実施エリアは総務省消防庁のHPで確認できます)。お住まいの地域をご確認の上、ご相談ください。

脳梗塞の原因「血栓」はなぜできる?

<血栓はなぜできる?>
血管が傷つくと、それを修復するために血小板や赤血球などが集まりカサブタのようなものができるそうです。これが血栓。剥がれて脳の血管が詰まると脳梗塞になるのだとか。先生によると、高血圧・糖尿病の人やコレステロールが高い・よくお酒を飲む・喫煙習慣がある人は、血管が傷つきやすく血栓ができやすいそうです。

<特に夏は注意!脱水が引き金に>
先生によると、脱水になると血がドロドロになり血管が詰まりやすくなってしまうとの事。さらに、夏は症状の似ている熱中症も起こりやすい時期なので、特に注意が必要だそうです。

脳梗塞の治療について

<脳梗塞治療の救世主「t-PA」タイムリミットは4時間半>
血管が詰まると、その先の細胞が徐々に壊死していくそうです。大切なのは、なるべくその範囲を狭く留める事。「t-PA」は血栓を溶かして血流を再開させる脳梗塞治療薬。ただし、発症から4時間半以内に投与する必要があるのだとか。先生によると、病院に着いてから1時間弱は検査に時間がかかるため、3時間半以内に病院に到着するのが望ましいそうです。

<日々進化を続ける脳梗塞の治療法>
先生によると、脳梗塞発症後4時間半を経過しても、全く治療法がないわけではないそうです。細い血管の場合は内服薬やt-PA以外の点滴、太い血管が詰まった場合は網のようなもので血栓を絡め取って引き抜くような治療もあるのだとか。脳梗塞の治療法は日々進化を続けており、これらの治療を受ける事によって麻痺が良くなり、歩いて家に帰れる患者さんも徐々に増えているそうです。ただ、変わらず大切なのは早期発見!早く診断がつけばそれだけ治療法の選択肢が増えるそうなので、今回ご紹介した「FAST」をぜひお忘れなく。

(2024年7月7日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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