「脂質異常症」中性脂肪を減らす6つの新ルール…中性脂肪値を下げるレシピも!リバウンド&中性脂肪の落とし穴と改善法

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、昭和医科大学医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 教授
医学博士 山岸昌一先生です。
今回のテーマは「〜基準値内でも油断禁物!〜リバウンド&中性脂肪の落とし穴!」
血液中に中性脂肪やコレステロールが多い「脂質異常症」。厚生労働省の調査によると、脂質異常症の人は食生活の変化などの影響で10年前の2倍以上に増加。その結果、動脈硬化・心臓病・脳卒中など、生活習慣病のリスクが高まっている人が増えているそうです。そこで今回は、中性脂肪が基準値内でも安心できない落とし穴や、その改善法などを専門医に教えてもらいました。
中性脂肪が増えすぎるとなぜ良くない?

中性脂肪は、活動するために大切なエネルギー源。しかし、体内に中性脂肪が溜まりすぎると「アディポサイトカイン」という炎症物質が発生し、動脈硬化・血糖値上昇・血圧上昇などを引き起こしてしまうそうです。
中性脂肪改善!4つの基本ルール
(1)脂物を控える
(2)ジュース・お菓子は厳禁
(3)軽い運動を毎日行う
(4)1か月で1kgの減量
<ポイント>
先生によると、上記4つが中性脂肪改善の基本。(1)の脂を多く含む食事は、直接的に中性脂肪の増加につながります。(2)のジュースやお菓子には糖質が多く含まれています。糖質を摂り過ぎると、消費されず余った糖質が肝臓や筋肉などで中性脂肪に変わってしまうのだとか。そのため、食事に関してはこの2つのルールが大切だそうです。
中性脂肪を減らす6つの新ルール
中性脂肪値が高い人は、下記のルールを参考にして中性脂肪を減らしていきましょう。
(1)「脂物を控える」
(2)「ジュース・お菓子は厳禁」
(3)「足腰を使う筋トレをする」
筋肉は、糖質を消費したり余った糖質を溜め込んだりする役割を果たしています。そのため、筋肉が減ると糖質の消費や貯蔵ができなくなり、中性脂肪の増加につながってしまうのだとか。中性脂肪値を改善するには、特に足腰を使う筋トレを行うことが大切だそうです。
(4)「減量しすぎない(1か月1kgまで)」
急激なダイエットは、脂肪だけでなく糖質を消費する大事な筋肉まで落としてしまいます。緩やかに痩せつつ、スクワットなど足腰の筋肉をつける運動を行うことがリバウンドを防ぐコツだそうです。
(5)「炭水化物を控える」
炭水化物の主成分は、糖質。甘いものと同様、摂りすぎは中性脂肪の増加につながってしまうそうです。
(6)「朝食はきちんと食べる」
朝食を食べないと、空腹を感じさせるホルモン「グレリン」が分泌され続けるため、お昼ごはんで暴食しがちに。そのため、朝食は抜かずきちんと食べる事が大切だそうです。
<夕食を軽くすることも大切!>
夜は身体の代謝が落ちるので、脂肪を溜め込みやすくなります。そのため、1日の活動するエネルギーは朝食と昼食でしっかり摂取し、夕食は軽くすることが大切だそうです。
基準値内でも油断禁物!中性脂肪の落とし穴
<落とし穴は「食後の中性脂肪値」>
近年、中性脂肪値の高い人だけでなく、「食後の中性脂肪値」が高い人も動脈硬化のリスクが高いことが明らかになってきたそうです。一般的に食後は一時的に中性脂肪が増加しますが、正常な人はその増加量が緩やかだそうです。
<食後の中性脂肪値を上げる原因「レムナント」>
食後の中性脂肪値を上げる原因となるのが「レムナント」。レムナントとは、動脈硬化を促進する分解途中の脂肪の塊のこと。食後の中性脂肪値が高い人は、脂肪の分解がスムーズに進まず、レムナントが多く滞留し動脈硬化が進んでしまうそうです。太っていない人でも、食後に中性脂肪値が高くなる場合があるため注意が必要なのだとか。そこで「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、食後を含めた随時での基準値が新たに設定されました。その基準値は「175mg/dl」。これ以上になると、問題ありと診断されるそうです。
<食後の中性脂肪値が上がりやすい物>
食後の中性脂肪値が上がりやすい物には、脂物・甘い食べ物・お酒・炭水化物があるそうです。
<食後の中性脂肪値が上がりにくいタイプ>
脂肪を代謝する能力が高い人やインスリンの働きが良い人は、食後の中性脂肪値が上がりにくいそうです。
<食後の中性脂肪値が高くなりやすい人の特徴>
空腹時の中性脂肪値が基準値内でも、下記の(2)〜(5)に該当する場合は食後の中性脂肪値が上がりやすいそうです。
(1)空腹時の中性脂肪値が高い人
(2)肥満・メタボリックシンドロームの人
(3)リバウンドした人
(4)糖尿病の人
(5)閉経後の女性
閉経すると女性ホルモンが減ります。女性ホルモンには肥満を抑え、脂肪の代謝を改善する作用があるため、閉経すると中性脂肪値が上がりやすくなるそうです。
<食後の中性脂肪値を測ることはできる?>
基準値が新たに設定されたことで、食後を含めた随時中性脂肪値が注目されているそうです。食後の中性脂肪値が気になる場合は、医療機関に相談してみましょう(※医療機関によっては随時中性脂肪値が測れない場合があります)。
先生直伝!中性脂肪値を下げる食事法

中性脂肪値の高い人だけでなく、食後の中性脂肪値が高い人にも効果的な食材とレシピをご紹介します。
<中性脂肪の改善に効果的な食材「おさかなすきやね」>
下記の食材を積極的に摂ることで中性脂肪値を下げる効果が期待できるそうです。
・「お」お茶・オリーブオイル
お茶は、中性脂肪値を下げるカテキンが豊富。オリーブオイルには、糖質の吸収を遅ら
せ中性脂肪の合成を抑えるオレイン酸が含まれています。
・「さ」魚
イワシやサバ缶には、中性脂肪を減らすEPAやDHAが豊富に含まれているそうです。
・「か」海藻
海藻は、糖質や脂質の吸収を抑える水溶性食物繊維が豊富だそうです。
・「な」納豆
納豆は、中性脂肪値を下げる大豆たんぱく質が豊富だそうです。
・「す」酢
酢は、腸管の動きを緩やかにし、血糖の急上昇を抑え中性脂肪を減らす効果が期待できるそうです。
・「き」キノコ
キノコは中性脂肪の吸収を抑えるβグルカンが豊富だそうです。
・「や」野菜
野菜は糖質や脂質の吸収を抑える食物繊維が豊富だそうです。
・「ね」ネギ類
ネギは中性脂肪を減らす働きがあるポリフェノールが豊富だそうです。
<中性脂肪値を下げるレシピ(1)イワシのきのこ甘酢あん>

≪材料≫
イワシ 2尾
シイタケ 2つ
エノキ 1/2束
マイタケ 1/2束
ブナシメジ 2/3束
めかぶ 2パック
めんつゆ 80g
オリーブオイル 35g
すし酢 20g
片栗粉 20g
塩・コショウ 少々
万能ネギ 少々

≪作り方≫
1.イワシに塩コショウ片栗粉をまぶしオリーブオイルで皮面から焼きます。
2.別のフライパンできのこ各種(しいたけ、しめじ、えのきなど)を炒め、めんつゆで味付けされためかぶを混ぜ、そこにすし酢を入れて味を調えます。
3.1に2をかけてネギをトッピングすれば完成
<中性脂肪値を下げるレシピ(2)サバ缶の野菜たっぷりスープ>

≪材料≫
ブロッコリー 1/2個
パプリカ赤・黄 各1/4個
ホウレン草 1束
サバ缶 1つ
トマト缶 1つ
オリーブオイル 25g
コンソメ 8g
ニンニク・ショウガ 3g
塩・コショウ 適量
パセリ 適量

≪作り方≫
1.サバ缶を汁ごとフライパンで崩しながらおろしニンニク、おろし生姜、オリーブオイルで炒めます。
2.軽く焦げ目がついたら下茹でしたブロッコリー、パプリカ、ホウレン草を入れてさらに炒め、そこにトマト缶を入れ、コンソメ、塩コショウで味を調えてパセリのみじん切りをのせれば完成です。
<「おさかなすきやね定食」>
上記2つのメニューに白米、お茶、納豆を添えれば、先生おすすめの食材が全て入った「おさかかなすきやね定食」の完成!ぜひお試しください。
継続が大切!
先生によると、中性脂肪は溜まりやすいですが、一方で減りやすい脂肪でもあるそうです。頑張れば必ず結果が出るので、中性脂肪を減らす新ルールや「おさかなすきやね」食材を日常生活に取り入れて、中性脂肪対策を継続して行うことが大切とのことです。
(2025年8月17日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
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