抗議?カスハラ?クマ駆除の北海道庁へ相次ぐ猛クレーム

北海道福島町で新聞配達員の男性を襲って死亡させたヒグマが駆除されたことを巡り、北海道庁に抗議の電話やメールが相次いでいます。8月6日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』ではこのニュースについて、つボイノリオと小高直子アナウンサー、重盛啓之アナウンサーが意見を交わします。
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男性が襲われ死亡した7月12日から、北海道庁と福島町にはこれまでに合わせて200件以上の抗議の電話が寄せられたとのこと。
中には一方的に怒鳴って電話を切る人や、2時間以上にわたって意見を述べる人などもおり、業務に支障をきたしている状況です。
このことを受けて、浅尾慶一郎環境大臣はクマ駆除への理解を訴えています。
浅尾大臣は記者会見で「人の生活圏に繰り返し出没するクマを放置することは、被害拡大を招く」とし、「時にはクマを捕らえて駆除しなければならないことをご理解いただきたい」と述べました。
さらに浅尾大臣は「過度な苦情は職員数が限られる中で活動する自治体の活動を制限し、ハンターの活動を委縮させる」と指摘したうえで、節度ある行動をお願いしたいと呼びかけているようです。
愛護の気持ちも大切だけど
駆除をすることについての抗議電話は、動物愛護の観点から生じる意見がほとんどだと思われます。
重盛「動物愛護ってとても大事な考え方だと思うんですけど、でも街中で身近にクマが出没して、亡くなっている方もいるわけで。もしも自分の街に出たらどう思うか、という話ですよね」
抗議電話の大半は北海道外の人からなのだとか。動物を守る気持ちは尊ぶべきですが、実際の地元住民とそうでない人との間には若干気持ちにずれが生じているのかもしれません。
つボイ「それでいうと秋田県の佐竹知事。抗議電話対策として『じゃあ捕まえたクマ、あなたのところに送ります』と進言した話も聞きました」
地域住民の安全な暮らしを守ることが第一である自治体としては、やむを得ずこういった判断を下すこともあると理解を呼び掛けている状況です。
もはやカスハラ?
今回の福島町の件に限らず、人の生活圏にクマが出没して駆除されたという出来事はこれまでにも何件か起こっていますが、その度に自治体へは少なくない苦情が発生しています。
小高「日本全体でこの抗議の電話をしている人って、いったい何人だろうなって。同じ人が何件もかけている可能性もありますよね。現状を分かってやっているのかな、とか。
それに最近はカスタマーハラスメントも話題ですが、そうやって電話をかけて荒い声で怒ることで何かしらを発散する。そういう目的でやっている人がいるのではないかなぁと感じてしまいます」
つボイ「『こういう方法はどうですか』みたいなかけ方であればいいんですけどね」
意見ではなくただの暴言であったり、中には「お前が死ね!」などの職員の尊厳を脅かすようなものも散見されています。
「本当に動物を思って意見を送っている人は一体どれくらいなんだろう?」と疑問を抱く小高。
ハンターに対しても
そしてそれらの批判は自治体のみならず、クマの駆除に対してものすごく厳しい制限や規制の中で、危険を冒しながらも尽力した猟友会の方へも飛んでいるのだとか。
北海道の鈴木直道知事は北海道庁の現状に対し「これはもう仕事にならない。ハンターの方にも命の危険を持ちながら捕獲していただいている。どうか理解していただきたい」と述べています。
つボイ「そんな中で一生懸命やってくれたのに、非難も受けてしまって。根本的な原因や対応策など、これから考えなくてはならない事がたくさんあります」
自治体の中からも、度を越えたクレームに対する対応策をマニュアル化するなどの動きがあるようです。「クマを駆除するな」という意見は動物愛護の観点からも決して間違ったものではありません。だからこそ、正しい伝え方で意見を届ける必要があるのではないかと思います。
(吉村)
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