井上竜は90周年シーズンに優勝できるのか?~愛しのドラゴンズ!2026~
このタイトルの問いかけに対し、コラム冒頭で回答するならば「十分に優勝あり」だろう。2026年(令和8年)、中日ドラゴンズは球団創設90年の節目を迎えた。それに花を添えるのは、15年ぶりのリーグ制覇であってほしい。(敬称略)
虎と竜の一騎打ち

年末年始に周囲の人から「2026年のドラゴンズは?」と尋ねられた時、筆者は「虎(阪神タイガース)と一騎打ち」と答えてきた。讀賣ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズからは、岡本和真と村上宗隆という4番打者が米メジャー入りした。横浜DeNAベイスターズからは、アンソニー・ケイやアンドレ・ジャクソンといった外国人投手が抜け、タイラー・オースティンという主砲も退団した。広島東洋カープは大きな戦力補強ができていないと見る。
そうなると、FA宣言したものの残留した柳裕也や松葉貴大という2投手含めて、ドラゴンズは戦力ダウンをしていない。ある人からは「なんだ、消去法的な分析か」と笑われたが「十分にペナント争いをできる」と考える。
投手の期待は「宏斗と夢斗」

投手陣では、高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)と金丸夢斗の2人に期待したい。投手キャプテンにも任命された高橋は、昨シーズン、初の開幕投手を務めながらも序盤戦で思うように勝てなかった反省を胸に、“エースの座”の確立に挑むだろう。
金丸は、ルーキーだった昨年、打線の援護さえあるならば十分に2ケタ勝利を収めたであろう、悔しいシーズンを送った。2年目の飛躍は間違いないはずだ。宏斗と夢斗、同じ学年の2人が、右と左の両輪として先発ローテーションに座り続ければ、おのずからそれぞれに勝ち星はついてくる。
「ドラフト1位」がキーワード

見事に復活したベテランの大野雄大に加えて、松葉、そして柳といった先発陣に、新たにドラフト1位で青山学院大学から入団した中西聖輝も加わる。即戦力である。実は全員がドラフト1位である。ただ、まだまだ先発のコマは足りない。「ドラ1」ということならば、仲地礼亜と草加勝もいる。この若き大卒投手たちが、先発ローテーションに食い込んでくるならば、いよいよ盤石だ。
中継ぎ陣も、腰の不調を訴えた清水達也の復帰が気になるものの、選手会長2年目の藤嶋健人がけん引する。埼玉西武ライオンズに在籍したアルベルト・アブレウも獲得した。そして、抑えには、最優秀救援投手のタイトルを取った松山晋也がいる。いつのまにか失った「投手王国」の看板を取り戻すだろう。
打者の期待は「4番の細川」

打撃陣では、3年連続ホームラン20本以上を続ける細川成也が、円熟味を増している。竜打線の柱として、最も注目したい。昨シーズンは開幕4番を外れ、その後、けがでの調整期間もあったものの、復帰後、夏場からの強打復活は頼もしい限りだった。何と言っても、福島と名古屋で、元・同僚のジャイアンツ、ライデル・マルティネスから打った劇的な2本のホームランは、このシーズンオフの間も、竜党の間で語り草だった。
注目は二遊間の確立
最多安打のタイトルを取った岡林勇希も、新たな野手キャプテンとして、リードオフマンの立場が期待される。ヒットを打ち続けると共に、打線をリードしてほしい。新たな助っ人も注目だが、来日2年目のジェイソン・ボスラーは、日本の投手陣に慣れて、その勝負強さを発揮するだろう。課題は二遊間、セカンドは田中幹也がけがなくシーズンを完走できれば盤石だが、ショートには誰が名乗りを上げるのか。ここは、期待された昨季の悔しさを胸に、村松開人に出てきてほしい。もちろん、2度のけがに泣いた福永裕基も黙ってはいないだろう。
ドラゴンズの野球が変わる

2026年シーズンは、大きな環境の変化がある。本拠地バンテリンドームに「ホームランウイング」ができて、本塁から右中間・左中間への距離も短くなり、フェンスも低くなる。間違いなくホームランは出やすくなる。これは、本拠地での野球が変わるだけではない。打者は、“大振り”をしなくてもホームランを打てることから、他球場での打撃にも好影響が出ることが期待される。
投手の攻め方も、本拠地でのホームランを防ごうとすることから、より緻密になっていくだろう。2026年シーズン、この新たな「ホームランウイング」が戦いのカギを握ることになる。
強く緻密なベンチ采配を!
ベンチ采配にも注目したい。いくら投打の戦力が整っても、それを束ねる力がなければ、勝利を積み重ねることはできない。井上一樹監督の1年目は、勝ち切れない惜しい試合も多かった。スタメン、投手交代、代打のタイミング、起用選手の指名など、まだまだ改善の余地はある。嶋基宏ヘッドコーチなど新たな指導者も加わった。井上監督の下で、首脳陣がきちんとコミュニケーションを図り、一枚岩となって選手をまとめていってほしい。リーダーの手腕が問われる2年目である。
新年を迎えたこの時期は、野球ファンにとっても楽しい初夢を見る時期である。球団が誕生して90年のシーズンは、讀賣ジャイアンツも阪神タイガースもリーグ優勝を果たした。次は当然ドラゴンズだと信じて、球春を迎えたい。もう一度くり返す、「十分に優勝あり」。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。










