7年連続Bクラスという、負の歴史を見事に断ち切った立役者、大野雄大投手。しかし、かつて投手コーチを務めた今中慎二さんは、冷静に語る。「あいつは、相変わらず開幕のスタートダッシュは良くないが、その後、一気に覚醒したね。自信を持てば、人は変われる!そこに尽きるね。だって、一球一球は、去年と何も変わらない。スピードがアップしてる訳でもない。ただ、ひとつ言えるのは、コントロールの不安が無くなったことが、自信に繋がったね」「確かに、ツーシームに頼り過ぎない配球が決まりましたね?」私、宮部が聞く。「いや、カッコつけてコーナーコーナーで抑えようとかが、無くなっただけ。意表を突いた内角がたまたま決まるのもイイけど、だいたい抑えているのは、真ん中近辺ですよ」「今季の雄大の10完投6完封、これはほんとに凄い。これも、どんどんストライクを投げることが出来たから。そうすれば、打者は振ってくれて、空振りや凡打にできる。そうじゃないと、球数を抑えることができないですよ」師匠が語る、大野雄大の凄さ「球数」で思い出す、今中さんと大野投手の師弟関係。2012年秋、阿久比球場での秋キャンプ。プロ2年目オフの大野が、古傷の心配なく鍛えに鍛え抜かれて、今があるといっていい。今中さんは当時を振り返る。「あいつは珍しい男ですよ。根っからの投手なのに、投げることがそれほど好きじゃない。お前、ピッチャーなのにどうゆうことやと。ただ、俺は現役時代に嫌いだったランニング。俺は途中で近道して、よくコーチに見つかってた。でも、雄大は、嫌いじゃない」「彼が凄いのは、練習量。どれだけやらせても、へこたれない。何やっても疲れない。潰れない。じゃあ、なぜ、そのスタミナが、ピッチングに活きないんだと。あいつに何かを教えたというより、そこからやったね」投手の基本であり、昨今、議論されがちなランニングの量と質。しかし、それが投げるスタミナとなり、まさに、今季の完投完封劇に、見事に繋がっているではないか。また、師匠今中元コーチは、肝心なブルペン投球についても、彼の性格を把握した上で、管理でも放任でもなく、追い込みつつ伸ばした。「いいから毎日投げろ!ではなく、4日間で合計400球は投げなさいと伝えたね。キャンプの1クールで400球ずつ、そうすれば、1か月で2000球近くになるからね。それと、毎日、いちいち言ってたら、彼自身の成長はない。自分で考え、シーズン中を想定しろと。先発ローテの投手は、毎日試合で投げないよ。でも、週に一回先発したら100球は超える。練習で150球投げ込んでも、試合の100球程度のこともあるしね」「あと、いわゆるブルペンというのは、コーナーに投げられても、自信にはならない。自己満足でしかないんよ。それを試合にどう活かすか、想定でしかない。そもそも雄大は、ガッチガチの管理を一番面倒くさがるタイプやからね」かつて孤高のサウスポーと貴ばれた今中さんは、1993年には最多勝と沢村賞を受賞した自身の姿を重ねる。優勝のカギ、木下拓哉「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手と木下拓哉捕手(C)CBCテレビそして、ドラゴンズファンにとって今オフ最大の喜び「大野残留」。これをチームとして「大野効果」に変え、Aクラス万歳!ではなく優勝するためには、カギは、木下拓哉捕手だと、彼を推す。「大野先発の時も、援護打撃、肩、捕球と貢献できた。ただ、大野がイイ日は、捕手はだれでもいい。むしろ、大野のおかげ。でも問題は、若い投手やその日調子の悪いピッチャーをどうリードするか。大野との勝ち試合での学びを大野以外の日にどう活かすか。難しいよ。球種も球威も全く違うから。それができてレギュラーキャッチャーですよ」出てこい、若き投手。大野アニキの弟分!小笠原に柳、梅津投手ら。そして野手も。「優勝できなければ、2位も6位も一緒」と言い切り、黙々と打撃練習に打ち込む京田選手会長ら。私も、実況アナウンサーとして、「真面目にヤンチャなエース!」と中継や番組で叫び続けて、はや数年。「ボクはおだてられたら、どこまでも登っていきますよ」と笑っていたかつてのヤンチャ左腕は、“沢村賞”という最高の栄誉を受けた。来季、さらなる高みへ登り続ける姿を実況し続けたい。燃えよ!ドラゴンズ!【CBCアナウンサー宮部和裕CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜(午後4時放送)他、ドラゴンズ戦・ボクシング・ゴルフなどテレビ・ラジオのスポーツ中継担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。山本昌ノーヒットノーランや石川昂弥プロ初打席初ヒット実況に巡り合う強運。早大アナウンス研究会仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。】