「西成は私を再生してくれた」日雇い労働の『西成』で元ヤクザを魅了する破天荒ジャズシンガー どん底からやり直す生き様

2023年2月13日(月)放送
「西成は私を再生してくれた」日雇い労働の『西成』で元ヤクザを魅了する破天荒ジャズシンガー どん底からやり直す生き様

ディレクターが一人でカメラを回し、ディープな街で“ハートフル”を探すドキュメント番組「ハートフルワールド」。舞台は、大阪府西成区のあいりん地区。道行く人にハートフルな人や場所を尋ね、“西成のリアル”に迫りました。

「会いたい」罪を犯した人たちの家族への想い

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

古くから日雇い労働者の街と知られている西成区。中でもあいりん地区は、1泊1,000円前後で泊まれる簡易宿泊所が軒を連ね、様々な事情を抱えた人たちが多く暮らしています。

そのエリア内にある通称「三角公園」は、住民や住所不定の人が多く集まる場所。そこで出会った人たちに話を聞いてみると、「刑務所に何度も入った経験がある」「覚せい剤の元売人」「背中一面に刺青が入っている」など、かつて犯罪に手を染めてしまった人や元ヤクザであることが明らかに。

そして、口をそろえて「大事なものはすべて失った」と言います。家族と縁が切れ、連絡が取れないまま何年も過ぎてしまった人も少なくありません。

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

別れた娘を探しているという男性は、「親としては会いたい。でも邪魔したくないから葛藤しとんねん。この姿見せたくないのもあるし」と話します。

その男性はディレクターに快くお酒をふるまい、過去の犯罪歴や歩んできた道を全てさらけ出してくれました。自分の過ちで狂ってしまった人生。だからこそ、男性の言葉が心に響きます。――「子どもと嫁さん大事にしなさい。自分も大事にせなあかんで」――

「西成は私を再生してくれた」どん底の人生から見つけた生きる意味

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

続いて出会ったのは、“カスシンガー”と自称する坂田佳子さん。かつては高級ホテルでジャズシンガーとして活躍。3年前から西成に移り住み、三角公園で路上ライブを始めたそう。豪快奔放なキャラクターで一躍話題になり、今では坂田さんの歌を聴くために全国からファンがやってくるのだとか。

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

坂田さんは、「元犯罪者とか元ヤクザとかを歌で調教しているんですよ。そしたらバズって、全国から自殺願望者とかリストカットしている女の子たちが泣きながら私に会いに来る」と話します。

街を歩けば必ず声がかかるほど顔が広く、写真撮影や握手を求められることも。また人のケンカを止めに入って、傷だらけになるのも日常茶飯事のよう。

離婚をきっかけにアルコール中毒になり、そこから人生どん底に落ちたと言う坂田さん。しかし、西成では街の人から「佳ちゃん」と慕われ、居場所があることが救いになっている様子。

また、「親からDVを受けたり、親に見捨てられたり辛い思いをした子たちが泣きながら私に会いに来る。その子らのお母さんになろうって決めた。自分には子どもができなかったけど、ほんまの母親になれたと思わせてくれた」と涙を流します。

“西成の母”になるために歌い続ける坂田さん。後日、路上ライブに密着させてもらうことに。

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

会場となる三角公園には、西成の住民だけでなく全国からファンが約50人集まりました。若者から年配者まで様々な人が、ライブ開催の告知をSNSで見てやって来たのです。

ライブが始まると、住民やファンの人たちの顔がほころびます。中には、涙を流しながら聴き入る人も。作らずにありのまま表現している坂田さんの姿に、住民やファンの人たちは心を打たれるそう。「ものすごく魂を感じる」と坂田さんの歌声に魅了されるのでした。

「私を信じてくれる人がいる。だからちゃんと生きなあかん。あの子たちがそう教えてくれているなと思って」と坂田さん。さらに、「西成はどん底に落ちた坂田佳子を再生してくれた街。最後に人間として戻ってきたい場所は西成です」と話します。

CBCテレビ:画像 『ハートフルワールド』

人情の街“西成”。そこは、どん底から再生させてくれる場所。失敗を乗り越え、人が人らしく生きられるディープで熱い街でした。

2月13日(月)深夜0時59分放送 CBCテレビ『ハートフルワールド』より

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