人類最速を超えた人型ロボット。中国が世界に見せたかったもの
中国・北京で開催中の「世界人型ロボット運動会」で、中国製の人型ロボットが人類の世界記録を次々と塗り替えています。8月24日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、その裏側にある中国の開発姿勢や、この先に控える課題について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く38秒15の衝撃
23日には陸上400メートル決勝が行なわれました。記録は38秒15。人類最速の43秒03を大幅に上回るタイムです。
100メートルでも、ウサイン・ボルトが持つ世界記録をロボットが超えています。ただし、100メートルを駆け抜けたそのロボットは、ゴール後に衝突して炎上してしまいました。
光山「人型ロボットが隊列をなして行進したりとか、かなりのスピードで走ったりとか、なかなかやっぱり衝撃的な映像ではありますよね」
走りながら直す国
人型ロボットの開発で、中国は他国よりも先を行っています。
石塚「良くも悪くも中国的で、まだ危ないところがあるよねっていうのもどんどん投入しちゃう」
実際に動かせば、当然ながら失敗も起こります。速く走れても止まれずにぶつかってしまうのが、その一例です。
中国はそれで構わないという姿勢です。どこが悪いのか、何を直せばいいのかを、文字どおり走りながら見極めていきます。
石塚「日本なんかそこ慎重だから、リスクあるうちはちょっとまだ現場には出せませんねっていう感じで技術を磨いてるんだけど」
力をつけた中国のロボットが一糸乱れず進む姿には、恐ろしさも感じるといいます。
兵士が死なない戦争
ロボットを工場などで使うだけならともかく、石塚が気にかけるのは軍事利用です。
ドローンと同じように、人間の兵士が死なないまま、ロボットをいくらでも投入できるようになれば、戦争のかたちは大きく変わります。
持つ側が圧倒的に強くなるか、あるいはロボット同士が戦い続けて、いつまでも終わらないか。
石塚「そういう新しい時代が来るかなーって。ちょっとリスキーだなっていう感じはしますが、でも、時代の流れとしては、こっち方面なんでしょうね」
現に、中国が夏に公開した軍の宣伝映像には、上陸部隊とともに、犬型のロボットがロケット弾を放ちながら浜辺を進撃していく場面がありました。
光山「今回は運動会っていうところの入口で見ましたけど、実際に軍事分野にも応用してるんだなっていう事実はあるわけですもんね」
大会は巨大な展示場
大会には、ロボットが上手に走ることや、ぶつかって転ぶ姿を楽しむ娯楽イベントとしての側面もあります。ただ、石塚が重く見ているのは別の役割です。
石塚「こういう利用の仕方ができるんですよ、皆さん。中国がここまで進化したんですよ、やってますよっていうのを見せる展示場の意味合いがすごく大きい」
ほかの国のロボットも参加していますが、大半は中国製です。
2025年の人型ロボットの出荷台数は、世界全体のおよそ9割を中国企業が占めています。中国では働くロボットの導入が進み、車が行き交う交差点で交通整理にあたるものまで現れました。
日本はどう向き合うか
光山「日本としてもこういうロボット産業に当然力を入れていかないと、今後を見据えていかないといけないっていう部分があるわけですね」
日本にもその意思はあるはずだと石塚は見ています。
ただ中国は、まだ無理だと思うものでも街へ出し、失敗したところを直せばいいという姿勢です。そこに国のバックアップが加わり、開発を後押しします。大会のようなイベントで成果を誇示するのも、その流れの一環です。
石塚「いい側面ももちろんあるけれど、ちょっとそこのところをどうしたらいいの、っていう課題もいろいろあるっていうことは見ておいた方がいい分野ですよね」
人類の記録を超えるまでになった人型ロボット。その進化の速さと危うさは、これからも背中合わせで進んでいきそうです。
(minto)
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