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足立区“車暴走“殺人容疑で再逮捕。キーワードの「未必の故意」とは

足立区“車暴走“殺人容疑で再逮捕。キーワードの「未必の故意」とは

昨年11月に東京都足立区で発生した車暴走事件で、容疑者が殺人容疑で再逮捕されました。再逮捕のキーワードは「未必の故意」。1月6日の『CBCラジオ #プラス!』で、弁護士の正木裕美さんが、殺人容疑を適用した背景について詳しく解説しました。聞き手は光山雄一朗アナウンサーです。

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足立区車暴走事件

事故が起きたのは昨年11月の東京都足立区。
近くの自動車販売店から盗まれた乗用車が、横断歩道上の歩行者をはね、その後歩道に乗り上げてさらに複数の歩行者をはねました。

車は最終的にガードレールに衝突して停止し、この事故で2人が死亡、12人が重軽傷を負うなど、合わせて14人が死傷しました。

警視庁はこれまでにも容疑者をさまざまな容疑で逮捕してきましたが、今回は歩道を歩いていた通行人ら6人を殺傷したなどとして、殺人容疑などで再逮捕しました。

歩行者の存在を認識していたことや、アクセルを踏んだまま歩道を走行し、衝突直前にブレーキをかけた形跡がなかった点などを理由に、未必の故意があったと判断したとしています。

未必の故意とは

今回の事件を理解する上でのキーワードとなる「未必の故意」。
正木さんは刑法上の故意の考え方を説明しました。

正木「故意には、はっきり『殺してやろう』と思っている場合と、そこまで明確ではないけれども、これをした結果、他人が死んでしまっても構わないと認識し、それを受け入れている状態の2種類があります」

後者が未必の故意にあたり、明確な殺意がなくても、「死亡する可能性を認識し、任用していた」と評価されれば、結果として他人が亡くなった場合に殺人罪を問うことができるといいます。

正木「『殺してやろう』とは思っていなくても、死んでしまっても構わないと認識している以上、その結果について責任を負わせても問題はない、という考え方です」

容疑者の供述は

容疑者は取り調べの中で「歩行者に時速60キロで突っ込めば亡くなることはわかっていた」という趣旨の供述をしています。
この発言が未必の故意の判断につながるのでしょうか?

これに対し正木さんは、「現時点では明確に殺そうとしたという供述はない」とした上で、「少なくとも危険性を認識していたという点は重要」と指摘します。
もし「他人がいないと思っていた」「殺意はなかった」という認識であれば、殺人の立件は難しくなり、危険運転致死傷などにとどまる可能性が高くなるとのこと。

一方で今回は、歩道に人がいることを認識し、そこで60キロで走れば当然亡くなるということをわかっていた、そしてそれを受け入れていたという供述が取れたことが、殺人容疑での再逮捕につながったと考えられるとしています。 

今後はどうなる

今回の再逮捕について光山が受け止めを尋ねると、正木さんは「理論的には殺人が成立し得る事案」としたうえで、「公判を維持できるだけの証拠を集めるための、かなり慎重で粘り強い捜査だと思います」と話しました。

供述が将来変わる可能性や、裁判で供述調書の証拠能力が争われることも想定されるため、捜査機関としては客観的な証拠の積み重ねが不可欠になります。

正木「被害者の立場からすれば殺人として立件してほしいという気持ちは強いと思いますが、実際の裁判では適用罪名が軽くなるケースも少なくありません」

今後、殺人罪として起訴されるのか、また裁判でどのような判断が示されるのか、この事件は引き続き注目されることになりそうです。
(ランチョンマット先輩)
 

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