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ミスを起こした職員に厳罰化?役所の方針に「かえって逆効果!」の懸念

ミスを起こした職員に厳罰化?役所の方針に「かえって逆効果!」の懸念

10月17日、京都新聞が保持たところによると、滋賀県長浜市の浅見宣義市長は、市庁内で続発する事務ミスの対策として「過失の程度や重大性によって適正な処分を行なう必要がある」と述べ、厳罰化を進める考えを示しました。長浜市ではこれまで故意ではない単純ミスは、原則として処分の対象外にしていましたが、続発を受けて今後は戒告以上の懲戒処分を下す場合があるとしています。この処分は果たしてミスの防止に効果的なのでしょうか?10月25日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、情報セキュリティ大学院大学名誉教授で一般社団法人日本セキュリティ心理学会代表理事の内田勝也先生に話を伺いました。聞き手はパーソナリティの北野誠と大川興業総裁の大川豊、加藤由香アナウンサーです。

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ミスの原因は個人ではなく組織

まず「ミスにはさまざまなものがあり、なぜミスを起こしたのかわからないケースがたくさんあるはずで、一律に(処分の内容は)決められるものではない」と語る内田先生。

さらに「ヒューマンエラー、つまり人為的ミスは個人の問題と考えがちですが、基本的にはほとんど組織の問題である」と続けます。

例えば、暗い所で文字を読まなければならない場合に読み間違えるのは環境の問題ですし、役所の窓口業務であれば、住民がよく訪ねてくると作業が中断されてしまうといったことも考えられます。

また、10分で終わる作業なのか、2時間で終わる作業なのかによってもミスの内容は変わります。処分を下すのは単純ではなさそうです。

仕組みを作る方が大事

最近は「人間はミスをするもの」という大前提に立った上で仕組みを考えるべきという考えが増えてきています。

有名な話で、アメリカの大手金融機関であるシティバンクでは、通常は2人でチェックするのを3人に増やしても、結局、ミスした内容が通ってしまったということがあったそうです。

もちろん、チェックする人数を増やすことでミスの回数を減らすことはできるかもしれません。
しかし、ミスをゼロにはできないため、例えばシステム側でエラーをチェックして誤入力を防ぐなど、エラーを防ぐ仕組みを作る必要があります。

ミスを防ぐ本当の方法

では、実際にミスを繰り返す人がいた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

内田先生「一番大事なのは、まずはミスを繰り返す原因を調査すること」

ミスを起こすのが悪意かどうかを調べるのは難しいですが、例えば、ある会社ではノートパソコンを持ち出して仕事をする人がしょっちゅう外で忘れてくるという事例があり、調査したところ悪意があったそうです。

しかし、悪意がなくても何度もミスしてしまうという場合もあります。
これが厳罰化したからといって、解決するとは限りません。

むしろ厳罰により緊張してしまい、職員が本来のパフォーマンスが発揮できない、むしろミスを誘発してしまうという可能性があります。

これは入試で極度に緊張して、いつもよりも実力が出せなかったということに似ているかもしれないと内田先生は語りました。

ただ、ミスの原因を調べるのは「職場の人よりも第三者の専門家が行うのが良い」とまとめました。
(岡本)
 

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