和合の魔物をどう攻略する?地元の星・小木曽喬が挑む10回目の中日クラウンズと王冠への執念
「地元で勝つというのは、本当に一番の目標に挙げてやっているので、気合はいつも入っています」。小木曽喬(おぎそ・たかし)の言葉には、静かだが確かな熱がこもっていた。
昨年末のJTカップ。彼は重圧を跳ね除け、国内メジャーという大舞台でツアー2勝目を飾った。

赤いジャケットを羽織り、トロフィーを掲げる姿は記憶に新しい。賞金ランキングも自己最高の4位に食い込み、まさに充実の時を迎えている。だが、彼の頭の中には、常に地元・名古屋での忘れ物があるようだ。
悔しさを糧にしたスイング改造
「去年は空回りでしたね。予選落ちたなって思ったぐらいの調子だったんで」。
小木曽は、2025年の中日クラウンズをそう振り返る。彼にとって、この大会は特別な意味を持つ。一昨年、2024年の大会では首位で最終日を迎えたが、4番、5番ホールでスコアを落とし、優勝を逃している。
「あのミスは、当時の自分の状態からしたら出るミスだったなと思います。何が足りないのか、すごく考えました」。
普通なら、シーズン途中でスイングを変えるなんて正気の沙汰ではない。しかし、彼は違った。「3シーズン後を見据えてスイングを作ろうと思ってやっていたので。そういう長い目で見られたのが、今につながっていると思います」。
目先の勝利ではなく、未来の自分に投資したのだ。その結果が、JTカップでの優勝という形で結実した。全体のレベルを少しずつ底上げしていく。それが、小木曽喬というプロゴルファーの揺るぎないスタイルである。
魔物が棲む和合との対峙
舞台となる名古屋ゴルフ倶楽部 和合コースは、日本屈指の難関だ。距離は短いが、小さく硬いグリーンが選手を容赦なく弾き返す。歴代の覇者たちも、このコースの「魔物」に幾度となく泣かされてきた。
「ワンショットで本当に流れが変わるコースだなと思っています。全ホールのショットが、流れを変えてしまう可能性があるんです」。
和合の風は、向きだけでなく強弱の判断が難しい。一瞬の油断が命取りになるため、ラウンド後の精神的な消耗は計り知れないという。
「1日絶対悪い日が来ると思うんですけど、そこの苦しい時間帯をどうやって乗り越えるか。いろんな対応力がすごく大事かなと思います」。
10回目の出場となる今年。彼は、結果だけでなく、自分自身の成長をこの和合で確かめようとしている。
後輩からの刺激と、見据える世界
小木曽の闘志に火をつけているのは、過去の自分だけではない。後輩である金子駆太(かねこ・こうた)が、一足先に賞金王に輝いたのだ。「向こうはどう思っているかわからないですけど、やっぱり年下が頑張っているというのは、すごく刺激をもらっていますね」。

今年の目標を問うと、彼は力強く答えた。「やっぱり賞金王になることが、まず目標です」。
さらに、その先には海外挑戦という新たなステージも見据えている。
「自分は海外がすごく苦手なんですけど。でも、また自分を成長させてもらえるチャンスをいただいていると思うので、どんどん挑んでいきたいなと思っています」。
まずは、生まれ育った地元の声援を力に変える時だ。和合の魔物をねじ伏せ、王冠を頭上に戴く。



