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高低差45mの「河津七滝高架橋」はなぜ“二重らせん”構造に?静岡・伊豆半島「ジオパーク」を体感できる意外な道とは

高低差45mの「河津七滝高架橋」はなぜ“二重らせん”構造に?静岡・伊豆半島「ジオパーク」を体感できる意外な道とは
CBCテレビ『道との遭遇』

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニア歴27年の鹿取茂雄さんが、伊豆半島の「ジオパーク」にまつわる道を巡ります。

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【動画】温泉旅館に“防空壕”!?地層がむき出し…五右衛門風呂へと続く道の様子はこちら【2分33秒~】

温泉旅館の中にスコリア層!?風呂に続く防空壕から見られる地層

CBCテレビ『道との遭遇』

鹿取さんが訪れたのは、静岡県伊東市。一般の男性とともに、道を巡ります。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「伊豆半島ならではの独特な地形『ジオパーク』を見たい。伊豆半島は、日本における最大規模に近いジオパーク」

CBCテレビ『道との遭遇』

火山や断層、地層などの地質学的に貴重な場所を守りながら、教育や観光に活かして活動する場所「ジオパーク」。科学的な価値はもちろん、地域の活動や保護の取り組みなどの厳しい基準をクリアし、伊豆半島は2018年、ユネスコ世界ジオパークに認定されました。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「伊豆半島は、約50万~100万年前に隆起した海底火山の島が本州に衝突し、一体化した。伊豆半島を語る上で、ジオパークは欠かせない存在。それと共にあるのが道。今日は道目線でジオパークを巡っていきたい」

伊豆半島の中でも、特にジオパークを体感できる道を鹿取さんが厳選。“地層・地形・地質”がそれぞれ楽しめるという3つの道を巡ります。

CBCテレビ『道との遭遇』

2人はまず、“地層”が楽しめる場所へ。「温泉地の真ん中に意外なジオパークがある」と到着したのは、大正14年創業の温泉旅館「大東館(だいとうかん)」。様々なお風呂がある中、鹿取さんが向かったのは…

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「温泉旅館の中に“防空壕”がある」

CBCテレビ『道との遭遇』

旅館の建物の中に突然現れる「防空壕」と書かれた看板。のれんをくぐると、薄暗くひんやりした洞穴のような空間が奥まで続いています。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「ここは元々、防空壕だった。戦跡であり、ジオパークであり、今は温泉旅館の道として使われている」

第二次世界大戦中に掘られた防空壕を整備して、今は五右衛門風呂に続く通路として活用されているそう。伊豆半島の地層を間近で見られる、「知る人ぞ知るジオパークスポット」と鹿取さん。

この防空壕は、かつて弾薬や物資の貯蔵を目的とされていたため、至る所に分岐路があり、その全ての距離を合わせると300mにもなるそう。そして、鹿取さんがここで最も見てほしいというものが…

CBCテレビ『道との遭遇』

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「防空壕の外壁に縞模様。地層がはっきりと見える」

この地層は約2万3000年前、伊豆半島東部にある「鉢ヶ窪(はちがくぼ)火山」の噴火により飛び出した岩石が積もってできた“スコリア層”。旅館の方によると、昭和56年、旅館を増築するため横にあった小山を切り崩していた時に、偶然この防空壕を発見。

当時のオーナーが温泉に続く道にしようと考え、自らショベルカーを使って通路を整備。それが今なお残されているとのことです。

高低差45mを攻略!二重らせん構造の「河津七滝高架橋」

CBCテレビ『道との遭遇』

続いては、伊豆半島の“地形”を体感できるという、道マニア界でも有名な道へ。訪れたのは、賀茂郡河津町。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「普通の道にはない、珍しい特徴がある。橋全体が“二重らせん構造”になっている」

伊豆半島の中心を南北に走る国道414号には、二重の円を描くループ橋「河津七滝(ななだる)高架橋」があります。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「高低差が大きいと、直線では坂道がキツすぎる。ループにすることで坂道をなだらかにしている」

この地域周辺は伊豆東部の火山群に属し、昔から繰り返す噴火と溶岩流の影響を受けたため、地形が急峻でその高低差は45mにも及びます。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「ループ橋ができる前はつづら折れの道があったが、地震で崩れてしまった。地震に打ち勝つ道として、このループ橋が造られた。道マニアとしては最高のジオパーク」

1978年に発生したマグニチュード7.0の伊豆大島近海地震により、国道414号が崩落し、道路の復旧は困難な状況に。

複数のプレートがぶつかり合う位置にある伊豆半島は、日本有数の地震多発地帯とされていたため、いずれ起こるであろう地震に負けない道路を目標に、二重のループ橋の建設が計画されました。

CBCテレビ『道との遭遇』

45mの高低差を解消しつつ、地震や土砂災害に強いルートを設計し、復興のシンボルとしての役割も担う、シンボリックな“らせん構造”の建設が進行。

そして、地震発生から3年後の1981年。全長1064m、直径80mという大規模な二重のループ橋が完成しました。

「伊豆石」の石切場跡「室岩洞」

CBCテレビ『道との遭遇』

最後は、伊豆半島の“地質”を間近で観察できる場所へ。訪れたのは、賀茂郡松崎町を走る国道136号。脇には、「室岩洞(むろいわどう)」と書かれた看板が設置されています。入口から階段を下りていくと…

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「ここは、石を切り出すための石切場跡。伊豆半島ができる前の海底火山の噴出で生まれた石を切り出して運んでいた」

CBCテレビ『道との遭遇』

江戸時代から昭和にかけて、石切場「室岩洞」では軽くて加工しやすい「伊豆石(いずいし)」を採石。江戸城の石垣など、資材として重宝されていました。奥には洞窟のような空間が広がっており、さらに進んで抜けると、海が眼下に広がる外に出ます。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「切った石を、斜面を滑らせて海まで落とし、船に積んで運び出していた」

当時、室岩洞の周辺には道路がなかったため、石材はここから海岸へ滑らせて落とし、船で運び出されていました。

CBCテレビ『道との遭遇』

伊豆石は、「石引き道」や「石出し道」と呼ばれた道を通り、街の礎として長く使われていたとのことです。

CBCテレビ「道との遭遇」2025年6月24日(火)午後11時56分放送より

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