代打の神様・阿部寿樹、異文化経験から進化し研ぎ澄まされた思考の先は『呼吸』
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
阿部寿樹選手といえば、今シーズン、代打打率.333、得点圏打率.478とチャンスで驚異的な成績を残しているプロ11年目の頼れるベテラン。終盤のチャンスの場面で、阿部選手が出てくると勝ちを確信するような気持ちになれる程信頼感のある代打の神様とも言える存在だ。今回のサンドラは、そんな阿部選手が如何にしてその勝負強さを獲得したのか、東北楽天ゴールデンイーグルス在籍時の経験も交えて探っていく特集だ。それでは早速振り返る。
「スコアボードは見たくない、呼吸にだけ集中」打席前の集中法

アナウンサー「今シーズンのここまで、どのように振り返りますか?」
阿部選手「いい時もあったり、悪い時もあったり、って感じですかね。いいところで出さしてもらってるのでそこで結果が出るのはいいこと」
アナウンサー「代打打率、得点圏打率、相当高いと思いますが、この辺りについてどう思いますか?」

阿部選手「打率とか得点圏打率は多分下がっていくと思うので、そこを気にせずですかね。僕もう、スコアボードも見たくないので、高くても低くても見たくない。考えなくてもいいことを考えてしまう。ネクストバッターズサークルに入る前は、配球、球種を考えていますけど、ネクストバッターズサークルに入ってからは、見るだけとか、呼吸するとか。呼吸が乱れたりするので、一つだけ集中したいなと思いながらやっています。集中させる部分はどこでもいい。自分がコントロールできる場所をコントロールしたいと言う考えですね。あんまり他のことを考えたくないので」
もうひとつ、勝負の場面で阿部選手の頭の中にあるのは。
阿部選手「シンプルに一つだけ、真っ直ぐを弾きたいと思って打席に入ったりとか、何とか芯付近に当てて強い打球を飛ばすっていう作業というか」
『作業』という言葉が示すように、極限までやることをシンプルに絞って挑んでいる。
さらに、今シーズンの阿部選手を語る上で、欠かすことのできない要素が『初球』だ。カウント別の打率は一球目が13打数の8安打.615と脅威的な数字で、他のどのカウントよりも高い。
阿部選手「そこは意識してやっています。どうせダメなら最初から言っても2ストライク追い込まれていっても一緒。それだったらもう最初にいきたい。攻めていきたいというか、打席立ったらもうストライクゾーンの四隅に投げられたら打てないですし、甘いボールを振りに行けるかどうかだと思う」
アナウンサー「交流戦を見ていると、パ・リーグのバッターって結構みんなそうじゃないですか?」
阿部選手「そうですね。振ってきますね」
アナウンサー「イーグルスにいた3年間はそことリンクしますか?」
阿部選手「すごく勉強になりましたし、スイングも強いですし、守っていても怖い。そういうのは、本当に勉強になった。見習うところが多い。それを何とか、実践したいと思いながら、ずっとやっている」
アナウンサー「ファーストストライクをしっかりいくという気持ちは以前よりも濃くなっている?」
阿部選手「濃いと思いますね」
パ・リーグで経験したことをフィードバックしてファーストストライクをしっかり攻める姿勢は、より集中してピッチャーと対峙することを意味する。それは先に語られた打席でのやることを極力シンプルにすることとも結びつき、その前段階の準備の質を如何に高めておくかということでもあるだろう。語られてはいないが、そういった部分にベテランならではの経験も加わりこの凄まじい成績を支えているのだろう。
阿部さんは予言者?チームメイトが阿部寿樹に感じること

イーグルスで過ごした3年間で、異なる文化の経験値を貯めレベルアップした阿部選手にチームメイトは何を感じているのか。
樋口正修選手「阿部さんは常に自分が打席に立ってない時も、映像見ながら『次これ来そう』『こうなりそう』を予言じゃないですけど、予測していて意外とそれがバチっとハマるので、先を見ている」
平田良介コーチ「打席の中で考えていることもあると思う。でもその考えていることを減らしているのかなと。チームのみんなに広めていってもらえたらと思います」
試合中のやりとりだけではなく、試合前などに後輩選手たちが阿部選手にアドバイスをもらいに行くシーンを見かけることがある。チームにおいての打撃の成績だけじゃなく、後輩選手にとっても良い影響が波及していくそんな存在になっているのだ。
阿部選手「一回辞めるかやるかどうしようか迷っていた時期に、声をかけてくださって、拾っていただいたのでチームにどう貢献できるか考えながらやりたいと思っていた。代打は難しいですけど、やるしかないので、腹を括って、良くても悪くても腹を括ってやりたい。CSを争うだけでも選手の成長に繋がると思うので、そこの壁を越えたら、またすごく成長すると思う。僕もCSは出たことないので行ってみたいですし、そこを目指せる位置にいますし、それをどう乗り越えられるか、選手個々が考えていると思うので、チームとして勝てるようにみんなで頑張っていけたら」

他球団に移籍して異なる視点や考え方を吸収して成長した阿部選手が発した、CSは成長できるきっかけになるという言葉には強い説得力がある。ホーム6連戦でまさかの負け越しを喫してしまい苦境に立たされている状況ではあるが、泥臭くてもいい、CS争いにまだまだ諦める事なく喰らいついて欲しい。その闘いに掛けた全ての力が経験という名の財産になり、いつかの結果に繋がるはずだ。結果だけでなくそのストーリーも含めて応援していきたい。頑張れドラゴンズ!
澤村桃










