ピアノ伴奏譜がない校歌!?伴奏譜を探す中で見つけた作曲者の意外なメッセージ

2023年5月12日(金)放送
ピアノ伴奏譜がない校歌!?伴奏譜を探す中で見つけた作曲者の意外なメッセージ

日々の暮らしの中で時折頭をもたげる、ちょっとした疑問や探し物。そんなお悩みを解決してくれるのが「暮らしのギモン ちょいと解決しましょう課」です。

今回は、伝統ある高校の校歌にまつわる疑問。中山真希調査員(以下、中山調査員)が、解決のために手を尽くしました。

創立100周年までに、伴奏ありで校歌を歌いたい…!

CBCテレビ:画像『チャント!』

中山調査員がやって来たのは、名古屋市南区にある名古屋市立桜台高等学校。ギモンを解決してほしいとメールしてくれたのは、この高校に入学したばかりの1年生、大八木康太郎さんです。

(桜台高等学校1年・大八木康太郎さん)
「僕の学校は校歌があるが、人が歌う主旋律のパートの楽譜はあるのに、なぜかピアノ伴奏譜がないというのを解決してほしい。音楽の先生が、伴奏譜がないと話していた」

校歌にはピアノ伴奏が付き物ですが、その譜面が無いといいます。主に伴奏するのは先生のはずですが、なぜ生徒の大八木君が伴奏譜を探しているのか聞きました。

(桜台高等学校1年・大八木康太郎さん)
「来年、桜台高校は100周年を迎える。(伴奏譜が)あるなら弾いてみたい」

CBCテレビ:画像『チャント!』

桜台高等学校は大正13年、名古屋市立第三商業学校として創立。統合などを経て、昭和23年、桜台高等学校となりました。2024年で創立100周年を迎えるという歴史ある学校なのに、なぜ校歌の伴奏譜がないのでしょうか。

見つけた!作曲者は当時高校1年生だった在校生

CBCテレビ:画像『チャント!』

学校の歴史を記した資料を保管している校長室で資料を探し、校歌について載っているページを見るも、やはり歌詞と主旋律のみ。伴奏譜はありません。しかし、昭和24年度の行事記録を開くと…

“学園歌決定。作詞は藤代治秀教諭、作曲は熊谷賢一(1E)”という記載が。

(桜台高等学校・藤井万希子教頭)
「“1E”ということは、1年E組の生徒だったのでは?」

CBCテレビ:画像『チャント!』

なんと、校内公募で選ばれた熊谷さんは当時の在校生。しかも高校1年の時に作曲していたのです。

戦後、横浜から名古屋に移住した熊谷さん。校歌の作曲がきっかけになったのか、その後合唱曲「青葉の歌」やマンドリンのためのオーケストラ曲を作曲。さらに、東海3県の様々な学校の校歌も手掛けるなど、名古屋を中心に幅広く活躍した作曲家となりました。

CBCテレビ:画像『チャント!』

本人に聞けば、伴奏について分かるはず。意外と早くギモンが解決するかと思いきや、熊谷さんは2017年に83歳で逝去されていました。そこで、熊谷さんの親族に連絡を取り、資料が残っていないか探してもらうことに。

「自由に伴奏してくれれば…」作曲者が遺していた言葉

CBCテレビ:画像『チャント!』

熊谷さん本人に話を聞くことができず、手詰まり感が漂う中、桜台高校に赴任して4年目の音楽担当・菊次翼教諭から提案が。

(桜台高等学校 音楽担当・菊次翼教諭)
「4代か5代前の(音楽の)先生なら、連絡は取ることができる」

CBCテレビ:画像『チャント!』

菊次先生の音楽学校時代の先輩にあたる、名古屋文理大学・客員教授の櫻井雅子さんは、昭和60年から平成3年まで桜台高校に赴任。当時も譜面はなく、やはり菊次先生と同様、自分でアレンジして伴奏していたそう。しかし、櫻井先生は熊谷氏本人と会ったことがあるといいます。

CBCテレビ:画像『チャント!』

(桜台高等学校 元音楽教諭・櫻井雅子さん)
「桜台の校歌を伴奏譜がないので、私なりに弾いているとお伝えしたら『自由にやってくれればいい』と」

作曲者自身が「自由に伴奏してくれればいい」と話していたため、櫻井さんは伴奏譜がないと思っていたそうです。つまり、伴奏譜は元々存在しなかったのかもしれないし、存在しなくてもいいモノだったのではないでしょうか。
授業が終わった大八木君に、ピアノ伴奏譜が見つからなかったことを報告。これが正解だという伴奏がないことを伝えました。

自分なりのアレンジで伴奏に挑戦!次の世代に校歌のバトンをつなぐ

CBCテレビ:画像『チャント!』

中学時代、コロナ禍でまともに校歌が歌えなかった大八木君。「高校生活こそは…」と、校歌への思い入れが強くなり、今回伴奏譜探しを依頼したそう。譜面は見つかりませんでしたが、実際に伴奏してみたいということで猛練習を開始します。10日後、合唱部の歌と一緒に演奏することになりました。大八木君は、100周年を迎える桜台の校歌にどんな伴奏を考えたのでしょうか。

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(桜台高等学校1年・大八木康太郎さん)
「前半は爽やかな感じで、後半にかけて盛り上がっていくアレンジにしました」

作曲した熊谷賢一さんのご子息、哲也さんからも連絡がありました。

(熊谷賢一氏のご子息・熊谷哲也さん)
「伴奏譜は残念ながら見つかりませんでした。父が作曲したのも高校1年生の時なので、高校1年の彼(大八木君)が自分で演奏したいと(言ってくれた)。歴史がつながっているのがうれしい」

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熊谷さんから「伴奏は自由に」と託された櫻井先生も、熊谷先生から大八木君まで歴史のバトンが渡ったことを喜んでいました。大八木君も、自分の思った通りに弾けたことに大満足。

最後に、快く協力してくれた校長先生にも感想を聞きました。

(桜台高等学校・内木泰志校長)
「伴奏譜がない中で、すごく上手に弾けたんじゃないかと思う。“思い”を次の世代に引き継いでくれるのではないかなと思う」

CBCテレビ:画像『チャント!』

依頼された伴奏譜は見つかりませんでしたが、自分なりの伴奏に挑戦してくれた大八木君。思っていた結末とは違いましたが、無事、中山調査員はギモンを解決できました。
CBCテレビ「チャント!」5月12日放送より

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