伝統ある和合に、これほどまでに瑞々しく、かつ恐ろしい才能が同時に現れたことがあっただろうか。日本最古の民間トーナメント「中日クラウンズ」。舞台となる名古屋ゴルフ倶楽部和合コースは、距離こそ短いが小さく硬いグリーンと巧妙な罠が待ち受ける、「魔物」が棲む難関だ。しかし、今年の和合は一味違う。愛知が誇る二人のスーパー高校生が、まったく異なるスタイルでこの魔物に挑もうとしているのだ。加藤金次郎選手と松山茉生選手(C)CBCテレビ規格外のパワーで和合をねじ伏せる「剛」の松山茉生一人目は、規格外のパワーで和合の距離を無効化しようと目論む「剛」のゴルファー、高校3年生の松山茉生(まつやま・まお)だ。恵まれた体格から放たれるドライバーショットは平均315ヤード、最長で330ヤードを超える。前回のドラコン大会では、河本力など名だたるプロを退けて優勝するほどの圧倒的な飛距離が、彼の最大の武器である。だが、昨年は和合の魔物に牙を剥かれた。「本当に去年は和合の難しさを真に受けたというか、めちゃめちゃ難しいところにはまって崩れてしまった」と本人は振り返る。初日は、バンカーでトリプルボギーを叩き、無念の予選落ちを喫した。しかし、彼はただの飛ばし屋ではない。この1年、ナショナルチームで食事面から見直し、和合攻略のためにグリーン周りの精度を徹底的に磨き上げてきた。「自分がどれだけ通用できるのか知りたいですし、優勝争いできるように頑張りたい」。進化したパワーモンスターが、地元で大暴れする準備は整っている。松山茉生選手(C)CBCテレビ冷静沈着、魔物の裏をかく「柔」の加藤金次郎二人目は、正確なショットと冷静な判断で魔物に挑む「柔」のゴルファー、高校1年生の加藤金次郎(かとう・きんじろう)だ。昨年、15歳にして史上最年少プロとなり、中学生の頃から単身タイで合宿を行うなど、異例のキャリアを歩んできた。彼の強さは、何事にも動じない強靭なメンタルにある。「試合の前も全然大丈夫だろうと思って臨んでいるので、全く緊張しない」と平然と言い切る姿は、とても15歳とは思えない。昨年はアマチュアとして出場し、わずか1打届かず予選落ちとなった。「1打差だったからこそ、次こそ絶対いけるだろうなと思った。必ず優勝します」と、静かな口調の中に熱い闘志を隠し持つ。正確無比なアプローチを武器に、和合の罠を軽やかにすり抜けていくに違いない。加藤金次郎選手(C)CBCテレビ愛知が誇る「地元の星」たちの絆と野望彼らは、地元ファンが待ち望んだ「地元の星」である。共に練習ラウンドを回るなど親交が深いが、互いを強く意識し合うライバルでもある。松山は加藤について、「どんな状況でも物怖じせず、強い意志を持って最後までやり切るのを感じる」と一目置いている。加藤のプロ転向に刺激を受け、「自分もプロの世界に行って活躍したいという気持ちが強くなった」と語る。一方の加藤も、プロとして地元のファンの前で結果を出すことにこだわる。「地元は本当に大きいですし、見に来てくれる方が良かったねと言ってもらえるようなプレーをしたい」。互いに切磋琢磨しながら、二人は同じ頂を目指している。彼らの視線はすでに、日本を越えて世界へと向けられている。18歳での賞金王、そしてPGAツアーでの活躍。そんな途方もない夢すら、彼らなら叶えてしまうのではないか。そう思わせるだけの魅力が、この二人にはある。今年のクラウンズは、単なるゴルフトーナメントではない。日本ゴルフ界の勢力図が大きく塗り替えられる、その歴史的瞬間の目撃者に私たちがなれるチャンスなのだ。ぜひ和合に足を運び、この瑞々しくも恐ろしい才能の共演を、その目に焼き付けてほしい。