少子化の中、こどもが増える環境を作っている奇跡の保育園
『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)の「ズバリこの人に聞きたい」は、話題の人や本の著者に北野誠がインタビューを行なっているコーナー。4月11日の放送では、『少子化に打ち勝った保育園 熊本「やまなみこども園」で起きた奇跡』(新潮社)の著者で、ノンフィクション作家の石井光太さんが出演しました。熊本市にあるやまなみこども園は保育のプロが注目する保育園。日本社会では少子化問題が深刻な中で、この園にこどもを通わせた保護者たちはたくさんのこどもを産み育てているとか。その理由を北野誠が尋ねます。
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この本では長年こどもの問題を追い続けている石井さんが、3年の取材を経て現場の秘密を綴っていますが、そもそもやまなみこども園に注目したのはなぜでしょうか?
石井さん「昨今の社会的風潮として、こどもを産むことがコストが悪いとか、子育てをすることがつらくてしょうがないという声が非常に高まっていて。
国としてはもちろん少子化を抑えたいということで何兆円、何十兆円もの血税を注いでいるにも関わらず、少子化が収まらない、高まっている状況が続いてますよね。
ただそういった中で、やまなみこども園はこどもを預けるだけで親がすごく幸せになって、園と一緒に子育てをしたいからこそ、もう1人こどもを育てたいというふうに考え、3人、4人、5人とこどもを産んでいくんですよね。
国が税金でやっていく政策が間違いとは思わないんですけど、それ以外にこどもを産み育てる幸せということを違う角度から考えていかないと、少子化の問題はきちんと捉えられないんじゃないのかなと思っていた時に、やまなみこども園で起きている奇跡を知って、取材したいなと思いました」
学費や保険が無償化になるのは子育ての上で助かりますが、根本的に子育てが楽しい、生きがいを感じなければ、なかなか育てようという気持ちにはならないかもしれません。
自然の中でのびのびと
やまなみこども園は熊本市動植物園の近くにあり、自然に囲まれた認可外保育園です。
朝7時になると、親に連れられたこどもが3着分の着替えを持ってやってきます。3着も必要というのは、自然にのびのびと遊ぶため。
自然の環境で遊ぶというコンセプトの幼稚園は増えてきていますが、やまなみこども園の大きな違いは、遊びに工夫があるということ。
いかに短い時間で刺激を与えるか、冒険のようなことをさせるかといった、ひとつの遊戯の中にもさまざまな要素を取り入れているというのが、一番の特徴だということです。
遊びに工夫を
園の方々はもちろん、保護者と一緒にいろいろと遊びの工夫を行うことで、保護者も大きく関わるのも特徴です。
石井さん「親はどちらかというと学校行事に関わりたくないという風潮がありますけど、この園では親自身が保育に関わることによって、親として成長できるという環境がたくさんあるんですね。
親として自分が成長すればするほど、こどもも同じように大きく成長していく。
その成長を見るのが楽しいからこそ、どんどん参加したいというような良い循環が園の中で回っていて、それがこどもたちをふつうの園に預けるよりも何倍にも育てていくという状況を生んでいるのかなと思ってます」
そして、卒園することでやまなみこども園との縁が切れたくないと思った親が、下の子を産んでさらに同じ園に通わせるという現象も起きているそうです。
みんなでこどもを育てる
また、やまなみこども園に通わせることによって育児のストレスが減るからか、夫婦関係にもプラスの面が働くこともあるそうです。
石井さん「たとえば1学年20数人だとして、みんなで全員のこどもを育てよう、全員の家庭を守っていこうというような空気ができあがるわけですよね。
だからこそ、自分のひとりのこどもだけ見ていればひとつの感動ですけど、20人のこどものそれぞれの成長を見ていると20倍に膨れ上がる。
あるいは自分の家庭だけで何か課題を抱えてしまうと、なかなかうまくいかないかもしれませんけど、他の20の家族が助けてくれたり手を差し伸べてくれれば、簡単に解決できることってたくさんあるわけですよね。
そのような環境が強制的に作られているのではなくて、そういう関係が自然と生まれるような文化が園の中にあるということだと思いますね」
他の保育園でも実現可能か
このような運営ができるのは、やはり園の中で働く方々が楽しく働いていることも背景にありそうです。
石井さん「普通の保育園ですと、自分のクラスの中でいかに問題がないようにするかという、自分ひとりのマンパワーで全部をやってすべてこどもを見るという感じですけど、ここでは全学年の先生、調理師も含めて全員がこどもを見る。
できることは自分がやって、できないことは他の先生にやってもらうという、みんなが助け合ってやるので、みんなで楽しくやっていこうという雰囲気がものすごくありますし」
今の日本は核家族化、個人主義が浸透し、昔と比べて人間関係のしがらみが減ったり、人の目を気にしなくても済むといったメリットもある一方、孤独に陥りがちです。
石井さんは「現在の少子化対策は補助金の話など個別の親に向けた話が行きがちで、こどもの成長や家族みんなで育てるという話が二の次になってしまっている状況」と指摘。
しかし、「それぞれの園には培ってきた文化があるので、志の高い園はその文化をきちんと守りながらやっていけば、こどもファーストということが実現できるのではないか」とまとめました。
(岡本)
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