こどものひとり立ちで親が罹る?「空の巣症候群」に注意
この春にこどもが就職や進学で親元を離れ、ひとり暮らしを始めるという親御さんにとって、気になる記事が毎日新聞に掲載されています。親としてこどもの成長を喜ぶ一方、何も手につかないほどの寂しさや身体の不調を感じる「空(から)の巣症候群」に陥る人がいるそうです。3月7日放送「北野誠のズバリサタデー」(CBCラジオ)では、本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、空の巣症候群について解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。
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「空の巣症候群」という名前は、親鳥がひな鳥を育て終えて巣立った後は巣が空っぽになる様子から来ています。
吉田先生は空の巣症候群に陥る原因として、「こどもがいなくなったから寂しいというだけではなく、本質は親としての役割が急に薄くなることにある」と語りました。
朝こどもを起こしたり、食事を気にかけたりするといった、親の日々の行動は、脳に「自分が必要とされている」という感覚の土台になっていて、それがなくなると存在意義が薄れてしまい、症状が出る場合があるとのこと。
主な症状は虚しさや不安感、孤独感、気力の低下ですが、症状がさらに進むと不眠や食欲が落ちるといった、身体的にも影響を及ぼしてしまいます。
寂しさ以外にも理由が
人間の脳は毎日の生活の中で、次に何が起こるのか無意識のうちに予測しながら働いています。
例えば朝はこどもを起こす、夕方にはこどもの帰宅を気にするといった生活パターンが長く続くと、そのパターンが脳に標準で設定されます。
ところがこどもが巣立つと、この設定がいきなり空振りとなり、心にぽっかり穴が空いたような違和感が生じ、その結果、気分の落ち込みだけではなく自律神経にも影響し、不眠や食欲不振も起きるとのことです。
さらにこどもが巣立つ時期は、親にとっても人生にさまざまな変化が重なる時期で、自分の親の介護や仕事での役割が重くなったり、特に女性は更年期が重なるなど、身体的にも精神的にも不安な要素が多くなる時期。
そのため、空の巣症候群の症状が出やすくなってしまいます。
かかりやすい人の特徴
さらに空の巣症候群の重大な要因となるのが、夫婦関係。
こどもがいる間は多少夫婦がギクシャクしていても、家庭の中心がこどもだったり、こどもを通じて会話があったりします。
しかし、こどもがいなくなると夫婦の問題が前面に出てくるため、こどもがいなくなったことと夫婦の間に何も残っていなかったという、二重の喪失感にさいなまれる可能性があるとのことです。
空の巣症候群にかかりやすい人の特徴は、人生の柱が1本しかないこと。
仕事や趣味、友人や地域活動、夫婦の楽しみなど、柱が何本もある人はかかりにくいですが、やはり子育てだけに集中していた方だとかかりやすいそうです。
なりやすいタイプかチェック
オーストラリアにあるメルボルン大学の研究によると、こどもの巣立ちを前から強く心配していた人は、気分が改善しにくいという傾向にあるのだそう。
「こどもが出ていくと自分は空っぽになるのでは」と感じている人は、特に注意が必要とアドバイスする吉田先生。
注意が必要なのは我慢してしまうこと。
こどもが巣立ったあとに寂しさを感じて悩みを打ち明けても、「こどもがいなくて寂しいのは今だけ」などと言われ、親なら当然と考えてしまうとのこと。
そのまま放っておくと、脳と身体の回復力が落ちてしまい、特に眠れない日が続くと不安がさらに強くなり、食欲が落ちて体力が落ち、外出や交流が減ってさらに孤独感が増して気分が落ちるという、悪循環に陥ってしまう危険性があります。
最後に吉田先生は、「特に2週間以上このような症状が続く場合は、精神科や心療内科を受診することを強くお勧めします」と力説しました。
(岡本)
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