「騙された!」6720万円の贋作を徳島県立近代美術館が異例の展示

5月9日のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』で、徳島県立近代美術館が「偽物」と判明した油彩画を無料公開するというニュースを紹介しました。つボイノリオ、小高直子アナウンサー、塩見啓一アナウンサーは、その“贋作のドラマ性”に注目し、話題性から人気が出るのではと熱く語りました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く同じ贋作家に…四国で続いた誤算
共同通信によれば、徳島県立近代美術館は8日、6720万円で購入し偽物と判断した油彩画「自転車乗り」について、11日から無料で公開すると発表しました。
期間は6月15日までで、担当者は「本物ではなかったことを謝罪し、購入した経緯を説明して信頼の回復に努めたい」としています。
美術館によると、作品の展示とともに、購入したいきさつや偽物と判断した理由を記載したパネルを設置するほか、期間中に合わせて7日間、学芸員による説明会も開くということです。
作品の購入は1999年。フランスの画家ジャン・メッツァンジェが描いたとされていましたが、昨年6月の海外の報道で、ドイツの有名な贋作家の作品リストに含まれていることが判明しました。
ドイツ警察の情報提供などから今年3月、偽物と判断し、美術館側は法的な措置も視野に購入元の画廊に返金を求めて交渉しています。
高知県立美術館が所蔵する油彩画「少女と白鳥」も、高知県は同じ贋作家による偽物と判断しています。
「偽物」でも話題性で集客?
このニュースの気になる点は、徳島県立近代美術館と高知県立美術館という四国の美術館が、同じ贋作家による偽物作品を購入していたという事実。
同じ地域の美術館が同様の問題に直面するという珍しい事例です。
偽物と判明した美術品を公開するという美術館の決断に興味を示した塩見とつボイ。
塩見「しかし、これでまた公開というのがなかなかいいな」
つボイ「僕らね、作品の良さってあんまわからへんけど、話題性で見に行くんですよ」
美術作品そのものよりも、その背景にあるストーリーに惹かれる鑑賞者の心理を語りました。
「だまされた経緯」にこそ価値が?
つボイ「『ムンクの叫び』っていうのはこういう意味があるから見に行くんです。この作品も『なぜ偽物と騙されたのか』というドラマがあるんです。購入したいきさつが興味深いんですよ!」
熱弁をふるうつボイに、小高は「他の美術作品と切り離して、1点だけを専用の部屋で公開するのでしょうか」と質問します。
つボイ「せっかくだから入場料取ったれー!」
小高「確かに、これは見に行きたいですね。人気出そうですよね」
美術館側が意図しなかった形で、逆に来場者が増える可能性がありそうです。
贋作家ベルトラッキに皮肉な評価も
小高「贋作なんだけど、『ベルトラッキ作品』として観たがる人がいるんです」
つボイ「ドラマがあるんです、そこにね」
贋作家として非常に有名なウォルフガング・ベルトラッキによる偽作だからこそ、価値を見出す人もいます。
そしてもうひとつ、つボイには指摘しておきたいことがあります。
つボイ「こういう時にはちゃんと、お墨付きを与えた人がいるんですよ」
つボイは、このような贋作が高額で取引される背景には、必ず評論家や美術界の重鎮が価値を認めた経緯があると指摘します。
「これはいい作品ですね」と太鼓判を押した専門家は、いま頃ポリポリと頭をかいているのではないかと、皮肉を込めて語りました。
(minto)
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