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体と心を大切に。働く女性が語るPMSと生理との向き合い方

体と心を大切に。働く女性が語るPMSと生理との向き合い方
CBCテレビ me:tone編集部

ロールモデルのような憧れの存在ではなく、身近な“隣の女性”たちの持つリアルな本音に耳を傾けることで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。
そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。

都会でありながら、地方都市でもある名古屋。
この街で働く女性たちならではのライフスタイルとは、どんなものなのでしょうか?

今回は、アナウンサーとして活躍する女性に、ヘルスケア編として“PMS(月経前症候群)”や“生理”にまつわる悩みや向き合い方について伺いました。

CBCテレビ me:tone編集部

人それぞれのPMS。誰にも言えない、本当のつらさとは?

インタビューに応じてくれたのは、CBCテレビで長年活躍する2人のアナウンサー。
入社19年目の夏目みな美アナウンサーと、16年目の柳沢彩美アナウンサーです。ともに夕方の情報番組『チャント!』のキャスターを務め、2024年春までそれぞれの立場から支え合ってきた先輩後輩の関係。現在は、どちらも子育てをしながら働くママでもあります。

そんな2人に、同じCBCという職場で働くme:tone編集部員が、“同僚”としての距離感で本音をインタビュー!まずは、多くの女性が抱える“PMS問題”について、日常生活や仕事への影響、そしてそれにどう向き合っているのかを聞きました。

me:tone編集部:PMSの症状には波があると言われますが、実感としてどうですか?

夏目:「子どもに対して、つい感情的に強く𠮟ってしまうこともあり、後から“申し訳なかった”と反省するんです」

「生理自体はそれほど重くないほう」と話す夏目アナ。しかし、生理前になると肌荒れがひどくなったり、気分が不安定になったりすることも。

これまでPMSについて深く考えたことはなかったという夏目アナですが、世間で少しずつ理解が広まる中で、自分の中でも“イライラしやすくなる”“怒りっぽくなる”という気分や体調の揺らぎがあるのかもしれないと、最近は意識するようになってきたそうです。

CBCテレビ me:tone編集部

柳沢:「経血が多い時に生理用品を替えられないつらさ」

柳沢アナは、経血量が多い日には、仕事の性質上トイレに頻繁に行けず、生理用品を交換できない不快感や、経血が漏れてしまうのではという不安を感じることがあると語ります。この悩みは、他の女性の放送現場スタッフたちも共通して抱えているものだそう。放送現場の特性ゆえに、我慢を強いられている状況も多く、「生理中の働き方について、もっと柔軟に考えられるようになれば」と話します。

CBCテレビ me:tone編集部

「恥ずかしい」より「伝えたい」へ。生理を語れる社会に。

me:tone編集部:PMSの悩みに対して、どのように向き合っていますか?

夏目:「日本の女性は海外よりも『ナプキン一筋』の方が多い気がする」

夏目アナは、生理用品の選択肢について、こんなふうに感じているそうです。

「本当は選択肢がたくさんあるのに、学校で最初に教わるのが“ナプキン”だけだからか、日本ではほかの国と比べてナプキンだけで乗り切る方が多く、タンポンさえ使ったことがない人がとても多い印象です」

経血の量や生活スタイルによって、生理用品をもっと柔軟に選べたらいいのに…。そんな思いがある一方で、「今の日本では生理についての情報も少なくて、オープンに話せる雰囲気ではない」と話します。話すことに抵抗のない女性もいれば、話したくない人もいる。知りたい男性もいれば、知りたくない男性もいる。まだ時間がかかるのかと気がかりな様子です。

CBCテレビ me:tone編集部

柳沢:「“生理”だということを周りに言わないと変わらないと思う」

柳沢アナ自身は、生理の辛さは言わないとわからないという思いから、積極的に「今日生理なんです」と男性女性問わず、周りに話しているそうです。

CBCテレビ me:tone編集部

ロケや生放送で生理と向き合ったリアルな瞬間

me:tone編集部:ロケや生放送などで苦労したことは?

夏目:「生放送8分前のトイレで急に生理になったことに気付いて、めちゃくちゃ焦った」

急いで別のフロアにあるデスクに生理用品を取りに戻ったところ、現場では「夏目がいない!」と一時騒然に。放送にはギリギリ間に合ったものの、ほとんどを男性が占めるスタッフたちに「生理になりました!」と大声で言えるわけもなく、ただ「すみません!」とだけ謝ってスタジオに入ったそうです。
女性同士であれば「ごめん、急に生理になって!」の一言でドタバタぶりを理解しあえるところもありますが、男性の多い職場ではSOSを出すことも難しいと実感したそうです。

柳沢:「血でも“経血”だと急に『恥ずかしい』『ばれちゃダメ』って思う」

柳沢アナは、膝をすりむいてズボンに血がついても恥ずかしいと思わないのに、経血だと急に「恥ずかしい」「ばれちゃダメ」と感じてしまうそうで、これは無意識に刷り込まれてきた固定観念なのではないかと語ります。

また、土砂崩れの現場を取材中、大雨に見舞われ、体が冷えきった状態で生理がきた経験も。。お腹を冷やしてはいけないと、コンビニで温かい飲み物を買ってポケットに入れて温めたそうですが、当時は妊活中だったこともあり、生理が来てしまったこと自体がとてもショックだったという柳沢アナ。「自分の体を犠牲にしてまで仕事するって、結構きつい」と感じた、と振り返ります。

「このつらさを誰かに言ったからといって楽になるわけではないけれど、“しんどいよね”って寄り添える先輩ではいたい」。そう語る柳沢アナの言葉には、実体験に裏打ちされた深い優しさがありました。

CBCテレビ me:tone編集部

生理とピル、正しい知識があなたを守る。

me:tone編集部:ピルの使用はどう思いますか?実際使ったことはありますか?

夏目:「ピルの使い方を、まだ女性でも理解していない」

かつては「避妊のための薬」というイメージを持っていたという夏目アナですが、取材を通し、女性のQOLをあげるために使用する側面を学んだそうです。

「PMSや生理が重すぎてつらい人にとって、ピルを使うことで体が劇的に楽になる」としながらも、そういった使い方に対して「まだ多くの女性に理解されていないのでは」と懸念を示しました。

また、医師から「生理が規則正しくきているからといって、必ずしも健康とは限らない」と言われ、ハッとしたそう。整った生理周期こそが“健康のバロメーター”であると信じ、辛い生理期間から逃げずに向き合わなければいけないと思い込んでいたことに気づかされたとのこと。「自分の体だからこそ、より良い付き合い方を自分自身で探していくことも必要だと思えるようになった」と語ってくれました。

柳沢:「当時は避妊目的のイメージが強かった」

柳沢アナ自身はピルを使用した経験はないものの、以前、友人が生理のタイミングを調整するためにピルを服用していたことを覚えているといいます。今よりも15年前の話なので、その頃は「ピル=避妊」というイメージが今よりも強く、選択肢として広く浸透していなかったと振り返ります。しかし、ピルの目的は避妊だけではありません。生理痛の緩和や月経前症候群(PMS)の軽減、生理周期の調整などの効果が望めるので、柳沢アナは、「もっと実体験ベースで伝えていきたい」と意気込み、「私たちが実際にピルを服用して、その効果を取材・レポートするような取り組みも、発信の一つとして大事だと思う」と語ってくれました。

CBCテレビ me:tone編集部

【監修 婦人科医からのコメント】
「ピル」とひとことで言っても、使う目的によって大きく2つの種類があります。どちらも産婦人科で処方されるお薬です。

1.「避妊」を主な目的とするピル(OC:経口避妊薬)
目的:避妊
診療区分:自費診療(保険適用外)
お薬の例:アンジュ、トリキュラー、ファボワールなど

2.「月経のつらい症状の治療」を目的とするお薬(LEP)
目的:月経困難症、子宮内膜症などの治療
診療区分:保険適用(治療目的のため)
主な薬剤:ルナベル、フリウェル、ヤーズ、ドロエチ など

▽女性の皆様へ
「月経の悩みくらいで病院に行くのは大げさかな…」
そんなふうに、ひとりで我慢していませんか?

・月経痛、月経不順、経血量の多さ
・月経前のイライラや気分の落ち込み(PMS)

これらの症状の裏に、治療できる原因が隠れていることもあります。
産婦人科は、“妊娠や出産”のためだけの場所ではありません。
女性が、自分の体と心を大切にしながら生きていくための「心強い味方」です。
月経に関する悩みなどがあれば、どうか一人で抱え込まず、ぜひ一度お近くの産婦人科へご相談ください。
(ナゴヤガーデンクリニック婦人科部長 山室 理先生)

1985年3月、名古屋大学医学部卒業。1992年より長きにわたり、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院にて、産婦人科医師として研鑽を積む。同院の産婦人科部長、副院長を歴任。
婦人科腫瘍、がん検診、周産期相談を専門とし、日本産科婦人科学会や日本婦人科腫瘍学会の指導医、日本がん治療認定医機構のがん治療認定医、日本周産期新生児学会の周産期専門医など、複数の専門資格を持つ。
2024年4月よりナゴヤガーデンクリニック 婦人科部長に就任。

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