社内初の時短勤務でもキャリアを諦めない。子育てと仕事を両立する女性社員のリアル
時短勤務をしながら、キャリアを止めずに働き続けること。
言葉にするととてもシンプルですが、実際には簡単なことではありません。
令和7年度(2025年度)名古屋市子育て支援企業の優秀賞を受賞した株式会社デンソークリエイト(以下、デンソークリエイト)。そこで働く髙木理恵子さんは、育児休業から復帰後、社内初の時短勤務を選択しながらキャリアを積み上げてきました。
子育てと仕事の両立に悩みながらも、「時短だからといって仕事を制限されると感じたことはなかった」と話します。
身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を伝え、「今」を生きる女性たちを応援したい——そんな思いからCBCテレビが立ち上げた「me:tone編集部」が、髙木さんに話を伺いました。
前例のない時短勤務を、相談しながら形にした

髙木さんがデンソークリエイトに入社したのは2007年(平成19年)。入社後はソフトウェア開発に携わりました。
その後、育児休業を経て2018年4月に職場復帰。生産革新部 DX推進室へ配属されました。ソフトウェア開発という業界柄、もともと女性社員の割合が少なく、時短勤務制度はあったものの、実際に取得した社員はいなかったといいます。
me:tone編集部:「社員初の時短勤務を取得したそうですね。葛藤はありましたか?」
髙木さん:「あまりなかったですね。フルタイムで復帰することは、最初から考えていませんでした。ただ、前例がなかったので、手探りではありました」
制度自体は存在していたものの、実際の運用はまさに試行錯誤。当時の時短勤務は「9時~16時」のような固定時間制でした。
一方で会社全体ではフレックス制が浸透していたものの、時短勤務者が利用することは想定されていませんでした。そこで髙木さんは、「時短でも柔軟に働きたい」と上司に提案しました。そうしてフレックス制度と時短勤務を組み合わせた働き方が始まりました。
髙木さん:「私が復帰するタイミングで、時短勤務でもフレックス制度が使えるようになりました。私も周りも初めてのことだったので、『このケースは残業になるの?ならないの?』といったことも含めて、相談しながら進めていきました」
制度の運用そのものを、一緒につくっていく感覚だったと振り返ります。
その後、コロナ禍でテレワークが広がったことで、働く場所の自由度が高まり、家事育児の緊急時にも柔軟に対応できるようになっていきました。
働き方は、現場の声に合わせながら少しずつアップデートされていったのです。

タイムリミットは保育園のお迎え時間。両立の大変さ
時短勤務でフレックス制度も利用できる柔軟な環境とはいえ、子育てと仕事の両立は決して簡単ではありません。
me:tone編集部:「時短勤務で大変だったことはありますか?」
髙木さん:「仕事が終わっていなくても、時間が来たら帰らないといけないことですね。それが一番苦労しました」
フルタイム勤務だった頃は、「今日はここまでやって帰ろう」と自分のペースで区切りをつけることができました。しかし子育て中は、仕事の区切りと帰宅時間が一致するとは限りません。
作業が残っていても、保育園のお迎えの時間はやってきます。
さらに帰宅後は、家事と育児が待っています。お子さんが保育園に通い始めた頃は、片時も離れたがらない時期もあったそうです。
夕食づくりの時間も思うように取れない中、前日の夜にフライパンへ用意した食材を入れて準備し、そのまま冷蔵庫へ。翌日は火にかけながら、子どものそばに座り続けていたこともあったといいます。
髙木さん:「私も子どももがんばりすぎて、感情をぶつけ合ってしまうこともありました」
その様子を見かねた義母が食事づくりを手伝ってくれるようになり、今でも夕食を支えてくれているそうです。家族の協力は、髙木さんが仕事を続けるうえで大きな支えになりました。
子どもが成長してからも、予定通りにいかない日はあります。
「学校に行きたくない」と言われた日は、一緒に登校し、教室前で1時間ほど付き添ってから出勤することもありました。そうした時期は、上司やチームメンバーに事情を共有し、朝の予定を調整してもらいながら対応していたといいます。
髙木さん:「子どもが何歳になったら楽、というわけではないと思います。時期によって悩みは変わりますね」
子育ても仕事も、予定通りに進む日の方が少ないのかもしれません。
それでも、家族に助けてもらったり、職場に相談したりしながら、その時々でできる形を探して前に進んできた――。その積み重ねが、今の髙木さんにつながっています。

時短勤務でも「仕事を制限される感覚」はなかった
時短勤務では、働ける時間は限りがあります。けれど髙木さんは、「時短だから仕事を制限されている」と感じたことは、ほとんどなかったといいます。
実際、時短勤務中でも東京出張に行くことがありました。さらに、お客様から「髙木さんと一緒に行きたい」と声がかかり、海外出張の打診を受けたこともあったそうです。
上司へ相談すると、前向きに調整を進めてくれました。
髙木さん:「時短だからといって、緩く働きたいわけではないんです。制限なく働きたいという人には、いろいろやらせてもらえる環境だと思います」
時短勤務を選んでも、「できることには挑戦したい」という思いは変わりませんでした。
会社側も、本人の意欲や状況を見ながら、挑戦の機会を閉ざさずに調整を続けてきました。勤務時間が短いから何かを諦めるのではなく、その人らしく働き続けられる形を一緒に探していく。髙木さんの言葉からは、そんな職場の空気が伝わってきます。
子育てが落ち着いた今、次のキャリアを考える
髙木さんは2026年4月から、フルタイム勤務へ戻りました。
時短勤務をやめるかどうかは、数年前から考えていたものの、タイミングをみていたといいます。今回フルタイムへ戻るきっかけとなったのは、上司からのある一言でした。
髙木さん:「上司から『フルタイムに戻ってみて、やっぱり難しいと思ったら時短勤務に戻せるよ』と声をかけてもらったんです。それなら試してみようかなと思いました」
お子さんはフルタイム勤務へ戻ることに反対していたそうですが、「もしダメだったら時短勤務に戻せるよ」と説明すると納得してくれたといいます。まずは9月までの半年間、フルタイム勤務にチャレンジすることにしました。
これまで仕事と家庭の両立を乗り越えてきた髙木さんは「仕事を続けてきてよかった」と話します。
髙木さん:「子どもが大きくなって手がかからなくなってきたとき、もし仕事を辞めていたら寂しかっただろうなと思うんです。大変な時期はありますが、仕事仲間と愚痴を言いながらでも続けていると、子どもが手離れしたときに、自分のやりたいことも続けられていて、いいのかなと思っています」
取材時(4月)には6月に海外出張の予定もあると話してくれた髙木さん。社内初の時短勤務を切り拓いてきたその姿は、今では後輩たちのロールモデルになっています。
後編では、上司の立場として生産革新部 先進技法開発室長の斎藤一哉さんに話を伺いながら、「働きやすい職場づくり」のヒントを探ります。

CBCテレビ me:tone編集部 デンソークリエイト髙木さん提供写真:2026年6月北米出張時の写真
番組紹介
働く女性のリアルな声を届けるWEBメディア『me:tone』。
名古屋を起点に、座談会や美容・キャリア・お金の話題まで、身近で共感できる情報を発信し、女性たちの「今」を応援します。
共感と気づきで毎日を前向きに。毎週不定期で更新。



