「大義だけでは人は動かない」小池百合子東京都知事が語る、女性活躍10年の軌跡と戦略
ロールモデルではなく、身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を取材・発信することで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。 そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。
今回、愛知県は、あらゆる分野で女性が力を発揮できる社会の実現を目指す会議「びじょんネットワーク」(事務局:東京都)の理念に賛同し、初めてイベントを開催しました。当日は、東京都知事・小池百合子氏を招き「女性の活躍と地方創生 〜若者や女性に選ばれる愛知とは〜」をテーマに実施されました。
本記事では、小池氏による基調講演の内容に加え、後編では3名の市長をはじめとした愛知県で活躍する女性リーダーによるパネルディスカッションの模様をお届けします。
東京都からスタートしたムーブメントが、ついに愛知県に上陸
2016年に日本初の女性都知事となり、政治リーダーとして女性の活躍推進や社会変革を牽引してきた小池 百合子氏。2022年には米ビジネス誌『Forbes』の「世界で最も影響力のある女性100人」に選出され、2026年には『50 Over 50 Global(50歳以上の女性50人)』として紹介されるなど、国内外の経済・社会に大きな影響を与え続けています。
愛知県では、『女性首長によるびじょんネットワーク』の理念や活動に賛同し、県内初の取り組みとして今回「びじょんネットワーク愛知」が開催されました。

●女性首長によるびじょんネットワークとは
全国の女性首長と女性経営者等が意見交換を行い、女性活躍推進に関する共通認識を形成しながら、あらゆる分野で女性の力を最大限発揮できる社会の実現を目指していくための会議。
定員700名の本講演は、締切日を待たずに満席となる盛況ぶり。小池氏の生の声を聞こうと、会場には男女問わず幅広い世代の観客が詰めかけました。
女性活躍の輪が全国へ拡大
冒頭では、愛知県知事・大村 秀章氏が挨拶。都知事登壇への感謝とともに、愛知県におけるワークライフバランス(WLB)推進の取り組みや、女性の活躍について東京都との連携を強化していく方針が示されました。
そしていよいよ小池氏の講演がスタート。大きな拍手が沸き起こり、ステージのスライドには「全国へ拡げよう、女性活躍の輪」の文字が掲げられました。
小池氏:「私たち東京都は『Women in Action』をキーワードにしています。頭文字をとると『WA(輪)』。女性の力を活かす“輪”を広げていきたいと考えています」
穏やかで華やかな語り口に、会場の期待感が高まります。

小池氏:「びじょんネットワークが発足した2019年、参加していた女性首長は36名でした。その後、全国の市長、町長、村長や女性経営者の参加が広がり、2025年10月には女性首長が74名へと倍増しました」
一方で、全国の自治体は約1,700。地方にはまだ多くの可能性が眠っていると語ります。
小池氏:「男性だったら飲み会で親睦を深めてきたかもしれません。しかし私たちはネットワークを活用し、ノウハウや想いを共有しながら、その願いを叶えられる環境づくりを進めています」
女性ならではの視点と経験を活かした社会づくりへの決意が込められていました。

都知事就任から10年の成果
2026年は、小池氏が都知事に就任してから10年、そして女性活躍推進法成立からも10年の節目となります。
小池氏:「東京23区の女性区長は現在7人。多摩地域なども含めると、10年前の2人から11人へと増加。都庁内の女性管理職比率も16.9%から18.4%へと伸びています」
また、男性の育児参加についても言及します。
小池氏:「東京都では『育休』ではなく『育業』と呼んでいます。休んでいるのではなく、子どもを育てるという大切な仕事をしているという意味です。ワークライフバランスも、私は人生あっての仕事だと思っているので、あえて『ライフワークバランス』と呼ぶようにしています」
ネーミングの工夫だけでなく、不妊治療や卵子凍結支援、『東京女性未来フォーラム』による企業トップへの働きかけなど、具体的な施策も紹介されました。
小池氏:「女性ベンチャー成長支援プログラム『APT Women』では、これまで320人が受講し、時価総額100億円を超える企業も生まれています」
女性経営者も、2019年の11万5,000人から17万5,000人へ増加。女性ならではの視点が新たなビジネスを生み出していると説明しました。
大義と共感から始める
小池氏と言えば、2005年に環境大臣として主導した『クールビズキャンペーン』が印象的です。
小池氏:「地球温暖化防止のための政策を考えていたとき、真夏なのにスーツとネクタイで汗だくの男性と、冷房の効いたオフィスで震えながら働く女性。両方を解決する方法はないかと考えました」
そこから生まれたのが、ネクタイを外し、冷房設定を28度にするクールビズというライフスタイル提案でした。
小池氏:「温室効果ガス削減といってもなかなか響きません。大義と共感をワンセットで始めたことが成功につながりました。」
他にも「少子化対策」という大義に対して「チルドレンファースト」、「経済成長」に対して「SusHi Tech(スシテック)」など、親しみやすいネーミング戦略にもその姿勢が表れています。

参加者からは
「仕事で、女性活躍と男性育休の推進を担当しているので、東京都の取り組みについて聞けたらいいなと思って参加しました。大義を押し付けるのではなく、細分化しつつ実効性を持たせる発想が勉強になりました。(20代女性)」
「女性活躍の認証マークを取得した企業で働いている関係で、今回のセミナーを知りました。東京都の取り組みを直接聞けて良かった。後半のパネルディスカッションも楽しみです(40代女性)」
といった声が聞かれました。
女性活躍という言葉が広く使われるようになって久しい今、改めて感じたのは「理念」だけでなく「仕組み」と「共感」の両輪があってこそ社会は動く、ということ。小さなネーミングの工夫と、数字で示す成果の積み重ね。そのリアルな戦略と覚悟が伝わる前半となりました。
後半では、小池百合子東京都知事から愛知県へのメッセージ、そして女性首長によるパネルディスカッションの模様をお届けします。

番組紹介
働く女性のリアルな声を届けるWEBメディア『me:tone』。
名古屋を起点に、座談会や美容・キャリア・お金の話題まで、身近で共感できる情報を発信し、女性たちの「今」を応援します。
共感と気づきで毎日を前向きに。毎週不定期で更新。



