非公開の秘境が開放へ。新観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」とは
春の旅行シーズンを迎え、4月15日には立山黒部アルペンルートが開通予定です。3月26日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、一般開放の準備が進む新ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」について、富山県観光推進局観光振興室係長の大西謙二さんに話を伺いました。
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ルートのスタートは富山県側の宇奈月温泉です。
まず黒部峡谷鉄道のトロッコ電車で欅平へ向かい、これまで一般公開されていなかったエリアに入ります。
工事関係者の移動手段として活用されてきた工事用トロッコ電車に乗り、200メートルの標高差を一気に上昇する竪坑エレベーターで欅平上部へ。
続いて蓄電池機関車で仙人谷に向かい、黒部川第四発電所を経由して、長さ815メートル・斜度34度の急傾斜を20分かけて昇降するインクライン(傾斜鉄道)に乗車します。
最後に黒部トンネル内の電気バスを乗り継いで、黒部ダムのある黒部湖に到達するコースです。
産業の歴史が刻まれた
このルートは本来、関西電力が黒部川上流に水力発電所を建設・維持管理するために作られた非公開の工事専用ルートです。険しい地形の中にトンネルや鉄道、インクラインなどが整備されてきましたが、これらはすべて電力インフラを支えるためのもので、一般の立ち入りはできない場所でした。
立山黒部アルペンルートは黒部ダムの建設にも活用されてきましたが、当初から富山県と長野県を結ぶ山岳観光ルートとして開発されたものです。1971年に全線開通し、年間およそ100万人が訪れる日本を代表する山岳観光ルートとして発展してきました。
一方、黒部宇奈月キャニオンルートは戦前戦後の電力需要という国家的な課題に対応するために作られた道です。日本の電力不足を補うため、多くの作業員が命がけで切り開いた歴史があります。
観光のために生まれたアルペンルートに対し、産業と歴史の重みを持つキャニオンルートが初めて一般に開放されることには、大変大きな意味があります。
3つの魅力
大西さんによると、キャニオンルートの魅力は大きく3つあります。
1つ目は秘境感。長年関係者以外は誰も足を踏み入れることができなかったルートであり、手つかずの黒部峡谷の大自然と巨大な電力インフラが織りなす圧倒的な景観は、ほかのどこでも体験できないものです。
2つ目は産業遺産としての価値。戦後日本の復興を支えた水力発電の歴史を現場でそのまま体感でき、関係者の苦労と知恵の結晶を実際に乗り物に乗りながら感じられます。
そして3つ目は新しい観光ルートとしての可能性。立山黒部アルペンルートとつなげれば富山・長野を結ぶ新たな広域の観光ルートが完成し、富山県の山を丸ごと横断する旅も可能になります。
開放へ高まる期待
黒部峡谷鉄道のトロッコ電車なら景色のよい中を走りますが、キャニオンルートは基本的に最短距離で地下を通る道です。
ただし、いくつかの展望台や景色のよいポイントも通過するそうです。多くの人にこのルートを見てもらいたいと、富山県と関西電力が協定を結び、長年の準備を経て実現にこぎつけました。
正式な一般開放はもう少し先になる見込みですが、すでに国内外から大きな注目と期待の声が届いています。宇奈月温泉をはじめとする周辺の観光地でも、受け入れ体制の整備が着々と進んでいるそうです。
キャニオンルートは旅行会社を通じた旅行商品で訪問する形です。開放時期は5月から11月を予定しています。
産業の歴史と大自然が交差する黒部宇奈月キャニオンルートへの注目は、今後さらに高まりそうです。
(minto)
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