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V2めざすドラゴンズ新応援歌に高校生ファンが託した夢(04)

V2めざすドラゴンズ新応援歌に高校生ファンが託した夢(04)

20年ぶりのペナントレース優勝から年が明け、中日ドラゴンズが球団史上初の連覇(合い言葉のように「V2」と呼んでいた)をめざす1975年(昭和50年)、私は高校生活をスタートした。
名古屋市東区にある愛知県立明和高等学校に入学したのだが、入学式の日がドラゴンズの開幕戦とあって、感慨もひとしおだった。しかし、その開幕戦は阪神タイガースに破れ、幸先のいいスタートとはいかなかった。
私は中学1年の時から毎日日記を書き始めており、いよいよ高校に入ると、日記帳のスペースにその日のドラゴンズの成績と寸評を書き込むようになっていた。20年ぶりの優勝は、いよいよ“ドラゴンズと歩む”という気合いとなって、16歳の私に訪れていた。

ドラゴンズ応援歌の募集

そんな4月、中日スポーツとCBC(中部日本放送)のラジオが組んで、連覇をめざすドラゴンズのために、『燃えよドラゴンズ!』に続く新しい応援歌を作ることになった。球団OBでタレントの板東英二さんが月曜日にパーソナリティをしていたCBCラジオ『ばつぐんジョッキー』の企画であり、タイトルは『ガッツだ!!ドラゴンズ』と決まっていた。メロディもCBC社員によってすでに作曲されていて、曲に合わせた歌詞を一般から募集するというものだった。
井上陽水とか小椋佳とか、当時人気のシンガーソングライターの影響で、私は折々に詩を書き綴っていた。ドラゴンズファンとして、これを見過ごすわけにはいかない。一種の使命感に燃えて、詞を書き上げて、CBCラジオに応募した。
それが次の歌詞である。

落選『ガッツだ!!ドラゴンズ』の歌詞

風にペナントなびいてる
中日球場 輝いて
打ちまくる投げまくる
昇竜ドラゴンズ
僕もわたしも心はひとつ
ガッツでぶつかれドラゴンズ
ガッツでぶつかれドラゴンズ
行け行けわれらのドラゴンズ 
苦しいときも 嬉しいときも
打て、みんなのドラゴンズ 僕らのドラゴンズ

勝利の女神がほほえんで
きょうも逆転 お家芸
ガッツプレイ ファインプレイ
ファイトだドラゴンズ
みんなの願い 優勝に
ガッツでぶつかれドラゴンズ
ガッツでぶつかれドラゴンズ
行け行けわれらのドラゴンズ
血と汗流し 勝ち得た勝利
勝て、みんなのドラゴンズ 僕らのドラゴンズ

それなりに曲には合っているものの、今あらためて思うと語彙が不足しているのか、同じ言葉のリフレイン、何とも幼い歌詞だと思う。しかし、高校生なりにV2を願う強い思いみたいなものは感じられるのではないだろうか。
応募作品の中から当選した歌は板東さんがレコーディングして、毎週月曜日の『ばつぐんジョッキー』でくり返し紹介された。2番の歌詞からは次々と選手の名前が登場する。しかし、前年の『燃えよドラゴンズ!』の印象が強烈すぎたのか、大ヒットとはいかなかった。
それでもこの歌は、2014年(平成26年)シーズンまでナゴヤドームでも応援歌としてトランペットによって演奏されていたので、ご存知の方も多いだろう。ドームでこのメロディを聴く度に、私は高校1年生のことをなつかしく思い出していた。

自分だけのドラゴンズ応援歌

作詞応募に落選した私は、もうひとつ、自分で応援歌を作った。選手の名前を網羅したもので、シンプルだが当時のチーム事情が描かれているように思う。

『ドラゴンズ讃歌~V2街道まっしぐら』(北辻利寿:作詞)

1.中日球場 きょうもまた
勝利の歌がひびいてる
竜は希望の大空へ (※以下2行はくり返し)
V2街道まっしぐら

2.職人高木が走る時
スマイル谷沢がエンドラン
(※)
3.ローンの見事な盗塁に
マーチンでっかい祝砲だ
(※)
4.ポパイ井上気力のヒット
島谷ガッツだホームラン
(※)
5.流し屋木俣のタイムリー
スマート広瀬のファインプレイ
(※)
6.ミヤーン打法だ正岡だ
強肩井手も待っている
(※)
7.ここ一番に江藤君
クリーンヒットだ藤波君
(※)
8.人気の大島一発長打
ねらえ飯田よホームラン
(※)
9.新宅強気の投手リード
道産子谷木の全力疾走
(※)
10.ヤング田野倉走れ走れ
ルーキー神垣守れ守れ
(※)
11.ガッツな投球星野仙
のらくら松本スピードペース
(※)
12.稲葉の宝刀落ちるカーブ
三沢スパッとスクリュー投法
(※)
13.さわやか鈴木のセーブ王
中継ぎ竹田のノーワインドアップ
(※)
14.変則フォームの佐藤君
今こそいくんだ星野秀
(※)
15.いつも明るい堂上君
期待のピッチャー金井君
(※)
16.ミットを構えた金山に
投げ込め投げ込め土屋に渋谷
(※)
17.一塁徳武ゆったりサイン
三塁森下バラエティプレイ
(※)
18.トレーニングは塚田さん
打撃教室井上さん
(※)
19.ブルペンまかせと高木の時さん
投手王国近藤さん
(※)
20.めがねの奥の目が光り
与那嶺采配するどく決まる
(※)

高校1年生の夏、1975年8月28日の作品である。トレーニングコーチの名前まで登場する応援歌は珍しいのではないだろうか、などと胸を張るのも照れくさい、拙い詩である。
しかし、そんな熱い思いでドラゴンズのV2を待ち焦がれていた16歳の夏だった。(1975年)

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】
※ドラゴンズファンの立場で半世紀の球団史を書いた本『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』(ゆいぽおと刊・2016年)を加筆修正して掲載いたします。

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