「説諭」って必要?現役弁護士が苦言

判決を言い渡した後、立ち直りを願って刑事被告人に必ず「説諭」していたという大西直樹元裁判官が今春退官し、弁護士となりました。説諭をしない裁判官もいますが、刑事訴訟規則では裁判長が刑事被告人に対し適当な訓戒をすることができるとされています。先日、大西さんの「説諭」に好意的な新聞記事が報じられましたが、10月3日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、角田龍平弁護士は説諭に反対的な立場で語りました。一見良さそうに見える「説諭」、なぜ角田弁護士は反対しているのでしょうか?聞き手は北野誠と加藤由香アナウンサーです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く説諭を始めたきっかけ
朝日新聞に掲載されたインタビューでは、大西さんが説諭をするようになったきっかけとして、兄弟間の壮絶な財産争いの民事裁判があったと語っています。
裁判官として、主文を読み上げて退廷するだけでいいのかの思いを感じ、判決理由を噛み砕いて説明し、「きっと小さい頃は大切な唯一の兄弟で、今でも大切な存在であることは変わらないと思う。裁判を一区切りにして、前を向いていってほしい」と伝えたとのこと。
これに対し、「それができへんからこそ、裁判になっとんねや」とツッコミを入れた角田弁護士。
それってあなたの見方ですよね?
結果的にこの兄弟は控訴しなかったことで、大西さんは説諭に意味があると感じたそうです。
それに対し角田弁護士は疑問を呈しました。
角田「別に説諭が功を奏して控訴しなかったんじゃなくて、たぶん判決の見通しとかを弁護士から聞いて『控訴しても無駄やわ』と思って辞めただけでは」
また、説諭で兄弟が大切な存在と語られたのも一面的な見方とも反論しています。
角田「兄弟とはそういうもんやというひとつの価値観に立ってるわけで、(大西さんにとっては)そういう存在やったかもしれないけど、人によって家族構成も違えば環境も全く違うわけですから。
一番嫌いなのが兄貴とか弟っていうのも、世の中にはたくさんいるんですよ」
裁判官の本来の仕事
弁護士は被告人と長時間直面している一方で、裁判官は証拠や書類に基づいて判断をしています。
その上で大西さんは「裁判官は証拠を読み込んで被告を知り、何が支えになるのかを考え抜いて言葉を選ばないといけない」と語っています。
しかし、これに対しても反論する角田弁護士。
角田「刑事裁判に出てくる証拠なんて、その人の人生にとってごくわずかなことで、それでわかった気になってるというのが私は傲慢だと思うし、裁判官の仕事は事実を認定してそれに法律を適用する仕事だから、それを淡々とすべき」
裁判官が陥りがちな考え
大西さんの説諭ではありませんが、かつてミュージシャンで俳優のピエール瀧さんが「人生をどうしたいのか?」と問いかけられたことがありました。
これは瀧さんが所属する電気グルーヴのインディーズ時代のバンド名「人生(ZIN-SAY!)」とかけたもの。
角田弁護士は「裁判官より瀧さんのほうが濃厚な人生を歩んでるんですよ。芸能界でミュージシャンとして大成していろんな苦労を経て」と語る一方で、裁判官が職業的に陥りがちな点を指摘。
角田「裁判官は偏差値エリートで、同時に何百件も事件を抱えてるので、いろんな紛争を見聞きして社会をわかったと思ってるかもしれないですけど、自分が当事者の立場にならないと、その深刻さがわからないんですね。究極の耳年増みたいなもんで」
実は今回の番組で角田弁護士がこの記事を取り上げた理由がわからなかったという北野誠。
その主張を聞いて理解したようです。
(岡本)
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