ブラックホールって何?京大教授に聞く、光さえ抜け出せない天体の正体
光さえも抜け出せないといわれるブラックホール。その影が写真に撮られたり、ブラックホール同士の合体が観測されたりと、近年はたびたびニュースになっています。では、そもそもどんな天体で、どうやって見つかったのでしょうか。9月23日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』のゲストは、京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室の教授、前田啓一さん。北野誠、松岡亜矢子と、宇宙にまつわるさまざまな話題について語り合いました。こちらでは、ブラックホールについて取り上げます。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く光も出てこられない天体
北野がまず尋ねたのは、ブラックホールという概念が何から発見されたのかということ。前田さんは重力の話から説明を始めました。
重いものがあると、周りのものはそこに引っ張られます。重力が強すぎて、光さえも出てこられないものがあるのではないか。こうした考えは昔からあり、実はニュートンの万有引力の法則からでも、正確ではないものの簡単な計算ができるといいます。
その後、アインシュタインが一般相対論をつくり、時空を計算できるようになると、そこから先は光が出てこられない境界が生じる場合があるとわかりました。この境界は重いものほど大きくなります。
前田「たとえば太陽の重さのものを3kmまで押し込めてやると、そこから光を放っても外に出てこられない」
太陽の2倍の重さなら、6kmまで押し込めると同じことが起きるそうです。光はもちろん、ほかのものも出てこられない天体。それがブラックホールです。
太陽はブラックホールにならない
北野は、約50億年後に太陽がエネルギーを使い果たしたら、ブラックホールになるのかと尋ねます。前田さんによると、太陽はブラックホールにはならないそうです。
太陽は最後、地球と同じぐらいのサイズまで縮んだ部分が内側に残り、そこで縮むのが止まります。これが白色矮星と呼ばれる星。その例として前田さんが挙げたのが、シリウスです。
前田「シリウスって、実はふたつの星が回り合ってて、片方は肉眼じゃ見えないんです」
その見えない相手の星は、重さは太陽と同じぐらいなのに、大きさは地球ぐらいしかありません。太陽も最後はこうした星になると考えられています。
白色矮星はブラックホールよりかなり大きいため、光を吸い込むほどにはならないそうで
す。
ブラックホールはどう見つかる?
一般相対論で予想されたブラックホールは、実際の宇宙でも見つかっています。はじめに手がかりとなったのは、X線での観測。変な光り方をしている天体が見つかったのです。
ただし、X線も光の一種。光を出しているのは、ブラックホールに吸い込まれていく物のほうです。
前田「ブラックホールが物を吸い込んだ時に、ブラックホールに落ち込む直前に光を出すと、それがX線という形で見える」
こうした天体がどうやらブラックホールらしいとわかり、その後も続々と見つかってきました。
現在はさまざまな方法での探索が進んでいます。
私たちの住む銀河系の中心にも、太陽の400万倍ほどの重さのブラックホールがあるといわれ、その影が実際に写真に撮れたことが、最近大きなニュースになりました。
宇宙のどこかで起きる合体
松岡は、ブラックホールの「音」をとらえたというニュースを挙げます。
前田さんによると、これは重力波と呼ばれるもの。音が音波として伝わるように、重力が波として伝わる現象です。
宇宙のどこかでブラックホール同士が合体すると重力波が出て、それを地球で検出できるようになりました。2015年に初めて観測に成功したこの研究は、ノーベル物理学賞を受賞しています。
太陽には相方がいない
北野「ブラックホールが近づいてきて合体するんですか?知らんところでいろんなことが」
前田「星はふたつで回り合ってることが多いんですよ。太陽って、相方がいないんですけど、普通の星って結構回り合ってるのが多くって」
ブラックホールになるのは、太陽の30倍や40倍もある重い星だと考えられています。こうした重い星同士がもともと回り合っていると、時間が経つうちにブラックホールがふたつでき、やがて合体することがあるといいます。
前田「ぐるぐる回りながら、だんだん近づいていって、最後ぐーっとくっついちゃうみたいな」
そのまま、ひとつのブラックホールに混ざってしまうのだそうです。
巡り巡って地球にも
では、ブラックホールの周りにある星は、どれほど影響を受けるのでしょうか。ペアの相手がブラックホールになった場合は、吸い込まれてしまうこともあるといいます。
一方、それ以外の星が直接影響を受けることはありません。ただ、星が爆発すると鉄ができるように、ブラックホールができる時にも星が爆発して変わった元素を出すことも。
それが巡り巡って地球にも取り込まれているため、間接的な影響はあるということです。
(minto)
番組紹介
読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。



