CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

浦島太郎は亀を助けていなかった?

浦島太郎は亀を助けていなかった?

助けた亀に連れられて竜宮城へ行き、土産の玉手箱を開けるとおじいさんになってしまう浦島太郎。親切にしたのにこの結末とは、こども心にも理不尽に思えます。ところが原話を読むと、それにも納得がいくかもしれません。9月22日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』のゲストは、古典エッセイストの大塚ひかりさん。北野誠、佐藤実絵子、松原タニシと、さまざまな古典について語り合いました。こちらでは、浦島太郎の原話について取り上げます。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

3年が実は300年だった

浦島太郎の話が出てくるのは、713年ごろという大昔の『丹後国風土記』です。風土記の本体は散逸しましたが、後の書物に残った逸文から内容がわかります。

おなじみの結末は、竜宮城から帰ってきた浦島が玉手箱を開けると、煙が出ておじいさんになってしまうというもの。

大塚さん「あれって、こども時代に『なんて理不尽なんだ』って思いませんでしたか?」

松原「亀助けて竜宮城でめっちゃ遊ぶとこまではいいんですけど、戻ってきてから玉手箱以降ちょっとおかしいですよね」

浦島が竜宮城で過ごしたのは3年ほどなのに、地上では300年が経っていました。 

亀が美女に変身して求婚

大塚さんがこの話に納得できたのは、『丹後国風土記』と、浦島太郎が登場するもうひとつの古典『万葉集』を合わせて読んでからのこと。実は原話は、亀を助ける話ではありませんでした。

海釣りをしていてもまったく釣れない浦島太郎の船に、大きな亀がやってきて、いきなり美女に変身します。名前は乙姫ではなく、亀比売(かめひめ)です。

亀比売から、「イケメンだから結婚したい」と求愛された浦島は、これを受け入れます。「私の国へ行きましょう」と言われて目をつぶり、再び目を開けると、竜宮城のような場所に着いていました。

飲めや歌えやの宴会は、実は親族を交えた結婚披露宴だったのです。当時は婿取り婚で、男性が妻の実家に婿のように通い、披露宴も妻の側で行われていました。

原話はその形をきちんと取った、男女の性愛の話なのだそうです。

「また会いたいなら開けないで」

3年が経ち、浦島は帰りたいと言い出します。

亀比売は行かないでと引き止めますが、最後は、「私を忘れないでいてくれるんだったら、絶対に開けないで」と言って玉匣(たまくしげ)、つまり玉手箱を渡し、送り出しました。

北野「開けちゃいけないもの渡しよるんですか。それダチョウ倶楽部じゃないですか。押すなよ、開けるなよの世界やろ?」

大塚さん「『私とまた会いたいと思うんだったら開けないで』って言ってるんですよ」

地上に戻った浦島について、『丹後国風土記』には約束を忘れて玉匣を開けたと書かれていますが、『万葉集』では元に戻れるのではないかと考えて開けたことになっています。

約束を破った裏切り島太郎

大塚さんは、頼みを聞かずに開けたところに、男女の交際にまつわる何かを感じたそうです。

松原「『3年目の浮気』じゃないけど、3年って数字も現代に通じますよね」

3は古典によく出てくる数字で、かぐや姫の話にもたびたび登場します。

大塚さん「私は、その原話を読んだ時のほうが、納得感が強かったです。女性が『やらないで』って言ったものを裏切った、裏切りの話」

松原「裏切りの浦島太郎。裏切り島太郎だったんですか」

大塚さん「ちょっとかわいそう度が低まるじゃないですか」

昔話には、原話を読むと納得できるものが少なくないそうです。

エロい世界だった神仙思想

大塚さんによると、この話は中国の「神仙思想」の影響を大きく受けていて、日本古来のものとは少し違うかもしれないとのこと。

今に伝わる形は、男女の話をこどもにもわかりやすく改変したもののようです。

大塚さん「元はといえば、中国の神仙思想にしてもかなりエロいわけですよ。仙女といろんな関係になるとか、わりとエロい世界」

松原「仙人ってエロいんか」

大塚さん「エロいですよ」

松原「エロくないから仙人になってるんか思たら、めちゃくちゃ欲深いんですね」

大塚さん「やっぱりそういう性のパワーで不老長寿のやり方とかあるわけですから」

仙人は性欲バンバン?

「鶴は千年、亀は万年」というように、亀も不老長寿と結びついた存在です。

神仙思想は不老長寿を追い求めるもの。秦の始皇帝も不老長寿の薬を探し続け、日本にも探しに来たといわれています。その薬が橘の実だったという説も。

今もお金持ちが長寿を追求していると聞くように、いつの時代も人の考えることは変わりません。

北野「仙人なんてのは、身体を鍛えまくってあんなやってるけど、多分性欲バンバンやと思う」

松原「七福神の中に頭がめっちゃ男性器みたいにびよーんってなってる仙人もいますしね。なんかちょっと繋がるんですね」

古典の原話をたどると、知っているつもりの昔話が違う顔を見せてくれます。
(minto)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP