裏をかかず正攻法で勝負。川上憲伸と谷繁元信、ノーヒットノーラン配球の真実
CBCラジオ『ドラ魂キング』、「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。1月28日の放送では、川上さんが2002年8月1日の東京ドーム・読売ジャイアンツ戦でノーヒットノーランを達成した際の、谷繁元信捕手のサインの出し方について伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く手の動きも会話のうち
2002年8月1日、東京ドームでのジャイアンツ戦。川上憲伸投手はノーヒットノーランを達成しました。受けたのは谷繁元信捕手です。
さすがの谷繁さんも、1球1球のサインの出し方に緊張感が現れているように見えたと川上さんは振り返ります。
川上「谷繁さんはすごく次の次まで配球を考えているので、スムーズに基本は出るんですよ。ぱっぱっぱって。手の動きってピッチャーから見えるので、自信持ってサイン出してるなとわかる。これ、会話なんですよ」
7回から変わったリズム
7回ぐらいから、谷繁さんのサインに変化が現れたといいます。そもそもサインは1発で出るわけではなく、どこかにカモフラージュ、つまりダミーがあります。たとえば、グーチョキパーをずっと繰り返している中のどれかが本物。しかしこの時の谷繁さんは違いました。
川上「グーしか出なかったりとか。全部1個しかないんですよ」
これは、駆け引きをせず、すごく大事に行っているということ。瞬時に考えてくれているということだといいます。
実際はもちろんランナーが出ていないので、カモフラージュもそこまでいらない状況でした。
正攻法で勝負
本来キャッチャーは、バッターの裏をかくものです。普通ならこう来るだろうという予測を外したり、意表を突いた配球をしたり。たとえば、インコースの変化球でより仕留めるために、まずアウトコースのストレートで意識を逸らしてからという配球もあります。
しかし、ノーヒットノーランがかかった状況では、裏をかいて打たれては元も子もありません。谷繁さんは裏をかくことなく、正攻法で勝負していたといいます。
達成の瞬間、谷繁さんは川上さん以上に喜んでいたように見えたそうです。
川上「優勝決まったように、マウンドに来てくれて、持ち上げてくれて。90キロ以上あった僕を持ち上げて。やっぱり次の日に『ケン、俺腰痛いわ、重たかったわお前』とか言って」
自分の力だけでなく、本当に二人三脚で頑張ったという感覚だったと川上さんは振り返ります。
二人三脚の間
川上「二度三度サインを出してからストップというのもあるんですよ。『ちょっと待って』みたいな感じで、もう1回出し直すとか」
ノーヒットノーランがかかっている時、ピッチャーは意外と早く投げていきたくなるものだといいます。
川上「変なこと考えたくない。だからどちらかというとテンポが速くなりがち。今思えばモーションも妙に早いんです。だから谷繁さんがそれを抑えてくれてたっていうのもありますよね」
谷繁さんのサインに現れた緊張感。ふたりで勝ち取ったノーヒットノーランでした。
(minto)
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