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認知症は遺伝するの?医学博士に聞いてみた。

認知症は遺伝するの?医学博士に聞いてみた。

社会的な問題となっている、親の認知症。ケアをするこどもには「将来自分も認知症になるのではないか?」と心配な方もいるでしょう。7月12日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に、認知症と遺伝の関係について、北野誠が尋ねます。

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認知症と遺伝

まずリスナーから寄せられた相談内容です。

「88歳の母は兄、姉、弟二人の五人兄弟ですが、母を含めて認知症の人はいません。一方、父方の兄、姉、妹、弟の六人は父も含めてみんな認知症になりました。
認知症の発症には遺伝的な要因があるのでしょうか?それとも性格の影響でしょうか?
母方はみんなおだやかな性格ですが、父方は全員プライドが高く頑固な性格でした」(52歳・女性)

認知症と遺伝の関係について、さまざまな研究が行われているという吉田先生。

吉田「これは重大な問題ですので、山ほど論文が出ています。認知症の中に家族性アルツハイマー病という遺伝する病気があり、この場合は確率50%で、親からその遺伝子を受け継いだらほぼ100%認知症になってしまいます。

ただ、これはアルツハイマー病の1%未満のかなり特殊なケースで、認知症の大半は遺伝病ではないです」

基本的に認知症は遺伝病ではないようです。

認知症になりやすい素因は遺伝する

しかし遺伝と無関係というわけでもないそうです。

吉田「ただし、普通の認知症も体質とか性格とか、認知症になりやすい素因は遺伝しますので、血縁者が認知症を発症していた場合、やはりご自身も発症しやすい。

例えば南カリフォルニア大学の研究で、遺伝子がすべて共通している一卵性の双子の場合、片方がアルツハイマー病型認知症になると、もう片方も確率58%で発症する。

また別の研究では、ご両親の片方がアルツハイマー型認知症を発症している場合、こどもの発症率は23%、ご両親の両方だと45%~60%というデータが出ています」

認知症になりやすい性格

Aさんの相談に「父方は全員プライドが高く頑固な性格」とありました。
性格によって認知症の発症率が変わるということはあるのでしょうか?

吉田「これについても研究が行われていて、最も認知症になりやすい性格は、専門的には神経症傾向と言いますが、具体的には不安、怒りを感じやすい、情緒が不安定になりやすい性格。

どうしてかというと、不安も怒りも情緒不安定をストレスホルモンのコルチゾールが増加しやすくて、それによって脳内で炎症性サイトカインという物質が増えて、ごくごく軽い炎症が起きます。

それですぐ病気になるということはないですが、毎日毎日脳に炎症のダメージが蓄積するので、30年、40年たったら認知症を起こすことがあります。

ご相談者の母方のご親族はおだやかな性格ということでしたが、怒りも情緒不安定になることも少なかったと思うので、これは認知症にならなかった要因のひとつだと思います」

頑固だとなりやすい?

「頑固な性格」は認知症になりやすいのでしょうか?

吉田「頑固とかプライドが高いということで直接脳内に炎症が起きるということはないですが、困ったときに他人に助けを求めない傾向があります。
若い頃はいいかもしれませんが、問題は仕事をリタイアした後です。

普段、気軽に助けを求めないと相手も助けを求めなくなって、気軽につきあえる友達が少なくなって、それで一緒に趣味を楽しんだり、食事を楽しんだりする機会が減って、脳に送られる新鮮で心地よい刺激が乏しくなるので、脳の老化が進んで認知症になりやすくなるということです。

実際、その反対で協調性がある人、社交性が高い人は認知症になりにくいという明確なデータが出ています」

特に男性は孤独になりやすいとよく言われます。

吉田「これは男性ホルモンの性質なんです。その点、女性の方が有利です」

感情を記録することで性格改善

認知症になりやすい方はどんな対策をするといいのでしょうか?

吉田「頑固でプライドが高い人は、根本的に性格を変えなくても、趣味の時間を増やしたり、いろんな会合に出て、友達を増やせばいいだけです。

問題は不安になったり、イライラしたり、情緒が不安定になる神経症傾向の人は、この場合は認知症のリスクが高いだけでなく、うつ病、不眠症などのメンタル面の病気になりやすいし、血圧も上がりやすいから心筋梗塞、脳梗塞のリスクも高いので、性格を変える対策、努力はしていただきたいです。

吉田先生のおすすめは「自分の感情を記録すること」。
メンタルの状態を客観視できるので、少しずつ性格が変えられる効果があるようです。

吉田「感情を記録することで性格を改善するスマホのアプリも出ています。日本語でもAwarefy(アウェアファイ)とか、Peaceful(ピースフル)とか、似たアプリがいくつか公開されています。無料版でもできるものが結構多く、キーワード『感情記録』で検索するとそういうアプリが見つかります」

感情を記録することでそういった性格が変わり、認知症のリスクが減るならぜひ試してみたいですね。
(みず)
 

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