フジテレビ検証番組で露呈した「上質なキャバ嬢」発言と組織的ハラスメント

フジテレビが元タレント・中居正広さんに関する問題を検証する番組を放送し、前社長らが謝罪。一方で、全社的なハラスメント体質の実態が明らかになりました。7月7日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員と光山雄一朗アナウンサーが、この検証番組について詳しく解説しました。
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フジテレビは7月6日、元タレントの中居正広さんに関する一連の問題を巡る検証番組を放送しました。3月に公表された第三者委員会調査報告書に基づき、フジテレビが独自に関係者の証言を集めて検証。1時間45分ほどCMを挟まずに放送されました。
第三者委員会は、元フジテレビの女性アナウンサーが2023年6月に業務の延長線上で中居さんから性暴力を受けたと指摘しました。
今回の検証番組では、港浩一前社長と大多亮元専務が取材に応じました。両氏は自分たちの対応を謝罪し、この一件を人権問題ではなく、プライベートな男女間のトラブルと判断したことの理由や経緯について弁明しました。
「上質なキャバ嬢」発言も明るみに
第三者委員会は、フジテレビ全社的にハラスメントが蔓延していると指摘。番組出演者などとの良好な関係を築くために、性別、年齢、容姿に着目した会合が数多く開かれていると批判していました。
検証番組では、大多元専務が開く会合に参加した女性アナウンサーの証言として「大多さんは『女性アナウンサーは上質なキャバ嬢だ』と言っていた」との証言が紹介されました。
また、港前社長の会合に参加していた女性は「若手で見た目の良い、接待に使える女性だけを集めていて異常な会だった」と語っていました。
40年間君臨した日枝元会長の影響
石塚は番組を視聴した感想として「なかなか衝撃的なところもいろいろありました」と述べ、特に注目すべき点として、日枝久元会長が40年間にわたり人事権をひとりで握り続けていたことを挙げています。
番組では、その下で役員を務めていた人たちが意見を言っても聞いてもらえなかったとの証言も紹介されました。
また、接待的に女性アナウンサーを使うという件で追及された元幹部らの回答について、石塚は「正直言ってちょっと詭弁に近い」と言及。元幹部らは「そういうつもりはなかった」と弁明していましたが、石塚はその説明に疑問を呈します。
石塚は検証番組の効果について、コメントだけでなく顔が映ることで雰囲気が伝わるため「テレビって怖い」と表現。一方で、日枝元会長が出演を拒んだことについては「逃げちゃダメだよね」と批判的な見方を示しました。
「戦わずして逃げるのか」の矛盾
番組では、日枝元会長に3回取材を申し込んだものの応じなかったことも明らかになりました。遠藤龍之介元副会長が日枝元会長に辞任を求めた際、「君は戦わずして逃げるのか」と言われたエピソードも紹介されました。
石塚は「じゃあ、あなたは戦ってるかっていうと、結局どこへも出てこない。自分が脅せば働いてくれる役員とか幹部に『戦ってこい』って言って、自分は戦ってない。彼は戦ったんじゃなくて、逃げまくった。ついに出てこない」と発言の矛盾を突きます。
検証番組の制作について、石塚は過去にTBSがオウム真理教問題で検証番組を作った例を挙げながら「作る方も苦渋の制作になるが重要」と指摘。その上で、取材を受けないという姿勢について改めて批判します。
三浦優奈は、トップが変わっても「キャバ嬢発言」のような問題が明るみに出た以上、組織全体の刷新が必要との見解を示しました。
社会全体の風潮も問題
石塚は問題の本質について、特定の人物が長期間君臨し、周囲がその顔色を伺う構造があったと分析。
さらに、これはフジテレビだけの問題ではなく、「あらゆる組織で起こりうる問題として教訓にすべき」と強調しました。
また、女性アナウンサーの接待利用については、放送局だけでなく、そうした対応を求める社会側の問題でもあるとして、社会全体で風潮を改める必要があると締めくくりました。
(minto)
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