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OB3人が語る中日のホームスチール失敗。問題は根深い?

OB3人が語る中日のホームスチール失敗。問題は根深い?

7月5日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』は、若狭敬一アナウンサーが、「奇襲」について3人の中日OBに質問しました。その3人とは、監督経験のある谷繁元信さん、左の抑えだった岩瀬仁紀さん、三塁コーチ並びに代走・外野の経験者である英智さんです。若狭がこのテーマを選んだのは、あの試合の件があったからです。

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やっぱり気になるあの試合

「ぜひ分析して欲しいことがあります」(Aさん)

リスナーから提案が寄せられていました。分析して欲しいこととは、気になるあの奇襲について。

6月28日、土曜日のバンテリンドームナゴヤ、中日ドラゴンズ対広島東洋カープ10回戦。1対2、広島1点リードの9回裏の出来事。

2アウト、ランナー二塁から上林誠知選手のレフト前ヒットで、三塁の中村コーチが、二塁ランナー代走の尾田剛樹選手を三塁で止めました。

2アウト、ランナー一塁、三塁になって、ピッチャーがカープの抑えテイラー・ハーン投手。ドラゴンズは右バッターの山本泰寛選手。
カウント2-2からダブルスチールを敢行。ホームで尾田選手がアウトになり試合が終了しました。

ファン目線で考えた

Aさんの考察は、尾田選手を三塁で止めず、ホームまで行かせれば60%ぐらいセーフだったのではないか?その後の奇襲の成功率は10%あるのか、ということでした。

「どうせギャンブルするなら、確率の高い方で勝負した方がいいと思ったのですが、なぜあんな選択をしたのか、不思議で仕方ありません」(Aさん)

どれだけ良いバッターでも3割ヒットを打てば一流の競技。どう考えてもホームまで行かせた方が得点に繋がっていたと、Aさんは思っているそうです。

そこで、「三塁ストップは正解だったのか?」と「最後の奇襲は正解だったのか?」の分析を提案したのを受け、若狭がOB3人に話を聞きました。

山本選手の成績は?

まず若狭は打者、山本選手の数字を調べました。

山本選手の当日までの打率は2割3分3厘、ヒットを打つ確率は23.3%、得点圏打率は当日まで1割2分5厘で、ヒットを打つ確率は12.5%です。

山本対ハーンはプロ通算で見ると、当日まで2打数ノーヒットでした。

若狭「数字だけを見ると、あの局面で山本選手がヒットを打つ確率は低いと思います」

監督経験者の見解

当日は、解説者として放送ブースから見ていた谷繁さんの見解。三塁ストップは?

「あれは仕方がないと思う。タイミング的にはアウトだったと思う」

一、三塁ランナーのダブルスチールをした奇襲については?

「俺はありだと思っているし、よく決断したと思った。成功すれば称賛されるし、アウトには批判される。いわば100-0の大博打だよ」

監督経験のある谷繁さんらしい発言です。

ドラゴンズのチーム状態

一方、ドラゴンズは賭けに出ざるを得ないチーム状態であることも鋭く指摘する谷繁さん。

「言い方は悪いかもしれないけど、強いチームは奇襲なんてしなくていいし、やらないものなんだよ。あのまま山本に打たせてヒットを待てばいい。打てなくても次の試合で淡々と勝負をすればいい」

谷繁さんは横浜ベイスターズ、ドラゴンズ黄金時代と強いチームで戦った経験があります。ベイスターズ、ドラゴンズでの奇襲は記憶にないそうです。

「でも負けが込んでいるチーム、弱いチームは空気を一気に変える目的で大博打に出なきゃいけないというか、出てもおかしくないというか。出る意味はあると思う」

あの時のファン、実況のアナウンサーのリアクションから分かるように、あそこで奇襲をするとは誰も思っていませんでした。つまりあの作戦を出すタイミングは悪くなかったんだそうです。

「もしあれで追いついて勝っていたら今頃ドラゴンズは勢いに乗っていたかもしれない。でもギャンブルに負けて、そのままズルズル苦しんでいるということは結局チーム力がないということだね」

谷繁さんは作戦からチーム状況まで冷静に分析していました。

投手の気持ち

左の抑えだった岩瀬仁紀さんの見解。ハーン側の立場で語ってもらえました。三塁ストップは?

「抑えの人間からすると大ラッキー。一番嫌なのはああいう場面で一か八かの賭けの走塁に出られること」

もしあれでレフトからの送球が逸れて同点になってチームが負けたら、抑え投手としては気持ち的に割り切れずストレスが溜まるそうです。

「抑えのピッチャーは周りの野手がごちゃごちゃしてやられるのが一番キツイ。やられるなら全部自分の責任でやられた方がいい」

ダブルスチールという奇襲について成功するか否かは一塁ランナーのスタートのタイミング次第。ハーンが冷静だったという意見でした。

次の試合が重要

三塁コーチ並びに代走・外野の経験者である英智さんは、「三塁ストップは問題なし」「そもそも代走を送った時点でホーム突入は厳しい」「奇襲成功のカギは一塁ランナーの時間稼ぎ」という見解でした。

相手チームについても意外な事実が語られました。

英智さんが二軍のコーチ時代、カープは二軍でも、今回ドラゴンズが仕掛けた一塁、三塁ダブルスチールの奇襲をよくやっていたそうです。

ドラゴンズが奇襲失敗で負けたこの試合後、同じドラゴンズOB荒木雅博さんと、「明日勝たないとドラゴンズはヤバいね」と話したそうです。

「でも残念ながら負けちゃいましたよね。そこからズルズル。そういうことです」と英智さんは言っていたそうです。

リスナーからの提案で、若狭がレジェンド3人に聞いた結果でした。 
(尾関)
 

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