ついに実現したのに?鉛を金に変える錬金術が儲からない理由

6月20日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、リスナーから寄せられた「儲かる話」を取り上げました。中世の錬金術師が夢見た「鉛を金に変える」技術がついに実現したという研究結果についての投稿でしたが、その実用性には疑問符が付くようです。この話題について、つボイノリオと小高直子アナウンサーがトークを展開しました。
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つボイが「ちょっと儲かる話をさせていただきます」と厳かに切り出したのは、リスナーから寄せられたこんな投稿です。
「ついに、中世の錬金術師が追い求めた夢が実現か!スイス・フランスの国境にある欧州合同原子核研究所のチームが、鉛を金に変えることに成功したそうです」(Aさん他)
つボイ「皆さんの家にも、金はなくても鉛ぐらい転がっとるやろ。これを金に変えたらいいんじゃないですか。やり方を言いましょう。皆さんも鉛筆とメモを用意していただいて」
こう呼びかけ、つボイはその錬金術の仕組みを詳しく説明し始めました。
複雑すぎる仕組み
「研究チームが着目したのは、鉛の原子核同士が直接触れ合わない『ニアミス衝突』という手法です。鉛の原子核が高速で近づくと、周囲に強力な電磁場が生じます。この電磁場が干渉し合うことで、陽子や中性子を引き離す作用が働きます。82個の陽子を持つ鉛から陽子3つを取り除けば…」(Aさん他)
つボイ「簡単やね、1、2、3やもんね」
「3つを取り除けば、79個の陽子を持つ金になります。研究チームは、この『ニアミス衝突』を計測して、最大毎秒8万9000個の金の原子核が生じていることを突き止めました」(Aさん他)
2015年から2018年に行われた4回の実験で、金の原子核が生成されることが確認されたといいます。
1兆分の1グラムの現実
しかし、ここからが問題です。生成された金の量はわずか29ピコグラムでした。
小高「ピコってなに?」
つボイ「ピコというのはね(笑)。私も初めて口にしてますけどね」
ピコグラムは「1兆分の1グラム」。想像を絶する微量です。
つボイ「1兆分の1グラムが29個もあるんです。29もあるピコグラムです」
小高「すごい力説して語っていただいてますけど…意味わからんでしょ」
さらに致命的なのは持続時間です。生成された金は一瞬で他の粒子に分解されてしまったそうです。
キツネの葉っぱと砂金ペンダント
それでもつボイは諦めず、昔話を持ち出してきました。
つボイ「キツネが買い物に来る時ね、お金を渡しますでしょ?キツネが帰った後、葉っぱに変わってた。あれと一緒やわ。ちょっと隠して持ってって『すいません、これ金で払っていいですか?』。パッと金で払って『さよならー!』って」
小高「そんな大層な思いして金を作らなくても、ピコしかないんやったら、佐渡に行って砂金すくおう!砂金はね、砂や言うても、ピコより大きいよ」
実際に佐渡で砂金すくい体験をしたつボイは、その砂金をグッズ売り場で購入したレンズ形のペンダントに入れたそうです。そのレンズ効果で、砂金が大きく見えたのだとか…。
つボイ「これに入れて、買い物に行ったらどうや。『この大きいやつと変えてもらえませんか』。あかんかな、これ」
科学的快挙と現実のギャップ
小高「化学の世界においては、金を作るってもう無理って言われてたのに、できるんや。というところでニュースになってるみたいね」
中世から現代まで人類が追い求めてきた錬金術がついに実現した一方で、その実用化にはまだまだ長い道のりが必要のようです。
つボイ「まだまだやな、研究は」
夢の錬金術は、まだまだ夢のままのようです。
(minto)
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