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美しいプロポーションに思わず声が出ちゃう。法隆寺の百済観音

美しいプロポーションに思わず声が出ちゃう。法隆寺の百済観音

毎週木曜日の『ドラ魂キング』では、CBCの佐藤楠大アナウンサーが仏像に関するトピックを紹介します。6月19日の放送で紹介したのは、奈良県斑鳩町にある法隆寺の百済観音。佐藤によれば、壮大なスケールを表現していて、しかも美しいそうです。

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古い仏像

佐藤「今までお伝えしてきた仏像の中では最も古いです。飛鳥時代。600~650年ぐらいに作られたと言われています」

ちなみに東大寺の大仏が作られたのが奈良時代、752年。時代区分だと飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代と続きます。

飛鳥時代の前は空白の4世紀があり、その前が古墳時代ですので、百済観音が如何に古い時代に作られたかが分かります。

法隆寺の百済観音。正式名称は法隆寺木造観世音菩薩。外国から入って来たばかりの当時の彫刻文化の特徴がよく表れているそうです。日本の国宝第一号。

33の姿に変化

法隆寺木造観世音菩薩の観世音菩薩=観音菩薩だそうです。

佐藤「観音菩薩はいろんな姿に変化して、たくさんの人々に救いの手を差し伸べてくれる菩薩です」

弥勒菩薩、千手観音、如意輪観音、いろんな観音がありますが、全ての大元は観音菩薩(観世音菩薩)。観音菩薩が姿を変えた姿だとか。

佐藤「京都に三十三間堂という修学旅行の定番スポットにバーッと仏像が並んでますでしょ?あの厳かで重々しい空気感がたまらないんです」

佐藤の大好きな三十三間堂の「三十三」というのは観世音菩薩が三十三の姿に変化して人々を救う、ということからきているそうです。

飛鳥時代の特徴

飛鳥時代の仏像の特徴は大きく2つ。
1つ目は作り方。彫刻で作られているものが主流で、像が直立不動。真っ直ぐ立っていて、正面から見ることを基本とした作りなんだそうです。

そのためペタッとしていて、背中は真っ直ぐなものもあるそうです。

佐藤「正面から見ると、下のお腹の辺りがポッコリしていて、首がちょっと前に出ています。横から見るとS字カーブを描くように見えるのが飛鳥時代の特徴です」

もう1つは表情。口角が少し上がったアルカイックスマイル。もともとは古代ギリシアのアルカイック美術の彫刻に見られる表現。

それがどんどん東へ来て、日本へ。飛鳥時代の仏像によく見られる特徴だそうです。

プロポーションが最高

全長は約209センチの八頭身。スラッとした細身の体型で、肩から足元までほとんど同じ幅なんだそうです。

佐藤「肩が出ているとか女性らしい体つきで腰元がふくよか、なんてことはなくてスラッとしていて首もスッとしているので、見ると『わあ美しいな』と思わず声が出てしまいます」

209センチという長身は、この時代の作品としては珍しいそうです。

注目ポイントは百済観音が乗っている台座。百済観音の両足が乗るのがやっとというぐらいの小ささ。

佐藤「この小さい台座の上にスラーッと細長く立っている。このバランス感覚も個人的には美しいと思っています。足もズドンじゃなくキュッ。このプロポーションは百済観音ならではだと思います」

衣服がいい感じ

佐藤「飛鳥時代の仏像の特徴は正面から見るのが基本と言いましたが、この百済観音は、後ろからも横からも見て楽しめるんです」

横から見たポイント。右腕はお盆を持つ時のように肘を90度に折り曲げた状態。前腕の部分に洋服がかかっていて足元までタラーッと布が垂れ下がっているそうです。

佐藤「これ、衣服がいい感じではためいてるんですよ」

腕から垂れた服を正面から見ると、薄くて一本の線のように見えますが、横から見るとちゃんとはためきが分かるそうです。

佐藤「当時としては珍しく、横から見ることも想定して作られたと考えることができます」

壮大なスケール

百済観音には、光背と言われる光を表現した装飾があるそうです。正面から見ると肩の下辺りから、頭のかなり上まで丸い葉っぱのような形で後光が差しているような状態。

実はこの光背、百済観音の後ろで台座から伸びた細い一本の木の棒で支えられているそうです。木の棒は竹を模ってあるとか。

佐藤「百済観音の台座の後ろをよく見ると、山があるじゃんとわかるぐらいの小さな山があり、そこから2メートル以上の竹の木が生えてるんです」

この世界観が独特。百済観音の身長は、言い伝えでは八十万億那由他由旬(はちじゅうまんおくなゆたゆじゅん)。

佐藤「一由旬がおよそ15キロ。その八十万億那由他由旬倍?よく分んないですけど、とにかく大きい。それだけ壮大な存在なんだというのを後ろの竹と山も含めて表しているんです」

正面からはもちろん、横から見ても後ろから見ても味わい深い国宝、法隆寺の観世音菩薩、通称・百済観音を紹介しました。
(尾関)
 

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