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「もらい火」を受けても泣き寝入りするしかないって本当?

「もらい火」を受けても泣き寝入りするしかないって本当?

『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリマネー相談室」コーナーでは、貯蓄、税金、節約、保険などお金にまつわるさまざまな相談を募集。小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナーが回答しています。11月17日の放送では、他人の家で火災が起きた際、いわゆる「もらい火」で被害が起きた場合に補償してもらえないのかどうかについて、針田真吾さんが解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と大橋麻美子です。

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もらい火は泣き寝入り?

今回取り上げた相談は、次のとおりです。

「賃貸の集合住宅を持つ大家です。先日、火災保険の更新時期にさしかかり、その手続きの際に耳にしたことが気になってメールしました。

近隣からの火災でこちらの物件が燃えてしまった場合には、法律上相手には賠償してもらえないという話を聞いたのですが、本当ですか?

さらに気になるのが、もし入居者が火災を起こした場合でも賠償してもらうことができないということですか?
これではもらい火側からすると完全に泣き寝入りのように思うのですが、教えてください」(Aさん)

大家さんだけではなく、持ち家を持っている方や賃貸で借りている方も気になる問題です。
針田さんによれば、他の家の火事が原因による被害に対し、補償されないケースが実際にあるそうです。
 

120年以上前の法律

民法709条に掲げられている「不法行為」を挙げる針田さん。
他人に損害を与えたら賠償する責任があるとのことですが、失火に関してはこの条文は適用されないとのこと。

また、いわゆる「失火法」(失火の責任に関する法律)では、重大な過失による火災を除いて不注意であれば損害賠償をしなくて良いと規定されています。
この失火法は1899年(明治32年)施行とかなり古い法律です。

北野は「たぶん昔は木造家屋がめちゃくちゃ多かった時に、類焼しすぎてひとりに責任を負わすのは無理やってことになったんやと思う」と推測します。

損害賠償されないのはどんなケース?

ここで気になるのが、逆に「重大な過失」に当てはまる場合、損害賠償をしなければならないということ。
いったい、どのようなケースが当てはまるのでしょうか?

針田さんによれば「ものすごく注意をしなくても、普通にちょっとだけ注意をしておけば十分損害が予見できる、だけどそれを放っておいた。ほとんど故意に近い状態」とのこと。

実例としては石油ストーブの火をつけたままタンクを取り出し、灯油を入れてフタを閉めずに戻してあふれて出火したケース、火をつけたまま天ぷら油の入った鍋を放置しておいたケース、寝タバコなどが挙げられます。

ただ、いくつか過失に当てはまらないケースがあります。
例えば、お酒を飲んだ状態でガスコンロでアルミ製の鍋に火をかけ、そのまま寝入ってアルミが溶けて燃えた場合や、仏壇にあるローソクの点火。

たき火を消したつもりでその場を離れたが、実は火は消えていなかったというケースなどもあり、判断が結構あいまいなようです

入居者に必要な対策

そして賃貸住宅の入居者の場合は「適用される法律が異なる」と針田さん。

失火法はあくまでも民法709条の不法行為が適用されないことになっていますが、別に民法415条では「債務不履行」について規定されています。

これは契約などで他人に債務を負っている方が、その債務を果たさずに相手に損害を与えたら賠償しなければならないというもので、賃貸契約にも適用されます。

つまり、賃貸住宅の入居者が火災を起こした場合は、責任が発生するということになるのです。
ただし、入居者に支払い能力がないと判定されると、結局補償されなくなってしまいますので、火災に限らない個人賠償保険に入ってもらうなど対策が必要です。

大家が補償するケースも

また、大家は入居者に対して「借家人賠償責任保険」というものに加入してもらうよう促すことが重要です。
この保険はあくまでも賃貸借契約を交わした占有部分のみであるため、廊下や他の部屋への補償はされません。

結局、大家さんは自分でも共有部分が補償される保険に入らなければならないということです。

また、逆に大家側が補償しなければならないケースもあります。
例えば古い物件で給排水設備が機能せず住居が水浸しになってしまった場合、責任を負う必要があり、そのために施設賠償責任保険というものもあるそうです。
(岡本)
 

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