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35年以上続く会社は要注意!「名義株主」の存在

35年以上続く会社は要注意!「名義株主」の存在

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。5月21日の放送では、忘れ去られている「名義株主」の影響について北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタント 竹中秀勇輝さんに伺いました。

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名義株主のせいで多大な出費

今回竹中さんは紹介したのは、非上場会社のオーナーに相続が発生した後で「名義株主」の存在が判明した事例。

北野「名義株主!昭和の人しかわからないような話やけど」

どのような状況だったのでしょう?

竹中「株式会社として非上場会社を運営するオーナー様には、長男・次男の2名のお子様がおり、後継者として長男が父の保有する株式を相続する予定となっていました」

ところが父親の相続後、長男が全く知らない人物から「株式を買い取ってほしい」との相談が入ります。
「名義株主」の存在に、株式が親族外の第三者へ渡ることを懸念した長男。

竹中「該当の株主から株式の買取りを要求され、資金に乏しい長男は銀行から借入をしてまで株式の買取りをする事態となった」

名義株主とは

竹中「名義株式とは、株主名簿上の株主と実際の所有者が異なる株式のことを指します」

つまり、会社への出資者とは異なる人物が株主になっている状態のこと。
「オーナーの知人や従業員の名義を借りて株式を保有するケースが典型的」と説明する竹中さん。

平成2年に旧商法が改正されるまで、株式会社を設立するには7名以上の発起人が必要でした。
そのため、業歴が35年以上ある会社は株主が複数名いる場合があるそうです。

北野「名義株主がいると思った時は何をするべき?」

竹中「まずは名義株式の実態を正確に把握する事が重要。そして、名義株主の真の所有者が誰なのか、つまり最初に誰がお金を出したのか明確にしておくこと」

出資せずに名前だけを貸したという方がいるのであれば「名義株主」である可能性は高いのだそう。

相続発生前に名義変更を

北野「名義変更ができない場合もあったりするんですか?」

竹中「はい。業歴が長く、株主が複数名いる会社の場合は、株主が行方不明の場合や名義変更に応じてもらえないなどの問題で悩みを抱えている会社も見受けられます」

行方不明の株主がいる場合、通常は5年間以上株主へ通知を行うなどの対応が必要なのですが、令和3年8月に会社法の特例が設けられ、通知期間が1年以上に短縮できる制度ができたそう。まずは税理士や司法書士等の専門家へ相談することを勧める竹中さん。

北野「名義株主がいる場合は、具体的にはどうしたらいいんですか?」

竹中「名義株式は、相続が発生する前に真の所有者に名義変更しておくことが望ましいです」

名義変更の手続きは、名義人から同意書や印鑑証明書の提示をしてもらい、株主名簿を書き換えておく必要があるとのこと。

創立35年以上の会社は要注意

北野「久しぶりに『名義株主』を聞きました。株式会社を継ぐときに、とりあえず7人集めなくちゃいけなかったから。それで登記しなくちゃあかんからね」

今回の事例で「亡霊のように思い出した」と続けます。

手続きの整理が終わった後は、遺言書を作成して会社名や配分先を具体的に記載し、権利関係を明確に継承できるよう準備しておくことが望ましいとのこと。

北野「少なくとも35年以上続いている会社で、新たに何かことを起こすときには改めて名義株主がいるかどうか、その存在を確かめることですね」

名義変更ができずに、自身や親族への予想外の支払いが必要になってしまわないように、心の当たりのある方は見直してみてほしいと促す北野でした。
(野村)
 

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