縄文から現代まで!トイレ文化の進化を体感できる「トイレの文化館」

LIXILが運営する愛知県常滑市の「INAXライブミュージアム」に、日本のトイレ文化を発信する「トイレの文化館」がオープンしました。縄文時代から現代までの日本のトイレ進化を時系列で紹介する施設です。4月30日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、松岡がINAXライブミュージアムの学芸員・立花嘉乃さんの案内で、この「トイレの文化館」を訪れた体験を紹介しました。
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縄文時代のトイレは実物展示ではなく、遺跡の近くから見つかった「糞石」による解説で紹介されています。これにより、当時の人々が決められた場所で用を足していたことがわかるそうです。
平安時代には、絵巻物に「川屋」(トイレ)の様子が描かれました。
鎌倉時代には、現代でいう「循環型社会」の走りとなる「こやし」のシステムが確立します。これは人間の排泄物を肥料として農地に再利用する仕組みです。
江戸時代になると「川屋」がさらに発展し、肥料としての商業的価値も高まりました。当時の日本のトイレは、同時期の欧米諸国に比べて、圧倒的に衛生的だったといわれています。
対してヨーロッパでは、溜めた排泄物を2階から道路に投げ捨てる習慣がありました。そのため香水やハイヒールが流行り、疫病も多かったそうです。
江戸時代のトイレ事情と東西の違い
江戸時代のお殿様が使用したトイレの復元品も展示されています。畳敷きの部屋に漆で塗られた「おまる」が埋め込まれた贅沢な造りで、蓋があり、音消しや匂い消しとして松の葉や炭が使われていました。
興味深いのは、江戸時代の「厠(かわや)」には東西で違いがあったという点です。
江戸(東日本)では扉が半分しかなく、板壁で質素な作りだったのに対し、京都など西日本では扉が上まであり土壁で作られ、プライバシーが確保されていました。
この違いの理由は明らかではないものの、江戸が爆発的に人口が増えていて、資材にそこまでお金がかけられなかったのではという推察ができるそうです。
江戸時代後半には、町民文化の成熟とともに、便器も木製から陶器製へと進化し、特に「瀬戸焼」で作られた美しい絵付けを施したトイレが人気を博しました。
同時代のイギリスでは、水洗トイレの原型と下水道の整備が始まっており、日本とは異なる進化を遂げていました。
公団住宅で進化した日本のトイレ
戦後のトイレ事情で画期的だったのは、水洗トイレ化に一役買ったといわれる公団住宅です。
それまで別々だった小便所と大便所をひとつにまとめ、狭い住宅でも効率的に使えるようなトイレが誕生しました。
このトイレは、男性は立って小便を、階段の上にしゃがんで大便ができる階段式の構造で、さらに隅にタンクを置き、上部に手洗いも設けるという工夫もありました。
その後、数年で洋式トイレが集合住宅に導入され、日本初のシャワートイレも開発されました。
アメリカやドイツなど海外のトイレメーカーが、日本の技術を取り入れ始めた事例も紹介されています。
時代を彩るトイレカラーの変遷
館内では、トイレのカラー変遷も展示されています。1970年の大阪万博の頃は「原色のトイレ」が流行ったといいます。
「トイレの文化館」は、日常に欠かせないトイレを通して、日本の文化や技術の歩みを知ることができる貴重な施設です。
日本ならではの「清浄性」へのこだわりは、こうしたトイレ文化にも色濃く表れており、その高い技術力は、今や海外からも注目を集めています。
トイレの文化館を含む「INAXライブミュージアム」は、毎週水曜日が休館日。入場料は一般が1,000円、小中学生はそれぞれ料金設定があり、詳細はホームページで確認できます。
(minto)
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