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東京23区も家庭ごみ有料化を検討へ、“先駆者”名古屋市は新たなルール

東京23区も家庭ごみ有料化を検討へ、“先駆者”名古屋市は新たなルール
イメージ画像:「ごみ出しをする女性」(写真ACより)

家庭ごみを捨てるにもお金がかかる。すでに多くの自治体ではルール化されているが、東京23区もいよいよ、そんな有料化の検討をスタートした。

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東京23区が検討スタート

東京23区が回収するごみの量は、年間およそ160万トンと言う。焼却した後に、現在は東京湾に2か所ある処分場に埋め立てているが、東京都の試算によると、あと50年ほどで満杯になる。「まだ半世紀も先」と言うなかれ、新しい処分場を探すには、東京湾には場所がないそうだ。このため、少しでもごみの量が増えることに歯止めをかけるため、家庭ごみ収集の有料化に向かうことになった。

家庭ごみ有料化の効果

イメージ画像:「朝のごみ捨て」(写真ACより)

環境省のまとめでは、全国の自治体の内、およそ7割近くが、ごみ収集を有料化している。すなわち、家庭で出たごみを捨てる際に、指定された袋に入れて出すルールで、このごみ袋を有料で販売するというシステムである。実は、東京都でも広い面積の多摩地域はすでにごみ収集を有料化している。例えば、八王子市の可燃ごみは有料化によって30%減ったと言う。東京23区の家庭ごみ収集有料化検討というニュースを見ながら「ようやく今から」という思いを抱くのは、筆者が暮らす名古屋市は、もう30年近く前から有料化に踏み切っているからである。

名古屋市が直面した悩み

もっとも、名古屋市の場合は、有料化を「早くやらざるを得なかった」というのが本音である。きっかけは、名古屋港の藤前干潟を、ごみの最終処分場として埋め立てる計画だった。この藤前干潟は、渡り鳥が多く飛来する“野鳥の楽園”として知られていて、埋め立てに反対する声も多かった。

“野鳥の楽園”は残った

イメージ画像:「藤前干潟」(写真ACより)

環境省(当時は環境庁)をも巻き込む大きな社会問題となった中、1999年(平成11年)1月、当時の松原武久・名古屋市長は「埋め立て断念」を決断した。17年間にわたって準備されていた公共事業のストップだった。藤前干潟はその後、ラムサール条約にも登録されて、自然環境を残す場として世界的に知られるようになった。しかし、ごみ問題が残った。

市民が取り組んだ「ごみ対策」

そこで松原市長は「ごみ非常事態宣言」を出して、市民にごみの減量を呼びかけた。目標は「2年間でごみを20パーセント削減すること」だった。とても高いハードルだった。その決め手が、家庭ごみの有料化だった。プラスチックごみ、そして紙ごみなどの資源ごみを分別収集し、可燃ごみにも有料袋が必要になった。結果は、2年間で目標を上回る23パーセントのごみ削減に成功した。松原市長はその後、自らの経験を1冊の本に著した。『1周おくれのトップランナー』(KTC中央出版)というタイトルには、ごみ対策に後れを取っていた名古屋市が、市民の協力もあって、その遅れを取り戻したと言う自負がうかがえる。

資源ごみ回収の鈍化

「ごみ非常事態宣言」を出した当時、名古屋市のごみの処理量は99.7万トンだった。それが4割近く減ったものの、ここ数年は60万トンほどで横ばいに推移している。一方で、分別されるべき資源ごみの量も、次第に少なくなって鈍化が見られる。「ごみ非常事態宣言」から27年の歳月が経ち、市民の流入流出もあるため、ルールが浸透し切っていないのでは、との声もあるが、そんな名古屋市で、2026年(令和8年)4月から、新たなルールが始まった。家庭から出された資源ごみを持ち去ることを禁止する条例である。

持ち去りを禁じる新ルール

イメージ画像:「空き缶の回収」(写真ACより)

正式には「名古屋市家庭廃棄物等の持ち去りの防止に関する条例」と言う。名古屋市によると、2024年度は、アルミの空き缶300トン分が収集前に持ち去られた。資源ごみなのでお金に換算すると、およそ5,000万円分に該当すると言う。条例は4月1日に施行されて、10月からは、持ち去りには「勧告」、それでも従わない場合は「命令」、さらに従わない場合は、違反者の名前を公表し警察に告発、50万円以下の罰金が科せられる。

人が生活している限り、どうしても出てくるのは家庭ごみである。その一方で、処分場の限界など、ごみ処理への課題は多い。自分たちが暮らす自治体の負担を少しでも軽減するため、大きく言えば地球環境を守るため、新年度のスタートを機に、今一度それぞれが考えたい重要なテーマである。

【東西南北論説風(680)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

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