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オリオンビール、映画『宝島』、遠くのジャングリア、沖縄2025年の秋を行く

オリオンビール、映画『宝島』、遠くのジャングリア、沖縄2025年の秋を行く
「オリオンビール」:筆者撮影

猛暑だった日本列島では、2025年(令和7年)の盛夏にこんな言葉が聞かれた。「沖縄に避暑に行きたい」。ようやく暑さもひと段落し始めた名古屋から、10月上旬に沖縄を訪れた。

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上場したオリオンビール

沖縄と言えばオリオンビール。そのオリオンビールが、東京証券取引所のプライム市場に上場したのは、9月25日だった。沖縄県内の製造業で上場するのは初めてで、そんな期待感から、株価は上々の滑り出しだった。

筆者がこれまでの人生で飲んだビールの中で、最も美味しかったのは、沖縄県名護市にあるオリオンビール工場を見学した際に出されたビールだった。サーバーからグラスに注がれた生ビールではなく、閉栓前の瓶ビールだったが、これが“とんでもない”旨さだった。今もその感激は忘れない。ビールは鮮度が勝負と“思い知らされた”一瞬だった。

人気殺到の工場見学

「オリオンハッピーパーク外観(名護市)」:筆者撮影

そんな思い出を胸に、20数年ぶりに工場見学に訪れた。電話1本で気軽に受け入れてもらって無料見学した前回とは違って、事前にインターネットによって予約が必要、さらに見学料として1,000円が必要になっていた。予約も人気らしく、朝一番の9時30分のコースが、何とか予約できた。

工場横に「オリオンハッピーパーク」という施設があり、そこから入ってビールの製造工程を見学した。案内ガイドの女性はとても手慣れていて、日本語と英語を駆使して、30分ほどのツアーを見事に楽しませてくれた。見学後のお楽しみはビールの試飲である。メイン商品である「オリオン ザ・ドラフト」と新しい「島風ピルスナー」の2杯をグラスで堪能した。やはり、ビールは鮮度だ。

『国宝』を追いかけた『宝島』

この夏は、映画『国宝』が全国的に大ヒットした。口コミが口コミを呼んで、映画館には若い層から年配の人たちまで、連日続々と観客が詰めかけた。映画は2時間55分という、邦画としては珍しい長尺もので、トイレの心配をする声もあったほどだ。

その長さを上回った邦画が『宝島』である。戦後まもない沖縄が舞台で、米軍基地から物資を奪い、それを地元の人たちに配る、そんな活動をしていた若者たちのそれぞれの人生が、沖縄史と共に描かれる。直木賞を受賞した作品を映画化したもので、こちらは上映時間3時間11分と、長さでは『国宝』に負けてはいない。

那覇では日に5回上映

「沖縄県名護市の夕景」:筆者撮影

残念ながら、集客は『国宝』には後れを取って、名古屋での上映回数は日に1回まで減ってしまった。ところが、沖縄は違った。那覇市内の映画館では、『国宝』が日に1回上映なのに比べて、『宝島』は日に5回も上映される。長尺の映画は、回転が悪いこともあって上映回数が減りがちなのだが、地元の沖縄では関係なし。映画は、妻夫木聡さん始め演技の熱気がスクリーンから吹き出るほどの“熱さ”であり、秋になっても『宝島』の熱は冷めていない。小学校への米軍墜落事故やコザ暴動など、戦後の沖縄史にとって忘れてはならない事実を、きっちりと描いた名作である。沖縄での熱が、戦後80年を迎えた日本列島全体に広がるといいと、心から願った。

ジャングリアの巨大気球

「ジャングリアの気球を望む」:筆者撮影

今回「沖縄へ行く」と言うと、多くの人から声をかけられた。「ジャングリアへ行くの?」。本島北部に7月に開業したテーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」。“やんばる”の大自然の中で、様々なアトラクションを楽しむことができる施設である。

地元は大変な混雑で話題沸騰かと思いきや、実は、筆者が行動した範囲では、思ったほどに話題にのぼっていなかった。「予想以上に車の渋滞はなかった」という感想を聞いたくらいだった。オープンまもなく、まだ“様子見”というところなのだろうか。実際に訪れることはなかったが、名護湾を経て、山の向こうに上り下りする気球を目撃した。「JUNGLIA」の巨大気球だった。オリオンビールなど、地元企業が支援する新たなテーマパーク、その趨勢を判断するには、もう少し時間が必要なのだろう。

戦後80年の秋、沖縄はどんどんと新しい姿を見せている。帰路、中部国際空港に降り立った時に、オリオンビールのロゴ入りTシャツを着ている人の数の多さに驚いた。小学生の子どもまで着ている。「オリオンビール」というブランドが、上場よりも早くすっかり“全国区”になっていることを痛感した。

【東西南北論説風(634)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

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