井上竜は交流戦明け勝ち越しスタート!それでも気になる2つの采配ポイント
サッカーワールドカップの日本代表がチュニジア戦で挙げた4得点が、そのままドラゴンズの8回表に“降臨”したかのような、終盤の逆転勝利だった。(敬称略)
ほぼ負けムードだった
セ・パ交流戦が終わって、リーグ戦が再開した。ドラゴンズは東京ドームで讀賣ジャイアンツと3連戦、1勝1敗で迎えた3戦目、2026年(令和8年)6月21日の試合は、その展開から竜党としてほぼ負けを覚悟したゲームだった。先発の柳裕也は粘投をするも1点ずつ取られて0対3の劣勢だった。そして迎えた8回表、マウンドにはジャイアンツの“勝利の方程式”セットアッパーの大勢が上がった。ここから竜打線の猛攻が始まった。
一挙4点の逆転劇

岡林勇希の内野安打を足がかりに、1死1、3塁から、久しぶりに4番に復帰した細川成也がライト前ヒットで1点を返す。2死になったが、途中から代打で出場しサードを守っていた高橋周平がタイムリーで、もう1点を追加した。村松開人の四球で2死満塁となり、ここで代打登場の阿部寿樹が、大勢の初球をライト前に打って2点を入れて、4対3と一気に逆転した。阿部の勝負強さに拍手喝采、素晴らしい攻撃だった。
かつて昭和の時代、近藤貞雄監督に率いられた“野武士野球”の逆転劇を思い出した。あの頃はこんなゲームが多かった。
石川昂弥タイムリーに歓喜

ファンとして嬉しかったのは、9回表に挙げた追加点である。代打の石川昂弥によるタイムリーだった。ジャイアンツとの初戦で守備の際に右手の指を傷めて、2試合スタメンから外れていた。「けがが多い」というイメージの石川だけに「またか」と思ったが、ここ一番の場面で存在感を見せてくれた。是非、スタメンに復帰してほしい。ゲームは5対3でドラゴンズが逆転勝ち。交流戦明けをカード勝ち越しで好発進した。
“日替わり打線”いつまで?
嬉しい“劇勝”の余韻の中、それでもあえて、今後に向けた采配について、2つの点を指摘したい。ひとつは、相変わらず続く“日替わり打線”である。石川のけががあったとはいえ、3試合ともスタメンは変更された。2戦目は1安打の零封負けを喫した。大切な4番の座も、ミゲル・サノーと細川の2人が交代で入った。拙コラムでも指摘し続けているが、スタンダードがあってこその柔軟性である。今季ここまで“日替わり打線”で勝てていないのだから、打線を落ち着かせてほしい。
“送りバント”の整合性

もうひとつは“送りバント”である。1点リードで迎えた9回表、岡林がヒットで出塁すると、ベンチは2番の鵜飼航丞に送りバントを命じた。驚いた。この試合の初回も、岡林はストレートの四球で出塁したが、ここでは送りバントをせずに鵜飼はそのまま打って併殺打だった。9回表、鵜飼は結局バントを失敗、三振に終わってランナーを進めることができなかった。送りバントについての意図が分からない。もっと言えば、強打の鵜飼を「2番」に置く意味も揺れているように感じた。
ベンチ采配への不安
ジャイアンツとのカード3連戦を勝ち越したものの、借金はまだ18ある。正直、気が遠くなるような数であり、奇蹟的な連勝でもない限り、なかなか先を見ることもできない状態である。選手個々の力によって勝つ試合もあるが、ベンチ采配には、まだ戦略性と統一性が見られないことに、ファンとしては不安を覚えてしまう。交流戦後に井上一樹監督は「風向きが変わる」と語ったが、その言葉の姿をきちんと見せてほしい。
東京ドームでの見事な逆転勝利を、次の試合でどう活かすことができるか。これまでも度々裏切られてきただけに「今度こそ」という願いを込めて、1年ぶりの岐阜、そして名古屋での横浜DeNAベイスターズ戦を待ちたい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











