竜戦士5人が“夢の球宴”に選出、MVPを獲得して後半戦の起爆剤になれ!

“夢の球宴”と呼ばれるプロ野球オールスターゲームが、2025年(令和7年)も近づいてきた。出場選手も、ファン投票、選手間投票、そして監督選抜と発表され、セ・パ両リーグの陣容も明らかになった。中日ドラゴンズからは5人の選手が出場する。(敬称略)
岡林はファン投票で初選出

まずは岡林勇希、プロ入り6年目で嬉しい初選出となった。それも、ファン投票によって外野手3人の中に選ばれたのだから、喜びもひとしおだろう。2022年(令和4年)には20歳にして、最多安打のタイトルを獲得した。ゴールデングラブ賞にも3年連続で選ばれるなどリーグを代表する外野手のひとりだが、ケガで出遅れた昨季とは違って、今季は開幕から打撃も好調である。先のセ・パ交流戦でもヒットを量産して優秀選手賞に選ばれただけに、パ・リーグの投手陣を相手に、晴れ舞台でも打ち続けてほしい。
松葉には34歳で吉報

岡林と並んで初出場するのはいずれも投手、松葉貴大と清水達也、監督選抜で選ばれた。松葉は34歳にして初めての出場となるが、今季は「選ばれて当然」と言える活躍である。立浪和義前監督時代は、先発しても「ドーム球場限定で5回まで」、時間外勤務をしない“松葉課長”とも呼ばれていたが、今季すでにほぼ100イニングを投げて、7勝を挙げている。先発の柱と期待された高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)がなかなか勝てない中、ローテーションをしっかり守っている。
清水は安定感が高評価

もうひとりの清水にとっては「中継ぎ」という役割が評価されての選出、記者会見では頼もしそうに胸を張った。立浪監督時代は3年連続で50試合以上に登板した。ライデル・マルティネスが抜けた後のクローザー候補でもあった。清水の投球は、たとえランナーを出しても「最後は抑えてくれる」という安心感がある。東北での讀賣ジャイアンツ2連戦では抑え投手として、厳しい局面での投球だったが、この清水が選ばれたことは、ファンにとっても嬉しいニュースである。選ぶ側もちゃんと見ていることをうかがわせた。
上林は竜ユニホームで初安打を

8年ぶり2度目、ドラゴンズのユニホームを着ては初めての出場となる上林誠知は、選手同士の投票によって選ばれた。福岡ソフトバンクホークスを自由契約になって、名古屋に来て2年目。すでにホームランも2ケタ、盗塁数もリーグ2位、得点力のないドラゴンズ打線で、今や“頼りになる打者”のひとりである。過去の球宴出場でまだヒットを打っていないので、ぜひ、古巣ホークスの監督や選手の前で、初安打を記録してほしい。
松山はくれぐれも慎重に

そして、松山晋也である。ファン投票で選ばれた。讀賣ジャイアンツに移籍したマルティネスからクローザーの役割を引き継いだ今季、挙げたセーブ数はリーグのトップを走ってきた。成績もさることながら、ファンの支持を集めたのは、その“投げっぷり”だろう。「俺が抑えてやる!」という気迫がほとばしっている。ゲームを締めた後に、キャッチャーに対してゆっくりと親指と人差し指で作った「OKサイン」を見せるポーズも、すっかりおなじみだ。しかし、ここへ来て上半身の不調から登録抹消され、リハビリ組に合流した。オールスターゲームに出場できるか否か。晴れ舞台での活躍を見てみたいが、くれぐれも無理をせずに体調優先を願っている。
川上憲伸の作った伝説
その松山は、ファン投票で選ばれたドラゴンズの投手としては、2018年(平成30年)の松坂大輔さん以来となる。過去のファン投票投手で思い出すのは、何といっても川上憲伸さんである。1998年(平成10年)のルーキーイヤーに、堂々ファン投票1位で選ばれた川上さんは、2戦目のナゴヤドーム(現・バンテリンドーム)で先発して、3イニングを2安打無失点に抑えた。新人投手としては史上初となるMVPを獲得している。そのシーズンには、新人王にも選ばれた。
竜11人目のMVPは誰?

現在リーグ5位に低迷するドラゴンズから5人も選ばれたことは、嬉しい驚きでもある。ならば是非、全国のファンを前に目立ってほしい。ドラゴンズからは、川上憲伸さんを含めて、過去に10人の選手がオールスターゲームでMVPに選ばれている。2度もMVPに輝いた故・江藤慎一さんという、大先輩スラッガーもいた。ただ、2008年(平成20年)の荒木雅博さんを最後に、それはストップしている。
今や12球団で最も長くクライマックスシリーズからも遠ざかっているドラゴンズ。そんなチームに勢いを与えるためにも、オールスターゲーム2試合とも、竜のユニホームがMVPを獲得するほどの活躍に期待したい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。