UAEがOPEC脱退へ。中東「分断」と日本への影響は
アラブ首長国連邦(UAE)が4月28日、石油輸出国機構(OPEC)から5月1日に脱退すると発表しました。中東情勢の緊迫化で石油供給の混乱が続く中、OPEC内で4番目の産出規模を誇るUAEの離脱は、原油相場を主導するため協調してきた主要産油国にとって打撃となりそうです。4月30日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんに、脱退の背景と日本への影響について伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くOPECってどんな組織?
OPECはオーストリアのウィーンに本部があり、ドナウ運河沿いに位置しています。
北辻「私、特派員時代に取材したことがあって。小さい建物なんですよ。だけど影響力は大きい、そんな感じなんですよね」
OPECは元々、欧米の石油資本(メジャー)に対抗するため、産油国がスクラムを組んで結成した組織です。産油国自らが生産量を決め、価格を調整する役割を担っています。
脱退、2つの理由
北辻さんはUAEがOPECから脱退する理由を2つ挙げました。
1つ目は、UAEとサウジアラビアの対立です。生産量を抑えて原油の価格を維持したいサウジアラビアに対し、UAEはどんどん石油を売って販売量を増やしたいという思いがあり、両国はすれ違っています。中東のリーダーシップ争いも背景にあります。
2つ目は、アメリカとイランの紛争です。特にUAEはそのあおりを強く受けています。
北辻「ドバイ、国際観光都市ですよね。ドバイの空港が攻撃を受けたりとか、中心部に攻撃を受けたりとか、今、実は観光客が激減してて、やっぱなんとかしなくちゃいけないと。そういうことですね」
アメリカに接近するUAE
脱退となれば原油価格はさらに上昇すると考えられ、外資企業への投資など長期的な動きにも波及していきそうです。
サウジアラビアの溝が深まる一方で、UAEはアメリカに接近していくと北辻さんは予測します。
ドナルド・トランプ大統領は元々OPECに対して、原油が高止まりするといった批判をしてきました。UAEが増産すれば、アメリカ国内のガソリン価格も落ち着いていくとみられます。
北辻「トランプ大統領にとってもそれはありがたいということが、今後の動きとしてあるのと」
宮部「ただ、OPECとしては弱体化してしまうということが、パワーバランスとしてはあるわけですね」
湾岸諸国の間でも、ますます亀裂が深まっていきそうです。世界的に広がっているキーワード「分断」が、今後産油国の湾岸諸国の中でも起きてくることが予想されます。
日本に届く200万バレル
ペルシャ湾情勢の中、出光興産の子会社が運航を管理する大型原油タンカー「出光丸」がホルムズ海峡を通過しました。
タンカーには200万バレルが積まれており、これは日本の1日の消費量の0.6日分にあたります。
北辻「ただ、なんかほっとしますよね。まだ1日にも満たないのかと思うんですけど、ほっとする」
ようやく日本に原油が届くような動きが見えてきたものの、OPEC脱退の余波は計り知れず、今後さらに大きくなっていきそうです。
日本独自の対話を
高市早苗総理のイランへの働きかけが功を奏したという見方もあります。ただ、今もまだ40隻ほどの日本のタンカーがホルムズ海峡に残されており、先行きは不透明です。
北辻「アメリカのやり取りを見ながらも、日本は日本で独自でちゃんとイランと話し合って。友好国ですからね」
出光丸がようやく通過したことで、今後のさらなる動きにも期待が持てます。出光丸は2月から待機を続けていましたが、政府関係者によると、今回の航行でイラン側に通行料は支払っていないということです。
ホルムズ海峡を通過した日本関係の船舶は今回で4隻目ですが、これまでの3隻はいずれも目的地が日本以外でした。出光丸は5月中旬に名古屋港に入港する見込みです。
(minto)
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