上原浩治が膝をついた日。川上憲伸が語るサヨナラ満塁弾の裏側
CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、CBC野球解説者・川上憲伸さんのプロ野球人生を挑戦という切り口で振り返るコーナーです。3月18日の放送では、上原浩治さんとのプロ入り後の交流と、2006年に実現したエース同士の投げ合いについて伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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川上さんは1998年に新人王を獲得。翌1999年、上原さんは1年目から20勝を挙げて新人王に輝き、球界を代表するピッチャーとなりました。
一方の川上さんは、成績が落ち始めた時期を迎えます。そんな中でも、上原さんはグラウンドで会うと声をかけてくれたそうです。
川上「『何がダメなん』とかいろいろ話して。『コンディションが悪いんだよ』『そうかぁ』みたいな話をして。友達関係は続いてたんです」
上原さんが活躍を重ねていく中、川上さんは2002年頃から中日ドラゴンズの山田久志監督のもとで復調していきます。読売ジャイアンツとの試合も増え、ふたりが対戦する機会が広がっていきました。
先に降りたくないプライド
2006年、開幕直後の4月7日。中日対巨人の一戦で、両チームのエースである川上さんと上原さんが先発として投げ合いました。
川上さんは、この試合で最後まで投げ切ることに特別な意味があったと振り返ります。
川上「やっぱプライドもあるので。彼より早くマウンドを降りたくないっていう思いは、お互いがあったと思うんですね」
巨人に先制を許しながらも同点に追いつき、迎えた9回裏。立浪和義選手のサヨナラ満塁ホームランで、川上さんに勝ち星がつきました。
サヨナラの瞬間に見たもの
「あの時は、素直に喜べなかったですね」
サヨナラの瞬間、上原さんはマウンド上で片膝をつき、うなだれていました。川上さんはダグアウトから、ロッカーへ引き下がっていく上原さんの姿をずっと見ていたそうです。
最後にお互いが手を挙げ、帽子を取って「お疲れさん」と声をかけ合ったシーンは、今でも覚えているといいます。
川上「こういうのがね、年間で何試合もできるわけじゃないですけど、数多くできたらいいなと感じました」
勝っても口にできない言葉
投げ合いを終えた後、川上さんの胸にあったのは複雑な思いでした。
川上「感動しましたよ。最後まで投げてよかったなというのもあるんだけど。勝敗がつかなきゃいけないのかっていうのもありましたし。『お前には負けないぞ』『投げるやろ、逃げるなよ』っていうこどもの口げんかみたいな雰囲気もあったわけですね、僕らの中では」
それでも、勝った側が「イエイ、勝ったぜ」とは言えない。「お前より俺の方が良かったぞ」とも口にできません。お互いのプライドを大事にしなければならないからです。
日にちが過ぎてようやく「悔しいわ」といった言葉が出てきていたと川上さんは明かしました。
直接抑えた、打たれたという勝負ではない「投げ合い」。そこにはエース同士にしかわからない特別な感覚があったのです。
(minto)
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